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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第二章 サキュバスとエロ漫画野郎とクッコロさん
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4-2 サキュバス幼女一行とクッコロさん 報告 神との激闘

令和、最初の投稿はサキュバスとエロ漫画野郎と冒険者です。

 小さく弱い魔物なら、一般人でも力があれば撃退できるという。

 なら、そいつらが群れを成して現れたら?

 ボス格がいて、そいつも一緒にやってきたとしたら。

 こちらに味方は一人しかいないのに、俺しか戦えないとなったら、四面楚歌の生き地獄が展開されるだろう。


 そう、それが――――、


「へぃらっしゃい!!」

「五名様入りまーす!」


 はい、今の俺たちでーす。


「ハルキ、オムライス五つとカボチャのスープ三つお願い!」

「はいよー! ってオムライスすげぇ人気だな!!」

「仕方ないわよ。ふわふわタマゴとチキンライスの破壊力はもちろん、私特製トマトケチャップの最強コンボに誰もが虜みたいよ?」

「あははそうかありがとうだぜこんちきしょうっ!!」


 我ながらおかしなテンションになりながらも、仕込んでおいたチキンライスの具材をフライパンで炒める。


「エルナぁ、もしくはセイジュさん早く帰ってきてくれぇ!」

「そうもいかないでしょうよ。でも私は楽しいかもぉ~♪」


 俺の悲鳴とメイプルの楽しそうな声が響く、ここは冒険者ギルド・ラベル支部。

 駆け出しから歴戦の勇士まで集まる、冒険者(プロフェッショナル)たちの拠点の一つ。


 そんな場所で、一般人であるはずの俺とメイプルは、餓鬼の如く群がる冒険者どもを次々と相手取っている。

 午後三時過ぎの冒険者ギルドは、ある意味修羅の巷となっていた。


 どうしてこうなった……一瞬で思考に浮かぶ数十分前の光景。


 冒険者ギルドの門を再び潜り、エルナたちがギルドマスターと支部長へ報告するため奥へ行っている間、俺たちは飲食スペースの端っこで何気なしにコーヒーを飲んでいた。


 その時、冒険者たちの食事が目に入り、思わずメイプルと地球の料理との比較をしていたところ、その会話がウエイトレス役の職員の耳に入り、それが料理係にも伝わり、あれやれよという間に広まって、一度作ってくれということになった。


 な、何を言っているのかわからないと思うが、俺もわからない。

 いきなり素人を厨房に立たせるものだから、どうなっても知らんぞ、と断りを入れ、水魔法で手をきっちり洗浄し、風魔法で全身の埃やらを取り除いて作業に取り掛かったのだ。


 とは言っても、俺が作れる料理はたかだか知れているので、メイプルにも手伝ってもらおうかと思ったら、奴はいつの間にかウェイトレス姿になっていた。その傍に立つ女性職員たちがメイプルを愛でているのを見て、事情は察した。

 とりあえず料理係の人たちに出す分だけ作ろうと思ったのだが、それが間違いだった。


 試しに作ったオムライスの匂いに、フロアにいた全員の視線が集まり、さらにメイプルがこっそりと収納魔法から出したトマトケチャップをトッピング。


 それをウェイトレス姿の彼女が給仕をした結果、冒険者たちから注文が殺到し……現在、ご覧のありさまと言う訳だ。

 注文は止まる事を知らない……料理係さんだけでも復帰してくれっ、満足そうな顔で食べてないでさぁ!!


「だ、大丈夫ですか?」


 顔見知りの少年冒険者ディーが恐る恐る訪ねてくる。その手には食べかけのオムライスを乗せた皿とスプーンを装備している。


「問題ねぇ! それよか、ナンナの奴、またおかわりか?!」

「いえ、流石に自重するようにアナさんが」

「ハルキぃ、おかわり!」

「すまないハルキさん、おかわりを頼みたい」


 シーフ少女ナンナと女性剣士アナがやってきて、俺とディーの前に空になった皿を突きだしてきた。ナンナは口元にご飯粒やケチャップをつけながら目を輝かせ、アナは凛とした佇まいだが頬は高揚しており、視線はしっかりと俺の手元に向けられている。


「……すみません、ハルキさん」

「いや、いい」


 俺は二人から皿を受け取ると、明後日の方角へと目線を逸らしたディーの横顔に声をかけてやる。


「ディー君も、おかわりしたいなら言ってくれ」

「え?! い、いや……流石にそれは……」

「他の冒険者たちも遠慮してねぇだろ? それに……」


 視線をディーから少し外すと、彼の斜め後ろで妖精騎士を思わせる小柄な少女フリージアが、空になった皿を両手で持って俺を見上げていた。


「ハルキさん、おかわり」

「おう。そう言う訳だ、お前さんも食え食え! 成長期にはたくさんうまいもん食って力つけろよ?!」


 一瞬、パーティーの女性陣たちに開いた口がふさがらなかったディーだったが、すぐに我へ返ると、そこそこ早い手の動きでオムライスをかっ込み、カウンターへと皿を置いた。


「すみません、おかわりお願いします……」

「わかった。後で持って行ってもらうから、席で待っといてくれ!」


 ディーとフリージアたちが下がったところで、オーダーを取っていたメイプルが戻ってきた。


「自分で仕事増やしてどうするのよ?」

「仕方ねぇだろ……」


 元の世界だったら捌ききれない量の仕事だが、身体強化を使うことによって何とか全て間に合わせることができている。正直なところ、さっさと終わらせたい。

 と言うか、


「早く戻ってきてくれ、三人とも……っ」




 その頃、支部長室にいたエルナたちは、扉の外から漂ってきた匂いに、頬を緩ませていた。


「何かいい匂いがするな?」

「卵を包み焼いたものに……なんだろうか? 甘いような、香ばしいような……」

「多分、ハルキとメイプルが、何かを作っているんだと思います」

「これは、もしやオムライスか?」

「ヴァーヴァリアス様はご存じで?」

「遠い記憶の彼方だが、かつて食わせてくれたものがいてな……それにしてもいい匂いだ」


 対面で、エルナとセイジュの隣に座るヴァーヴァリアスを見て、顔を青くする支部長ソーシャ以外は。


「レリック、大丈夫かい?」

「えぇ……」


 全然大丈夫じゃなかったが、元上級冒険者として、支部長として、そして家庭を守る母として、ソーシャは自分を奮い立たせていた。


「安心せよソーシャ殿。私は冒険者ギルドやそなたたちに怒りは抱いてはおらぬ。そう緊張することはない」


 褐色肌の美女にして神ヴァーヴァリアスは穏やかな表情を浮かべ、ソーシャもつられるようにして体中の緊張感が薄らいだ。

 息を整え、姿勢を正した。


「お見苦しい所を……申し訳ありません」

「よいよい。そうだ、貴様そう笑った方が愛らしい」

「か、可愛いだなどと……」

「そうだぞレリック。ほら、アルバも自慢していたろ。君の笑顔は可愛いって」


 隣から茶化してくる戦友は放っておいて、ソーシャはヴァーヴァリアスに感謝の意を伝えた。


「……さて、ハルキ君にオムライスを作ってもらう前に、まずは君たちの報告を聞こうか」

「教えて、貴方たちと神ヴァーヴァリアスの間にあったことを」

「わかりました……」


 セイジュは語り出す。

 忘れられない、神との激闘を。


マイリストや評価をしてくださった方々、ありがとうございますっ!

これからもどうぞよろしくお願いします!!

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