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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第二章 サキュバスとエロ漫画野郎とクッコロさん
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3-6 サキュバス幼女一行とクッコロさん どうしろって言うんだ

滅茶苦茶お待たせいたしました。


 冒険者ギルド・ラベル支部に戻った俺たちを待っていたのは、セイジュさんの予想通り、「旅の破壊神が今何をしているのか、調査に向かってほしい」という依頼だった。


 口頭で伝えた後、支部長ソーシャさんが「カエデちゃんは残っていいのよ?」と言っていたが、メイプルはノリノリで「ついてくー♪」と答えていた。

 俺は行くこと確定なんですね。まぁどの道、行きますけど。


 ソーシャさんがラベル近辺の地図を指しながら、破壊神がいるであろう大凡の位置を教えてくれた。


「この山々のどこかにいると予想されるわ。あまりにも強い気配があると、さっき帰ってきた冒険者たちから報告があったの。調べようと思った者も何人かいたみたいだけれど、麓辺りからどうしても先に進めなかったみたい」


 強者のオーラとか、殺気の類か。いや、この場合は神の気配って奴か。屈強な冒険者でも近づけないとは、流石は神様と言うべきか。


「なるほど……それなら、我々も進めないと思うのだが?」

「えぇ、私もそう思ったんだけれど……」


 そう言って、セイジュさんとソーシャさんが揃って俺たちへ顔を向けてきた。


「ギルドマスターから、大丈夫だろうって」


 見ず知らずのギルドマスターからの信頼が厚い。


 ふと、ソーシャさんの視線が俺に向けられていることに気がついた。

 え、何ですかね?


「私も、このメンバーなら、行けるかもしれないって思うし……」

「あぁ、それもそうだな……」


 ソーシャさんとセイジュさんからも信頼感が……いや、違う、アレ、なんか遠い目というか諦観の眼差しを送られてるぞ。

 それよりも、いや、待てアンタら。

 俺たちにもできないことはあるぞ、多分。

 メイプルは「やってやれないことはない」と言わんばかりに目をキラキラさせている。確かにこいつなら神様のオーラの中も進んでいきそうだ。


「では、支度をしたらさっさと行くか」

「もう日が沈む直前なんだけれど……危険じゃないかしら?」


 ソーシャさんの言う通り、日が沈んでから山へ入るのは危険だ。今日は準備と休憩に当てて、明日一番に出掛けてもいい気がする。


 これが、普通のパーティーだったら、の話だが。


「ハルキ君たちがいれば早く見つけられる。もし野営することになったとしても問題はないだろう」

「きゃんぷはまかせろ~♪」

「うぅん……。それもそうね」


 俺とメイプルの聖域魔法や隠蔽魔法について報告で知っているため、ソーシャさんはあっさりと納得していた。


「ハルキ君とカエデちゃんがいれば、どこでも安全な拠点が作れそうね」

「あぁ、本当なら是非とも、ギルドか軍に迎え入れたいところだ」

「謹んで辞退させていただきます」

「ますー♪」


 そう言う訳で、碌な休憩も挟まず、山へ入るための準備を始めることになった。

 しかし、ぶっちゃけた話し、武具のチェックくらいしか、やることがなかった。そのチェックも問題なく終了し、それを見ていたソーシャさんが思わずと言った様子で、


「……えぇと、ポーションとか、食料は買わなくていいの?」


 と尋ねてきたが、メイプルが収納魔法から未使用のポーションを取りだしたのを見て固まった。


「まだいっぱいあるよー?」

「あ、あぁ、そうなのね。うん、よかったわ」


 ぎこちない笑顔のソーシャさんに、メイプルは無邪気な笑みを向けた。




「しかし食料は必要かもしれんな。少しだけ仕入れておこう」


 と言う訳で、セイジュさんとエルナがギルド内のキッチンへ顔を出し、俺とメイプルは廊下で待つことになった。

 ふと、メイプルが俺を見上げて、日本語で話しかけてきた。


「落ち着いてるわね」

「そうか? 結構これでも不安で、心臓バクバクなんだけどな」

「不安はあるんでしょうけれど、至って正常な心音よ。どんだけマイペースなのよ」


 なんて軽口を叩き合っていたら、エルナたちの準備が終わったのだろう。視界の端に人影を見て、振り返ると、予想外の人物が立っていた。


「やぁ、数日ぶりだね、ハルキ君」

「エスクードさん?!」


 ギルドの制服を纏った女性職員、ナリア・エスクードさんだった。


「聞いたよ、ダンジョンを踏破したんだって? おめでとう」

「は、はぁ、どうも……」


 そう言えば、昨日は見かけなかったけど、お休みだったのだろうか。まぁ、この人にあの惨状を直接見られなくて良かった。少し話をしただけの間柄だが、エスクードさんにあの目を向けられるのは少し堪えられそうにない。


「ところで、ここで何をしているんだい?」

「エルナとセイジュさんが食料をもらいに行っているんです。あ、そうだ、エルナに会っていきませんか? もうすぐ戻ってきますよ?」

「いや、今は遠慮しておくよ。会うのは、君たちが依頼から帰ってきてからにしよう」


 あー、エクスードさんも指名依頼の件は知っているのか。まぁ職員なんだからおかしくはない。


「ところで、そちらのお嬢さんが君の妹さんだね?」


 ここでエスクードさんの視線が俺の隣へ移動する。


「えぇ」

「カエデだよー♪ おねえちゃん、よろしくね♪」

「エスクードと言う。よろしく……っと、そろそろ行かないと。あ、会った事はエルナたちには内緒にしておいてくれよ? じゃあ、武運を祈っている。女神ダヌーのご加護がありますように」


 早口でそう言うと、エスクードさんは踊るように俺たちから離れ、曲がり角の向こうに消えて行った。


 相変わらず掴みどころがない感じだったけれど、おかげで破壊神調査で緊張気味だった精神が少しほぐれた気がする。

 ありがとうエスクードさん。


「……エスクード、ねぇ」


 いつもの雰囲気に戻ったメイプルが意味深にエスクードさんの名前をつぶやいた。


「ん、魔族界隈で有名な人なのか?」

「別に。でも、いつあんな美人さんと知り合ったのかしら。本当アンタって、美女や美少女に縁があるわねぇ?」


 ジト目と半笑いで見上げられたが、どうしろって言うんだ。


 それからしばらくもしないうちに、エルナとセイジュさんが食料の入った布袋を持ってキッチンから出てきた。時間がかかったのは、事情を聞いた料理係が夜食用にと新しく一品作ってくれたからだそうだ。


 それからフロントで待っていたソーシャさんと合流し、挨拶を交わした。

 その最中に戻ってきた何人かの冒険者の中に、ナンナとディー君の姿があった。俺たちに気が付いた二人に、俺とメイプルは小さく手を挙げておいた。


「では出発しよう。念の為に、支部長、明日の夕方までに我々が戻らなかった場合は、マスターに報告してくれ」

「わかったわ。貴方たちに女神アテナのご加護があらんことを」


 こうして、俺たちは破壊神の調査へと向かうことになった。

 ぶっちゃけ、不安だらけだが、話せばわかってくれるはずだ、多分、きっと、うん。


エルナ「セイジュさんも支部長も、この二人がもしどこかの組織に所属したら、どうなるかわかってるんですよね……?」

セイジュ「もちろんだ」

ソーシャ「例えばの話よ」

エルナ「(目が全然笑っていないわ……っ」

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