2-4 サキュバス幼女一行とクッコロさん 勇者なら仕方ないかな
大変、大変、お待たせいたしました。
翌朝、部屋から出てすぐ、艶々とした顔のメイプルが上機嫌に挨拶をしてきた。
よくわからんが、いい夢でも見たのだろう。
「ねぇ晴樹」
「何だ?」
「啓示をくれた女神さまは来てくれた? 金髪碧眼で笑顔が可愛い女神さま」
「よく覚えてないけど、何で容姿を限定してんだよ」
というかこいつ、あのやりとりを覗き見してたのか? 女神さま相手になんて豪胆な。様子を見る限り、何かがあった訳ではなさそうだが。
別に話してしまっても構わないんだろうが、何となくカマをかけてきている感じなので、ここはまだしらばっくれておこう。
二人揃って食堂へ移動して、先に待っていたエルナと一緒に朝食を取った。
それにしても、料理を運んできてくれた宿屋の娘さん(確か、シャーリィだったかな)が、俺とメイプルをちらちら見てきて、何やら時折はにかんでいたのだが、何だったのか。しんみりした空気よりはいいし、エルナとの会話も楽しそうだからいいか。
朝食後、エルナと宿屋の母娘がお別れの挨拶をしていたら、娘さんの方が俺とメイプルにも手を振ってきてくれた。
「皆さんの旅の無事を祈っています!」
「行ってくるわね」
「シャーリィちゃんもげんきでねー♪」
シャーリィから随分と気合の入った祝福の言葉を受けて、俺たちは宿屋を後にすると、そのまま冒険者ギルドへ足を運んだ。
エルナ曰く、この時間帯は夜間の受付担当と護衛の冒険者がいるらしい。だが、大抵受付の方は眠っているとのこと。今回は依頼の受注や報告に行く訳ではないため、別に構わないけど。受付さんェ……。
そもそも、日の出間近な時間にギルドへ行くのも、セイジュさんとの待ち合わせがあるからだ。
セイジュさんは元々ラベルではなく、王国各地を転々と回っている冒険者で、予定よりも速くダンジョンの攻略が完了したため、王都にある実家へ一度休養に戻るらしい。そこで、王国までの道中を共にすることになったのだ。
報告や引き継ぎなど色々仕事があるらしく、それを明け方までに終わらせる、と言っていたが……デスクワークも大変なんだな、冒険者って。
人気のない大広場を抜けた先、街灯に薄らと照らされる冒険者ギルドへ入ると、旅支度を終えたセイジュさんが待っていた。
「おはよう諸君」
「おはようございます」
挨拶を交わすセイジュさんとエルナを尻目に少しだけカウンターの方へ視線を移すと、話通りカウンターに突っ伏す女性の受付さんと、対面に女性剣士が座っていた。
剣士はメイプルを見て口元を緩め、対面で爆睡している受付さんをつついて起こしていた。メイプルが可愛いから、見てみなよーってところかな。
その間に、俺とメイプルもセイジュさんへ挨拶をして、さぁ出発するかという段取りになったところで、ギルドの入口が勢いよく開かれた。
「セイジュ、まだいるー?!」
「朝っぱらからうるさいぞ」
剣士さんに注意されながら入ってきた軽装をした少女に、セイジュさんは腰に手を当てて苦笑を漏らした。
「あ、ごめん! ってよかった、いた! おっはよー、セイジュ!」
「あぁ、ここにいるぞ。おはよう」
「おはよう、ダリア」
「エルナもおっはよー! よし、間に合ってよかったぁ!」
ダリアと呼ばれた少女冒険者は、エルナに軽く手を挙げた後、俺とメイプルへと視線を向けてきた。
目礼すると、彼女は目を丸くした。
「あれ、もしかしてこの人がセイジュの言っていた人?」
「あぁそうだ。ハルキ君と、その隣が妹のカエデ君だ」
「そっかそっか。私はダリア、よろしくね!」
元気よく自己紹介をしてくれたダリア。皮鎧と、急所を外殻を使った鎧で覆っただけの、機動性を重視した装備が、何となくだが、彼女の雰囲気に似合っていた。
しかし、その腰に提げられている革のポーチ……っぽいそれを見て、今度は俺が目を丸くしてしまった。
「それで、こんな朝早くからどうしたのだ? 次のダンジョンへ向かうのだろう?」
「その前に、セイジュに挨拶しておこうと思って」
快活に、真っ直ぐさを感じさせるダリアの言葉に、セイジュさんは微笑で礼を言った。仲がいいみたいだな。
「エルナたちにも会えてよかった。って、そうだ、アニスの奴、まだ帰ってきてないみたいだけど……」
「言伝を頼んであるから大丈夫よ」
「じゃあいいけど、アニスの奴、どこに行ったんだろ? こんなに可愛い友達を放っておいて」
やっぱり、アニスさんとやらは帰ってきていないか。フリージアたちには結局昨日は会わずじまいだったし、このまま伝言てを任せるとしよう。
と、ダリアがこちらへ近づいてきた。
「話はセイジュから聞いているよ。故郷に帰られるといいわね!」
「ありがとうございます」
「うんっ、ありがとー♪」
「ふふっ、可愛いなぁ。あ、でも」
ダリアはそっとメイプルへ顔を近づけ、
「別に人のふりをしなくてもいいよ? 君は悪い子じゃなさそうだし」
「ふぇ?」
メイプルはカエデちゃんモードのまま、無垢な様子で小首を傾げて見せ、俺もなんとか平常を装うことができた。
おいおい、こいつ支部長でさえ見抜けなかったメイプルの偽装を見破ってるぞ。
楽しげな内緒話をした、という様子で顔を上げたダリアはそのまま今度は俺に顔を近づけてきた。綺麗なブルーの瞳が印象的だった。
「ダンジョン踏破おめでとう」
「!」
「セイジュは何も言わなかったけれど、君と妹さんがダンジョンマスターと、謎の巨人を退治したんでしょ?」
「いや、俺たちは別に……」
「本当は私が踏破したかったけど、勇者なら仕方ないかな。けど、もしも一緒に挑むことがあったら、負けないからね!」
「いや、だから……」
言い終える前にダリアは離れてしまい、楽しそうに笑いながら大きく手を振った。
「じゃあ、私は行くね! 今度こそ、三つ目のダンジョン撃破の吉報を待て!」
言うだけ言うと、ダリアはギルドを飛び出して行った。
嵐のような、という常套句を体現したような子だった。
と言うか、突っ込みどころがいろいろありすぎて、本当に何者なんだあの子?!
「なぁメイプル、あの子がぶら下げてたのってどう見ても拳銃だったよな?」
「えぇ、リボルバーを二丁……私も八年間この世界で生きてきたけれど、拳銃は初めて見たわ」
「マスケットまでって言ってなかったか?」
「この世界ではね。あれは――――」
日本語で素早くメイプルと確認をしてから、待ってくれていたエルナたちと一緒にギルドを、そしてラベルの街を出た。
顔を見せつつある朝日に照らされたラベルの街を背に丘を進み、昨日写真を撮った場所まで来たところで、セイジュさんが口を開いた。
「二人とも、先ほどはダリアがすまなかった。しかし、彼女は上級冒険者で、口も堅い。私が保証する」
「いや、セイジュさんは何も言ってないんだろう? だったら謝らなくていいって」
「そう言ってもらえると助かる……」
「けど、どうやって俺たちの情報を掴んだんだ?」
「すまない、私でもわからん。いや、見当はついているのだが……」
言葉を濁すセイジュさん。
多分ダリアの冒険者技術などに関わることなんだろうと察し、それ以上はいいと言っておいた。
「それにしても、私の正体を見破るなんて……大したものね」
「流石は上級冒険者ってところか」
「仕方がないわね、次は偽装レベルをもう一段階上げるわ」
メイプルの真顔の宣言に、俺たちはただ頷いた。もう何も突っ込まない。どうせこいつのことだから偽装技術が一〇八式あっても、もう驚かない。
さて、かなり重要かつ大変な案件もあったが……ひとまず、おしゃべりはここまでだ。
「それでは、我々も出発しよう。よろしく頼むぞ。と言っても、本当にできるのか?」
「任せなさい」
そう言うと、メイプルは俺の左肩に乗っかってきた。
それを見て目を丸くするセイジュさんを他所に、メイプルと俺でお決まりの魔法をいくつか行使し、準備完了。
「全員、身体強化! セイジュは途中で違和感があったら言いなさいね」
「あぁ」
「よぉし、王都に向けて、行っくわよー!! 」
「「おー!」」
「え? お、おー??」
そして、俺たちは街道を走る一陣の風となった。
セイジュ「な……なんだこれはぁっ?!!」
メイプル「さすがは上級冒険者! 私たちよりも速い!!」
晴樹「っていうかこれ、縦一列に並んで走った方がよくねーか?」
←王都 セイジュ エルナ 晴樹&メイプルΞΞ
メイプル「それだわ」
エルナ「なんで私が真ん中?」
セイジュ「ははは、馬よりも速いな……」
晴樹&メイプル「(よし、全然嬉しそうじゃないからセーフ!!」
以下関係ない駄文です。
第九話までのグリッドマンを見て――
ゼーガペインで、ドーモアレクシスですで、
板野サーカスでボトムアタックで、もうロボじゃんっていうか勇者てんこ盛りで、
ドーモアレクシスですで、ロォゥロォゥファイツザプァワッ!で
現実は確実に超絶な裕太たちの日常の中の異能バトル……
あれ、TRIGGER成分もてんこ盛り……?(喜
やっぱりグリッドマン良いです……どれも面白くて、熱くて、良いんです……!!
そして吸血鬼さんを見てほっこりしてます。




