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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第二章 サキュバスとエロ漫画野郎とクッコロさん
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1-6 サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者 つまり、君は勇者だ

大変、大変長らくお待たせいたしました。

 後片付けがあるからと召還魔法でロールが帰り、俺たちも本館へ戻った。

「今日はこれで解散ね」と言いながら支部長室へ向かう支部長の後ろ姿は、疲労感が漂っており、仕事帰りのOLっぽい感じがした。


 さて、俺たちもこれで解散となるわけだが、その前にセイジュさんへ聞かなくちゃいけないことがある。


「セイジュさん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ、いいかな」

「あぁ、丁度私も、君に尋ねたかったことがある」


 セイジュさんの取り計らいで、再び応接室へ移動した俺たちは、盗聴や遠視対策を取ってからソファに腰を降ろした。


「改めて、三人とも、今日は素晴らしい活躍だった。特にメイプル君のあの魔法は今思い出しただけでも肌が粟立つほどだ」

「それほどでもないわ」


 カエデちゃんモードを解除したメイプルが満更でもなさそうに胸を張った。


「もし君さえよければ、ロール君のように冒険者ギルドや軍へ加わってもらいたいんだが……」

「申し出はありがたいけれど、遠慮しておくわ」

「そうか。だが、もしその気になったのならば、いつでもギルドを通して報せてくれ」


 あっさりと引き下がったセイジュさんは、次に俺へ視線を向けた。


「ハルキ君も、大食いの一撃を止めたあの魔法は素晴らしかった。私が見たどの城郭都市の防護魔法よりも頑強だった」

「そう言ってもらえると悪い気はしないけど、ロールが前もって止めてくれてたからなぁ」

「それでも、だ。ハルキ君、大食いの突撃を受け止め続け、最後に吹き飛ばしたのは紛れもなく君の力だ。胸を張っていい。まったく、勇者でなければ軍かギルドに雇いたいくらいだ」


 今日知り合ったばかりの人からこんなに褒められると、やっぱり照れてしまうな。けれど、訂正だけはしておかねばなるまい。


「セイジュさん、俺、勇者じゃねぇよ?」

「とは言うが、君たちのような常識外れに強い力を持った人間は勇者を除くと、私は数名しか知らない。それでも勇者には一歩及び足らないと、本人たちが声を揃えて言う。つまり、君は勇者だ」

「だから勇者じゃないんだってば」


 どんな屁理屈だよ。すっげぇ暴論だわ。

 まぁ、会話の流れ的に、これで話はしやすくなったな。


「そう、その勇者について聞きたいことがあるんだ。セイジュさん、ダンジョンで言ってた、メイプルと似たような魔法を使ったっていう勇者について、教えて欲しいんだけどさ」

「ふむ……」


 セイジュさんは頷くと、一拍置いてから話し始めた。


「私も記録でしか知らないが、数十年前に現れ、勇者とまで謳われた若い夫婦のうち、夫が使っていたらしい。名称の方も戦闘中だったせいで、記録した者も最初の方しか聞き取れなかったようでな、一般的には最初に聞こえた部分からつけた仮名『ゲーティア』、または『勇者の怒り』と呼ばれている」


 勇者の怒り、か。ゲーティアっていうのは、まぁそれっぽい響きだな。ただ、魔術っていうか、悪魔というか、そう言う圧倒さを感じてつけたのか? こっちでの意味は知らんが。まぁそれはいいか。


 メイプルを見れば、セイジュさんの話に集中しているらしく、真剣な表情だ。

 どうやら、かなり有益な情報のようだ。


「ハルキ君が使用した魔法はメイプル君の応用だったようだが、普通に考えて、即座に使えるような代物ではない。そもそも、即座に勇者に匹敵する魔法を再現できる人物など、勇者以外に私は知らん」

「魔族にもいないわねぇ」


 メイプルがセイジュさんの意見に追従して頷いた。


「うむ。それに、あのクラスの防護魔法を即座に展開できるのは、私の知る限り三名だけだ。そのうち一人は、勇者夫婦の妻の方になる」


 最強の矛と盾。

 それが勇者夫婦に対するイメージだ。

 こいつは、やはり……。


「今のところ、私が教えられるのはこれくらいだ」

「ありがとうセイジュさん、十分だよ。その夫婦は今、どこに?」

「少なくとも、この大陸にはいない。行先も告げずに旅立って行った、と聞いている」

「そうか」


 恐らく……だが。勇者夫婦のうち、旦那は地球からの転移者、または転生者である可能性が高い。奥さんももしかしたら、同じかもしれないな。

 旅立ったのは、新しい冒険の地か、それとも……。


 もしかしたら帰還の足掛かりになるかもしれない情報に、胸の高鳴りを覚えながら思考に耽っていたが、セイジュさんの声に現実へと引き戻された。


「ハルキ君、私からの質問にも、答えてもらえるかな」

「はい、俺で答えられることなら」

「うむ、そうだな……」


 セイジュさんは俺の顔をじっと見つめてきた。

 紺碧の海を思わせる瞳が、俺の内心を見透かそうとしているような感じがして、少し居心地が悪いというか、くすぐったい。

 さて、一体どんな質問が飛んでくるか……。


「君は……『ココロ』という言葉の意味が、わかるかい?」



お読みいただき、ありがとうございます。


サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者が、本日9月15日で投稿一周年を迎えます。

ここまで読んでくださった方々、応援してくださった方々、本当にありがとうございます。


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