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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第二章 サキュバスとエロ漫画野郎とクッコロさん
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1-4 サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者 勇者じゃないんですってば

 その後、俺たち以外誰もいなくなった訓練場で、本日最後の案件を終わらせようとしていた。

 メイプルと一緒にサイレント・ベールを辺り一面に展開し、こちらの準備は完了。そして、何となくこれでいいかな、と念じたら発動した魔法で、先方へと連絡を取る。


「――そう、あぁ、こっちはいつでもいいから、後はアンタのいいタイミングで来てくれ。え? あぁそうなのか。じゃあ待ってるから」


 後は、時間が来るまで手持無沙汰なので、疑問に思っていたことをセイジュさんたちへ質問していた。


「それにしても、職員さんって元冒険者だったんですね」

「今回出てもらった者たちがそうであるだけで、一般人出身の職員もいるぞ。まぁ、冒険者出身の方が何かと理解があるからな、ほとんどの支部で中級以上の引退冒険者を多く雇っている」

「私や副支部長もそうね。引退組って言っても、ほとんどの職員は現役と同じ動きができるから、いざと言うときは戦えるわ」


 セイジュさんの説明を引き継いだ支部長が、「若い子には負けないわよ?」と不敵に笑ってくるが、言っている本人も十分に若いと思う。


 青みがかったクセのないショートヘアの、精悍な顔立ちをした美女で、身長はセイジュさんとほぼ一緒くらい。今は夕日に照らされて良くわからなくなっているが、支部長室では見れた水色の瞳は、真っ直ぐで強い意志が宿っているように感じた。

 年は恐らく二十代後半だろう。まだまだ全然、女性としての魅力に溢れているし、立ち居振る舞いもセイジュさんら現役上級冒険者のように隙が見当たらない。つまり、パーフェクトです、支部長。


 心の中で賞賛を送っていると、支部長がふと空を仰いだ。

 夕日は地平線の向こうへほとんど沈みかけ、星々が紺碧色の海で瞬き始めている、美しい空模様だった。

 今日も一日が終わるなぁと思っていると、時間が来たようだ。

 突如訓練場の上空に、淡く輝く巨大な魔法陣が出現した。昼間、タガネル・ダンジョンの最下層で見たそれと同じものだ。


「ぜんいん、しょーげきにそなえー♪」


 カエデちゃんモード続行中のメイプルがノリノリで注意喚起をしている間に、召喚陣の中央から巨大な人型が出現し、一瞬の停滞後に訓練場へと着地した。

 轟音と震動を発生させるが、サイレントベールを含めた、メイプルの魔法のおかげで諸々の影響は訓練場内で収まっている。先ほどの召喚陣も俺たち以外には見ることも感じることもできていないだろう。やっぱり幼女凄い。


 そして、砕いた地面に蹲っていたそれが、ゆっくりと顔を上げる。まるで平成ウル○ラマンの登場シーンを想起させるが、その外見は巨大ロボットめいている。


『ふぅ、成功のようね』


 そう言って、魔法陣から現れたそいつは体を起こしていく。

 そうして俺たちの前にそそり立つのは、全身(フルプレート)(アーマー)を纏った巨人だ。


 名前をロールと言い、元ダンジョンマスターにして魔神のハーフだ。

 出会った当初は、俺たちを今着ている鎧の実験台にしようとしていたが、紆余曲折あっていつの間にか俺と召喚契約を結び、事態の説明のためにこうしてラベル支部へと顔を出してくれた。

 召喚魔法を自身で体験するのは初めてだったようだが、まぁ上手く行ってよかった。


 ちなみに俺が呼んだのではなく、ロール自身が予めセイジュさんから指定された時間に、逆探知ならぬ逆召喚とも言うべき荒業で俺の近くへとやってきたのだ。

 そんな出来る女巨人へ、初対面でありながら全く恐れる様子を見せなかった支部長が声をかけた。


「初めまして。冒険者ギルド・ラベル支部長のレリック・ソーシャです」

『元ダンジョンマスターのロールよ。よろしくね』


 ロールさんや、口調、口調。

 ともあれ、穏やかに始まったロールの雇用話は、先に俺たちが話を通しておいたこともあり、特に何の問題もなく進められた。給料の話になった時にロールが喜んでいたことから、セイジュさんが提示したものよりも額が上がった、ということはわかった。

 最後に支部長が差し出した手に、ロールの大きな指が触れて契約成立。晴れて、彼女はギルド所属の身となった。


『ありがとう! これで何の気兼ねなくゴーレムの研究ができるわ!』

「普通に仕事もしてもらいたんだがな」

『わかってるわよ! 仕事くらいちゃんとするわ』


 セイジュさんの突っ込みにむくれた声を出すロールは、それでも嬉しそうだった。


 それから、ギルドでのルールや今後の宿泊先などの説明を終え、ロールのギルド雇用イベントは終了したのだった。


 で、その後のこと。

 支部長が興味本位でダンジョンでの経緯をロールに尋ね、彼女から見た俺たちの様子を聞いて一言。


「……はぁ、やっぱり勇者は規格外ね」

「だから、勇者じゃないんですってば……」


 残念ながら俺はしがない異世界転移者(ゆうかいひがいしゃ)だ。


『アナタを見た奴は、人魔問わずに勇者って言うわね』


 そんな事を言われても、この力も恐らく神様的な存在がつけてくれたものだと疑っているし、この世界の勇者の定義に入っていない以上、俺は勇者ではないのだ。

 あれ、ゆうしゃってなんだったけか……。


 セカンド・ゲシュタルト崩壊に苦しみながらも、もうこの案件については明後日の方向へ放り投げておくことにした。


「ゆうしゃ(笑)」

「オマエモナー」


 メイプル、煽っているところアレだが、お前も一応勇者扱いだからな?

 って言うか、全てにおいてお前の方がよっぽど勇者だからな?



晴樹「皆勇者好きすぎるだろ……何回勇者って呼べば気が済むんだよ」

メイプル「みんなにゆうきがみちあふれているかぎりよびつづけるよー♪」

晴樹「その勇気をもっと()意義な方向へ向けてくれぇッ!!」

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