表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第一章 サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者
31/451

6-2 サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者 静かなるチート

「何してんのって、新しい魔法を使ったんだけど、何かダメなところでもあったか?」

「ダメちゃうけど突っ込みどころ満載じゃアホたれぇっ!」


 さっきよりも強い罵声だった。

 おかしい、俺の予想じゃ滅茶苦茶驚くか、ふーんそれくらい普通よってなるか、もしくは、すごいけれどまだまだ甘いわねってくらいの感想が来るはずだったんだが。

 エルナを見れば何やら真剣に考え込んでいる様子だし、ダメだしが山盛りで飛んでくるのか?

 息を切らして肩を上下させるメイプルが復活した辺りでダメだしとなり、俺は何故か二人の前で正座させられていた。夢の中だからいいけど。


「……晴樹、アンタ、今何が起こったのか自覚しているかしら?」

「まぁ、そりゃぁ」

「説明してみなさい」

「え、うん。姿と気配が消えて、動作音や着地音もなくなるな。それから、撃った魔法にも同じ効果がかかって、着弾まで俺以外が見えなくなるってところだな」

「そう、ありがとう。アサシン能力すごいですね」

「え、そうなのか? ぁ、いや、それほどでもない……?」

「くっ、本当に謙虚ねアンタ……別にネタ返ししてほしい訳じゃなかったけど……」


 メイプルがため息をつき、隣で額に手を当てて空をふり仰ぐエルナを見上げる。


「エルナ、どう思う?」

「……わ」

「え?」

「ハルキが暗殺者じゃなくて、本当によかったと思っているわ」


 絞り出すような声だった。


「冒険者アサシンもプロの暗殺者も、これくらいできるんじゃないのか?」

「いくら強力なアサシンや高レベルの魔法使いでもね、常時身体強化をしながら気配も音も魔法だけで完全遮断して自由自在に動ける奴なんていないし、放った魔法にまでその効果を乗せるなんてできないわよ?」

「ぁー……」


 何となくメイプルたちの言いたいことがわかってきた。


「つまりアンタのその魔法ね。全世界の戦闘職と間諜職が、何が何でも手に入れたがるような超ド級ハイスペックチート魔法なのよ」

「ナイワー」

「ナイワーはこっちよっ!!」


 どうやら、またしても俺は世間様に見られてはいけない魔法を作り出してしまったようだ。


「イメージした魔法は何となくわかるわ。身体強化と私のサイレントベールね」


 サイレントベールとは、メイプルが姿を消したあの魔法のことだろう。

 そう、彼女が言った通り、俺はその二つをイメージして、一昨日の晩に発現させた巨大な炎のように複合魔法モドキを作り上げたのだ。

 身体強化して超人のような能力を手に入れながら、姿や気配を消して動けたら、と考えたのだが、意外なことに俺の放った魔法や武器にも同じ効果がかかることがわかったのだ。これは、モニターで別視点からどのように映っているのかを確認してわかったことだ。

 夢の世界、自由自在過ぎて怖い。けど凄い。

 まぁそのおかげで、楽し過ぎて色々と試したその集大成が先ほどの完全ステルスというわけだ。


「これなら、物陰に隠れて魔法を発動させたら、後は誰にも見られずに人を助けることもできるし、その場を離れることもできるだろ」

「逆に、一度でもこの事が誰かに知られたら、全ての悪事はアンタによるものって言う輩が出てくるわね」

「あぁ、やっぱりそうなるよな……」


 やはり、一番のデメリットはそこになるか。


「ただ、姿を消す魔法自体はアサシンやシーフが持っているから、見抜く魔法や方法もある程度存在するわ。普段そっちを使えば厄介ごとにはあんまり巻き込まれないでしょうね」

「あんまりって……」


 とはいえ、二人から貴重な意見がもらえて助かったのは事実だ。

 一人だったらテンションの高さのあまりに見落としている部分もあるし、この世界の常識がわかっていないとふとした時に無茶をする可能性もあるからな。


「ただ、さっきの魔法も悪用さえしなければいいと思うわ。魔法だけ完全ステルス状態にできる?」

「あぁ、できる」

「……なら、普段は隠し技としてそれをこっそり使用すればいいと思うわ」

「よくないわよ」


 エルナが遠い目で俺を見てきた。

 くっ、そんな目で見ないでくれっ!! なんか居たたまれない!

 皆が落ち着いてから、もうこんばんはお開き、というところで、メイプルがポンと手を打った。


「サイレントムーヴ」

「あ?」

「アンタのさっきの魔法よ」

「サイレント、ムーヴ……」


 強化された魔法名っぽいけど、いいかもしれない。


「それと、一昨日のあの巨大な炎の魔法の方も考えたわ」

「おうっ」

「ヴェスタ・フレイム。それが名前よ」

「なんかカッコいい響きだけど、威力はゼロだぞ?」

「まぁ、一見ゼロね。だけど、あの魔法も何かしらの力がある。私の見立てが間違っていなかったら、この魔法にはぴったりの名前だと思うわ」


 ヴェスタ。ギリシャ神話の女神の一柱、ヘスティアの英語名だ。

 家庭と竈の神さまだったはずだが、つまり、あの炎は何か優しい力を持っていると解釈していいんだろうか。


 試しに使ってみるが、心地よい温かさからは想像もできないような勢いの強い炎が俺を包み込む。


「温かいけど、何か意味あるのか?」

「さぁね……とりあえず今日はもう寝ましょう。エルナも色々と限界でしょうから、回復魔法をかけておくわ」

「本当、この二日間驚かされっぱなしよ」


 意識が徐々に暗転していく中で、メイプルがほほ笑んだのが見えた。


「面白かったわ。また何か思いついたら、教えてね」


 あぁ、また意見を聞かせてくれ。

 そうしたら、この世界を生きて、元の世界へ戻れる確率が、あが、る……――。




晴樹が現在使える複合(?)魔法


○ヴェスタ・フレイム (フレイム+トーチ)

○サイレントムーヴ (身体強化+サイレントベール)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ