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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第一章 サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者
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5-2 サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者 結果オーライって奴だな


 メイプルの指示通りに道を行き、今度は出入りに使った門がある通りへと出た。

 日も大分傾いているが、門から入ってくる旅人や冒険者がちらほら見られる。中には怪我をしている者もいて、入口近くにいた魔法使いの女性たちがすぐさま駆け寄って回復魔法をかけているのが見えた。

 お金をもらっている様子はないし、ボランティアだろうか。


「通してくれ!」


 そんな中、一人の冒険者が大急ぎで担ぎ込まれてきた。仲間らしき剣士の少女が声を上げると、妙齢の魔法使いさんが駆け寄って行って回復魔法を施し始めた。

 どんな大怪我をしたのかは知らないが、あんな風になることもあるんだな。やはり、冒険者稼業は一筋縄ではいかないらしい。

 俺も、旅の最中に……なんて嫌な考えが浮かんでくる。


「っぅ!!」


 その時、俺の耳に女の子の悲痛な声が届いた。振り返ると、先ほどの冒険者が呻いていた。


「……あの子、怪我も治りきっていないし、魔力も足りてないわね」

「え?」


 まるで近くでじっくり観察したようにメイプルは解説してくれたが、その声音は少し険しい。


「失った血液を魔力でカバーしているし、ギリギリ一命は取り留めているけれど……ダメね。あのお姉さんも腕は悪くないみたいだけれど、あれじゃあ足りないわ」

「……ふむ」


 つまり、あの魔法使いさんを超える回復魔法を使えばいいということか。

 それなら、当てがある。

 あの冒険者だけを狙って、目立つことなく魔法を送る方法もすぐに思いついた。

 怪訝そうなメイプルを連れて近くの物陰に入り、周囲を素早く確認してから、右手をピストルの形にして狙いを定める。

 ただ、俺の当てが外れたら嫌なので、今更ながらメイプルに最終確認だけしておこう。


「なぁメイプル、ここから回復魔法って飛ばせるか?」

「えぇ、できるわ……ってまさか」


 最終確認よし。

 回復魔法を圧縮して円錐形にしたものを高速回転させる様子をイメージしながら、右指先に魔力を集中させた。


「えいっ」


 右指先から回復魔法が放たれ、音も無く一瞬で目標である冒険者に命中した。

 さて、成功したと思うが……。固唾を飲んで見守っていると、小さなうめき声が聞こえた。

 失敗したか?! と心臓が跳ね上がったが、


「……ここは……?」


 冒険者が目を覚ました。


「……あれ? ナンナ?」

「っぅ、フリージア!!」


 仲間の一人がわぁっと彼女に抱き着くと、周囲の人々もどよめき、称賛の声を上げ始めた。

 感動の光景を前に、治癒をしていた魔法使いさん自分の手と冒険者を交互に見て、「え? 私? 私がやったの?!」という具合に驚いている。

 すみません、やったのは俺です。


 よかった、成功したようだ。

 安堵の息を吐いてメイプルへと目をやると、少し驚いた様子で俺を見上げていた。


「アンタ、中々やるじゃない」

「いや、今朝、メイプルが俺に魔法をかけてくれていたおかげだよ」


 メイプルが俺にかけてくれた回復魔法は、エルナが驚くような凄いものだったから、あの魔法ならいけると思ったのだ。


「まぁ、結果オーライって奴だな」


 とにかく、助けることができてよかった。


 あぁ、まだ治癒のお姉さんは現実を受け入れられていないようだ。

 周囲の他の魔法使いさんたちから「やったわね!」「凄い凄い!」と肩を叩かれ賞賛されているのを、違う違うと物凄い勢いで否定しているのだが、謙遜していると思われているらしい。

 すまん、そのまま誤解されたままでいてくれ。そして願わくば、そんなすごい治癒魔法が実際に使えるほど成長して欲しい。

 一人の英雄(ぎせいしゃ)を生み出した俺たちは、人ごみに紛れながら、大通りへと入って行ったのだった。


ナンナ「よ゛がっ゛だよ゛ぉぉぉ……」

フリージア「……あれ? あの人…………」

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