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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第三章 サキュバスとエロ漫画野郎と流浪の聖女
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1-1 サキュバス一行と破壊神 運命の相手、空の旅

お待たせしました。

 恋愛漫画で運命の相手と言えば、大体においては結婚や恋人になる人物を指している。

 登校中に曲がり角でぶつかって、新入生or転校生として再会する、なんてベタな展開は、よくありそうで、現実にはないイベントだ。

 困っている人を助けたら実は噂の先輩だった、みたいな出来事なら、それっぽいものを体験したことはある。まぁ、それは数年前の面白エピソードとして、記憶の片隅に今はもう一度しまっておくとして、だ。


 運命の相手と言えば、俺はこの世界で何人か出会っている。


 まずは俺を助けてくれた冒険者の少女エルナ、俺たちを旅へと導いた日本人転生者にしてサキュバス幼女のメイプル、上級冒険者で第二王女のセイジュさん、元ダンジョンマスターでゴーレム研究者の半魔神ロール、俺とメイプルの事情を色々知っている最強無敵の巨人・大食い。

 そして、旅好きの最強破壊神ヴァーヴァリアスことリアさんと、俺たちの旅を見守る運命の女神ナターシャさん。

 他にもたくさんの人と知り合って、交流した。皆いい奴らだった。

 一人だけ超が付くほどにヤバい奴もいたが、それは置いておこう。


 彼女たちは、この世界で俺の人生や地球への帰還という最終目標において、運命的な出会いだと認識してもいいだろう。

 恋愛要素?

 そんなものはどこにもない。

 あるとしたらそれは――――普通に、友情だ。




 現在、俺、メイプル、エルナ、セイジュさん、リアさんの五人は、最初に立ち寄った街ラベルを出立し、セイジュさんの父親が治める国を出ようとしている。

 国王がラベルで仕掛けてきた『試練』は難なく乗り越えたが、これから先にまだ刺客の類がいないとも限らない。下手をすると、多勢力からの刺客が潜んでいる可能性もあるのだ。


 考え過ぎかもしれないが、万が一ということがある。

 いくら俺たちが力を持っていようと、敵対者や邪悪を近づけない聖域魔法を展開していようと、神様ですら一瞬見失う超高性能隠蔽魔法を発動していようと、油断をしていい理由にはならない。


 実際に、メイプルと俺の聖域・隠蔽魔法を神様でもないのに完全無視して察知してくる、超が付くほどヤバい奴を、一人知っている。そう言う奴が他にいる可能性はゼロではない。


 奢れるものは久しからず。魔王が勇者たちに倒される、無敵の女性戦士がモブや魔物にまさかの惨敗、などがいい例だろう。


 と言う訳で、俺たちは最速かつ最も安全な方法で国境を超えようとしている。


 リアさんが長距離を一瞬で移動できるみたいだが、彼女に頼りすぎるのはどうかとも思うし、リアさんからも「これくらいは何とかしてみよ」と言われている。


 だから、空を飛ぶことにした。


 空を飛ぶと言うのは人類の夢であったが、今日の地球では大小様々な航空機が目に見えない空路を飛び交っており、チケットさえ購入すれば誰でも空の旅を楽しむことができる。

 ファンタジーだと、箒にのった魔法使いや翼の生えた種族、魔物が空を飛んでいるし、時々ロボがロケットだか魔法陣だかで飛翔しているパターンもある。

(メイプルたちサキュバスも、羽もないのにふよふよと宙に浮かび、飛ぶことができる。)


 さて、それらを踏まえた上で、晴樹こと俺の飛翔方法は……、


1、防御用に薄透明な魔力障壁を作り出す、シールドの魔法を必要分だけ大きくする。

2、全員がそれに乗ったら、メイプルと俺で各種魔法を全員にかけて安全を確保する。

3、風魔法でシールドを浮かせ、群青色のジェットを足元に展開した魔法陣から噴出させて飛ぶ。よい旅を。


「ね、簡単でしょ?」


 メイプルがニコニコ笑顔で解説すると、エルナは笑顔になった。


「うん、凄いね。でもこんなに簡単に空を飛べるなら、今頃馬車やドラゴンライダーはいらなくなっていると思うの」


 笑顔を浮かべているのに、エルナの目からはハイライトが大分失われている気がする。

 何度か乗ったことがあるセイジュさんや、神様であるリアさんはそれぞれ自由にくつろいでいる。これが、余裕ある者の差か。

 SAN値が危ういエルナを他所に、メイプルのテンションは下がることを知らない。


「もっとスピード出しなさいよ契約付きぃ」

「うるせぇコ○マに突っ込むぞマゼンダリンクス」

「私どっちかっていうとジ○ーシン派なんだけど」

「誰が家電量販店と申したか」

「ハルキ、前を見て操作してほしいかな?」


 その後、セイジュさんとエルナの指示に従って進行方向を適宜調整し、おやつ時には無事、国境を超えることに成功した。




「行ってしまったな」

「えぇ、これまた派手にね」


 冒険者ギルド・ラベル支部の支部長室で、冒険者ギルドマスターのナリア・エクスードと、ラベル支部長のレリック・ソーシャがカップを手に談笑していた。二人は幼馴染でもあり、冒険者時代に苦楽を共にした親友でもあった。


「――ところで、ハルキ君とカエデちゃんに、ココロ君の事は話してあるのかい?」

「? いえ、私からは話していないわ。セイジュが話すからって」

「セイジュが? あー……なるほど」


 ナリアは空いている方の手を額に当てて「あちゃー」とわざとらしい声を上げた。


「どうしたのよ?」

「セイジュはきっと、いや、間違いなくハルキ君たちにココロ君の事を話していない。恐らくだが、二人の故郷がココロ君と違うと知り、それから立て続けに色々あったから、すっかり話すのを忘れている可能性が高い」

「あぁ……」

「まぁ、だからと言って何か悪い事がある訳じゃない。もしかしたら……」

「もしかしたら?」

「いや、なんでもないよ」

「嘘。ねぇナリア。セイジュのことを一番よく分かっているのは貴女でしょ? あの子が何をしようとしているのか教えてくれてもいいでしょう?」

「おや、今日は随分と食いついてくるね?」

「そりゃそうでしょ。ココロちゃんに思うところがない人なんて、冒険者ギルドにはいないもの」


 ソーシャが寂し気に顔を伏せると、ナリアは「大丈夫さ」と言い切った。


「何が大丈夫なのよ?」

「セイジュだって、ココロ君の事を大切に思っている。恐らく、彼女がハルキ君たちと出会って……」


 そこまで言って、ナリアが明後日の方向へ顔を向けた。


「どうかしたの?」

「……そう言えば、勇者君には優秀な使い魔がいたなぁと」

「え? 使い魔なんて知らないわよ? ロールちゃんと召喚契約を結んでいるだけよ」

「……まぁいいか」

「よくないー! ねぇ、何を知っているのよ!」

「そのうち話すよ。それより、今日も早く帰られるようにした方がいい。旦那や子どもたちが待っているだろう?」

「話を逸らさないでよ。もう、昔からそうやって色々隠すんだから」


 頬を膨らませるソーシャだが、ナリアが何も単に意地悪をしている訳ではないことくらいはわかっている。それくらい重要な秘密なのだろう。


「いつもすまないな」

「いいわよもう。それより、ココロちゃんの方! そっちは教えてもらうわよ」

「わかった、わかった。そうだな……」


 もう一度、今度は視線だけを宙へ向け、ナリアは続けた。


「セイジュはきっと――――」



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


百話です。

これからもよろしくお願いします。



○以下、まったく関係ないつぶやきです。


原作を読んでいないので、先の展開がまったくわからずに毎週ドキドキしながら楽しんでいましたが……。

まさか、OPで彼女の名前があぁなっていた理由が……わかって「うわぁぁっ」って切なくなってしまいました。

第一話からの伏線が回収されまくった十一話でした……悲しいけど熱い。

あと、OPが話の進行に合わせて変化していく演出も、EDの毎回違う写真も好きです。OPとEDない話も多いですが、それはそれで。

彼方のアストラ、最終回が楽しみです。

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