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アンデルセンの童話  作者: 半信半疑
17/21

17 雪の女王 三番めのお話 魔法を使うおばあさんの花園

「彼を探して」


 長く暗い冬は過ぎて、あたたかい春になった。

 赤い靴を履き、彼を探して彷徨う。

 町の外にある川の流れに身を任せ、

 着いたのはサクラの園。


 彼を見なかったでしょうか。

「ふたりで、仲よくやっていこうじゃないか」

 魔法で彼のことを忘れていく。

 バラの花が、消えていく。


 けれど、庭のバラは消せても、

 帽子にかかれたバラは消せていなかった。

 涙が土に落ちて、バラの花を咲かせた。

 あぁ、どうして彼を忘れていたんだろう。


 おばあさんの花園に咲く、

 綺麗な花たちに聞いてみる。

 彼のことを知りませんか?

 町からいなくなってしまったんです。


 バラは言う。

  死んだ人の中にカイちゃんはいませんでしたわ。

 オニユリは語る。

  一人の男のことを想う、インド人の女の話を。

 ヒルガオは語る。

  お城のバルコニーで誰かを待つお嬢さんのお話を。

 マツユキソウは歌う。

  ゆらゆら揺れるブランコとふわふわとんでく水の泡の歌を。

 ヒヤシンスは語る。

  湖の上を静かに滑る三つの棺桶の話を。三人姉妹の亡骸の話を。

 タンポポは歌う。

  幸せなキスと黄金の歌を。

 スイセンは語る。

  かわいらしい踊り子がくきの上に立っている話を。

  自分自身を見ることができるということを。


 庭のはずれの戸を外し、一目散に走り続けた。

 あまりに疲れたから、近くにあった石に腰を下ろす。

 あたりをながめると、

 夏はすぎさって、秋も、もう終わりにちかづいていた。


 目に映るのは、寒々しい、ものさびしい景色ばかり。

 あぁ、なんて灰色で、いんうつなんでしょう!


バラの花だけ別格ですね。

それぞれの花の話は、なんだかミステリアスです。

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