10/21
10 とびくらべ
「一番高くとべる者」
一番高くとべる者は?
一番一番高くとぶためには?
ノミはきれいなおじぎをした後、
誰も見えないとこまでとんだ。
誰も見えないので、本当にとんだのか疑われた。
「ちっともとびはしなかった」
バッタは自分の生まれを披露し、
ノミの半分の高さまでとんだ。
それから王さまの顔にぶつかってしまった。
「これは、けしからん」
とび人形は何も語らず何もせず、
心配した犬が一嗅ぎすると、パン、と、とんだ。
お姫さまのひざ上は一番高いところだった。
「頭に骨があるというわけじゃ」
からだがいるのだ、からだがいるのだ。
”一番高くとぶ”ためには、からだが必要なんだ。
・とび人形
→原書では、とびガチョウ。ガチョウの骨で作ってある子どものおもちゃで、さわると飛び上がる仕掛け。
実際に一番飛んだのはノミなのかもしれない。けれど、ここではとび人形が一番飛んだことになっている。飛んだ順に言うと、ノミ・バッタ・とび人形。バッタが飛び終わった後、王さまは言った。
「だが、わしには、自分のやりかたもあるし、自分の考えもあるのじゃ」