ニンフェットに捧げて
愛しい愛しい愛しい愛しいニンフェットへ
我がニンフェット
よく日に焼けて
小麦色の肌をつやつやと
まなこの中に見ゆるは何ぞ?
お前はまだ名前を知られぬ宝石
それも原石だ
お前のような原石に名付け親がいないことを
世界中の博愛主義者は喜ぶがいい
なぜなら名付け親はお前に唾をつけるから
お前のような原石を磨き上げる研磨師がいないことを
世界中のクレプトフィリアは喜ぶがいい
なぜなら研磨師はお前から未熟を奪い去るから
ずうずうしい無哲学の
破壊者を私は殺す
年ふる大洋に黙祷を
そいつらは大海原の屑になる!
年ふる大洋に親愛を
そいつらは大海原の血潮になる!
年ふる大洋に贖罪を
みよ、私は殺す
無哲学という哲学の愚かしさを掌に感じながら
迅速に屠殺するのだ
甚大なる盗撮者
私は許さない
決して許さない
稲穂のニンフェット
私の温もりで育て
きっと時を忘れさせてあげようね!
そうしたら私たちは永遠の住人になる
構わない、現実よ、構わないから、さっさと私たちのそばを通り過ぎるがいい
コマ送りの写真はどれもが止まっているのだから
連続しないことに永遠があるのだから
きっと鉄格子で覆うてあげようね
かわいいかわいいニンフェット!
デンドロフィリエット、私は君らを理解するよ
樹木の遺伝子に
時の流れの荒廃など組み込まれてはいないのだから
だから私のか弱いニンフェット
いつまでも苗のままでいなさいよ!
大きく育った樹木は
幹を断ち切られてしまうのだから
ニンフェット……私のニンフェット!
この手紙を読み終えたらすぐに焼却して破棄するように。二度と繰り返し読んではならない。それはすでに腐りきっている。