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刃‐ブレイド 悠久ニ果テヌ花  作者: 秋久 麻衣
「旋回と献身」
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二対の畏怖


「リオ、大丈夫だよ。私が守るから。その為にここまで来たんだから」

 返事を待たずにトワは二対の機体に近付き、トワが使うと言った《羽持ち》の操縦席に入っていった。いつの間にハッチが開いていたのかは分からないが、本当に搭乗兵器だったとは。今まで死んでいた機体に命が宿るかのように、《羽持ち》の装甲が蒼く染まる。不動の騎士が腰を上げ、すらりと直立したその姿は。ifとはあまりにも違う。

「はあ。使ってもいい、か」

 トワと同じように機体へ近付き、今尚鎮座しているそれへ歩み寄る。背中に長剣を担いだ《長剣持ち》だ。見上げるとそいつの顔が良く見えた。人と同じようなカメラ配置、所謂ツインアイを採用していることが分かる。ifは基本的にマルチアイ、複眼をバイザーで保護している。それに比べツインアイは消耗、損傷に弱く演算機能も大幅に下がる。

 どうハッチを開けるか考えた瞬間、《長剣持ち》の胸部が開いた。何もかもお見通しなのか、偶然か。今はどちらでも良かった。

 ハッチまで這い上がりシートへ座り込む。独りでにハッチは閉まり、身体がシートに固定される。照明のない操縦席はひどく暗い。目が慣れてきてから気付いたが、この操縦席にはハンドグリップもペダルもない。正確には何もない、僅かなスイッチ類すら見当たらないのだ。

 真っ暗闇の中、僅かな衝撃と破砕音が聞こえる。敵ifが直ぐそこまで来ているのだろう。焦燥感に駆られながらもう一度暗い操縦席内を見渡す。

「これ、何だろう?」

 本来ハンドグリップがあるべき位置に、不釣り合いな球体が備えられている。丁度手の平が置けるだけの大きさがあり、ハンドグリップと同じように左右一つずつある。

「訳が分からないことばっかだ」

 ぼやきながらも、これぐらいしかここにはない。意を決して、それぞれの球体に手を添えてみた。

 瞬間、真っ暗だった世界が唐突に光を帯びた。目の前の光景が、崩れかけた壁が、その奥に見え隠れする黒塗りの《カムラッド》が、自分の視界に映し出されていた。

 メインウインドウに、ではない。自分の目で直接見ているのと何ら変わりない。それだけではない。自分の身体と、《長剣持ち》の区別が付かない。機体そのものになってしまったとでもいうのか。

 嫌悪感が込み上げてくる。この没入感はBFSを駆動した時とよく似ていた。忌々しいシステム、あんな物さえなければ。

 ふと隣を見ると、蒼く染まった《羽持ち》がこちらを見ていた。トワもこうやってこの機体を動かしているのか。脚に力を入れて立ち上がる。自分の意思で動いているのに、自分の足ではない。情報の差異におかしくなりそうだが、そんな余裕はない。

 トワの操る《羽持ち》が正面を向く。猶予はない。正面に向き直ると同時に、壁が爆発で吹き飛んだ。

 敵は三機、黒塗りの《カムラッド》だ。もしかしたら前回の相手と同じかもしれない。黒塗りの《カムラッド》は閉所での戦闘を考慮してか短機関銃を装備している。大穴が空いた壁の向こうから、短機関銃のみを向けてこちらに掃射してきた。

 考えるよりも早く《長剣持ち》は横に飛んで射線から逃れた。思考と行動のタイムラグがない、むしろ早過ぎるぐらいの反応に戸惑いを覚えるが、困惑ばかりもしていられない。

 別の方向へ跳躍して射線を回避していたトワの《羽持ち》が、間髪入れず左腕を前に向ける。人でいう肘の辺りから手の甲の先まである、小盾のような装備が左右に開く。じりと瞬いたかと思えば、次の瞬間には光の帯が壁ごと黒塗りの《カムラッド》を焼き払っていた。圧縮粒子を用いた最強の矛、粒子砲を《羽持ち》は撃ったのだ。それもただの粒子砲ではない。圧縮純度が尋常ではなかった。

 穿たれた壁は先程の爆発とは比べものにならないほどぐずぐずに焼け落ち、直撃を受けた黒塗りの《カムラッド》は熱波をもろに受けて金属のゼリーと化している。驚いたのは、直撃を免れた筈の黒塗りの《カムラッド》すら被害を受けているということだ。直撃せずとも横を通り過ぎていくだけで残留熱波に焼かれる。これはBSや要塞に用いるような高出力の粒子砲と同等か、それ以上の破壊力を持っているということになる。

 敵ifは残り二機、まだ《羽持ち》の一撃で立ち直れていない今のうちに、数を減らしておいた方がいいだろう。

 前に大きく踏み込む。狙いは正面、《羽持ち》を警戒して距離を取ろうとしている黒塗りの《カムラッド》だ。爆発炎上しているこちらの《カムラッド》を進行方向に捉える。スクラップに興味はないが、近くに転がっているE‐7ロングソードは無傷のようだ。使わせて貰おう。

 既に役目を果たせなくなった壁を越え、柱の乱立する大部屋に出た。傍にあるスクラップを跨ぐように飛び越える。その動作の途中に右腕でE‐7ロングソードを拾い上げ、腰の辺りで構える。横薙ぎの構え。バーニアを軽く蒸かして大きく距離を詰めようとする。

 黒塗りの《カムラッド》が動きに気付いたのか、後方に跳ね回りながら短機関銃をこちらに向けた。そのまま小口径弾を浴びせてくるが、狙いは正確ではなくあくまで牽制のつもりだと分かる。最小限の動きで射線を回避し、乱立する柱で射線と視界を遮る。

 低い姿勢を維持したまま踏み込み、柱の向こうにいるだろう黒塗りの《カムラッド》へ向けてE‐7ロングソードを横一線に振る。

 両断されていく柱の向こうに、横に飛び退く黒塗りの《カムラッド》が見えた。紙一重という所で避けられてしまったようだ。短機関銃の応射を避けるために少し距離を取る。

 トワの《羽持ち》も残る一機を追い掛け回している。追い掛けられている黒塗りの《カムラッド》は防戦一方で、撃破は時間の問題だろう。

 必然、自分の相手はこのままということだ。先程の攻防でこの《長剣持ち》の性能は把握出来た。銃火をかいくぐり、一太刀入れることはそう難しくない。

 《長剣持ち》の足は速い。加えて柱が乱立しているこの環境では、通常操縦の《カムラッド》では機動力を生かし切れない。

 呼吸を整え、思い切り地面を蹴る。柱で射線を遮りながら徐々に距離を詰めていく。黒塗りの《カムラッド》も器用な操縦で柱を避けつつ後退しているが、こちらの方が何倍も早い。

 直進し、真横にある柱を思い切り掴む。勢いを殺さないように方向転換し、黒塗りの《カムラッド》の意表を突こうとする。バーニアを蒸かし、刃が届く位置まで一気に飛び込んだ。

 黒塗りの《カムラッド》は短機関銃を捨て、両手を腰の後ろに回した。何を繰り出してくるかは分からなかったが、この間合いでE‐7ロングソードを回避できる余裕はないだろう。

 両手で握り締めたE‐7ロングソードを、左肩に添えるように構える。そのまま振り下ろし、黒塗りの《カムラッド》へV字に斬り付けた。この斬撃は両腕と両足を狙っており、どれか一つでも断ち切れば大幅な戦力低下が望める。防いだとしても、勢いのついた実体剣に吹き飛ばされる。追撃は難しくない。

 しかし、振り終えた後に宙を舞っていたのは黒塗りの《カムラッド》でも、その手足でもなかった。刀剣が最も破壊力を宿す刃の中央、そこから先が風車のように宙を舞っていた。E‐7ロングソードが折れた、それだけ理解し体勢を立て直そうとする。

 いや、折られたと言った方が正しい。黒塗りの《カムラッド》が腰の後ろから引き抜いた代物を見てそう確信した。

 溶接用バーナーを思わせる小型の近接兵器、通称トーチナイフ。予め圧縮してある粒子を僅かな範囲のみに放出することによって、極小の粒子剣として用いる兵器だ。使い捨てではあるが、強力な粒子斬撃が可能となる。黒塗りの《カムラッド》はあのトーチナイフで、E‐7ロングソードを焼き切ったのだ。

 まだトーチナイフは粒子を放出している。黒塗りの《カムラッド》が滑り込むように間合いを縮め、こちらの胸部目掛けて最小の動きでトーチナイフを振る。

 その腕を横から叩くように押し退けた。粒子の刃が操縦席の直ぐ横を通る。距離を離そうと後退するが、そのタイミングを見計らったかのようにトーチナイフが一文字に振り払われた。完璧なタイミングで繰り出された必殺の一撃は、しかしこちらの操縦席を焼くことはなかった。粒子の放出は終わっている。トーチナイフ最大の泣き所、効果時間の短さに助けられた。両脚に力を入れ飛び上がり、近くにあった柱を蹴り飛ばして一気に距離を取る。仕切り直すしかない。

 この黒塗りは強い。動きから察するに相手はBFSではなく通常操縦を用いている。感覚的にこちらの斬撃に合わせたのではない。こちらの斬撃軌道を読んだ上でトーチナイフを起動、ブレードレティクルをマニュアルで使用し、狙い澄ました一撃でE‐7ロングソードを焼き切った。手強い相手だ。

 もう武装はダガーナイフと同程度の刀身になってしまった、このE‐7ロングソードしかない。元が冗談のように長い刀剣だったせいか、やけに頼りなく見える。それでも、今頼りに出来るのはこれだけだ。

 どう攻めるべきか。次の一手を頭の中で構築する。ふと、その思考にノイズが走った

この空間が丸ごと塗り替えられていくような、そんな空気の変質を感じる。

 トワの《羽持ち》も攻撃の手を止め、周囲を伺っていた。この嫌な空気は以前にも経験したことがある。姿を現す前から、それが‘何か’分かった。

 翡翠の線が空を裂き、それを形作っていく。描き終えた端から瞬き、艶めかしい銀の身体を晒した。全長一メートル程の細長い楕円形に、薄い膜のような羽が一対となって羽ばたく。

 トワと初めて会った遺跡でも目撃した未確認機だ。正確には機械かどうかも分からないが、便宜上《アンノウン》でいいだろう。柱の乱立する大部屋を埋め尽くす勢いで、翡翠の線は踊り続けている。

 トワの《羽持ち》が《アンノウン》に向け、両腕の粒子砲を連続で放つ。熱波に焼かれ跡形もなく朽ちていく《アンノウン》だが、消えた数よりも現れる数の方が多い。

 予備動作なしで無数の《アンノウン》が降り注ぐ。直線的だが早いその突撃は、一つ一つなら大した損害ではない。横に跳ねるようにその暴風雨を回避していく。目標を失った《アンノウン》が次々と床に突き刺さり、小爆発を起こす。その破壊を受け止めた石畳が無数のクレーターと化した。

 トワの《羽持ち》も、その相手をしていた黒塗りの《カムラッド》も、《アンノウン》の迎撃と回避を優先している。この《アンノウン》とまともに戦っていては身が保たない。単体では脅威でも何でもないが、真に恐ろしいのはその数だ。無尽蔵に翡翠の線が踊り、瞬く度に現れる。

 戦況がどうであれ、ここから出ることを優先した方がいいだろう。四機で協力して迎撃していけば、無傷で切り抜けることも可能かもしれない。少なくともここで鉄屑にされることはない。

 迫る《アンノウン》を柱で防ぎながら、出口へ近付こうと模索する。だが、意識の端が脅威の接近を身体に知らせた。《アンノウン》とは違う脅威、投擲されたナイフを後方に跳ねて避ける。柱に突き刺さったナイフは次の瞬間には炸裂し、柱を真っ二つに爆破していた。

「どういうつもりだ。状況が分からないのか?」

 先程まで対峙していた黒塗りの《カムラッド》は、《アンノウン》を回避しながらこちらへ攻撃をした。この状況を気にも止めていない。こちらとの決着をつけるつもりだろう。

 黒塗りの《カムラッド》は右腕にダガーナイフを、左腕は腰の後ろへ回していた。今投げつけてきたのはフラグダガーだろう。刀身に炸薬が仕込まれており、指向性を持たせた爆破が可能となっている。突入時の障壁爆破に使用したり、先程のように敵に突き刺してもいい。

 この黒塗りの《カムラッド》は、腰のアタッチメントにトーチナイフとフラグダガーを装備している。他にも何か持っているかもしれないが、基本の攻撃を右腕に装備した通常のダガーナイフで、搦め手として腰に回した左腕から各種ナイフを繰り出すといった所だろう。通常操縦で二刀流はかなり難度が高い。加えてこの《アンノウン》が降り注ぐ状況でまともに戦えるとは思えないが、こいつはやってのけるだろう。

 嫌な相手に睨まれたものだ。まずはこいつを何とかしない限り、ここから逃げることは出来ない。ここに突入してからかなり時間が経っている。作戦通りなら外に迎えが来るまでもう時間がない。

「二分間は、付き合ってあげるよ」

 意を決して向き直る。《アンノウン》を回避しながらこいつを無力化する。無謀だがやるしかない。

 再び黒塗りの《カムラッド》へ向け、思い切り踏み込む。降り注ぐ《アンノウン》を避けながら一直線に突っ込んだ。狙うのは最も有利な超至近距離での戦闘だが、黒塗りの《カムラッド》は適度に後退しながら一歩引いた距離を保っている。黒塗りの《カムラッド》の右腕に装備している、ダガーナイフの適正距離だ。

 繰り出されるダガーナイフの剣戟を、折れたE‐7ロングソードで受け止める。互いに牽制の斬撃を繰り返し、有利な位置を確保しようとそれぞれの戦闘機動を行う。

 迫る《アンノウン》を相対距離を離すことで回避し、互いに詰め寄り、斬撃の応酬を再開する。

 黒塗りの《カムラッド》が振るうダガーナイフは、手数は少ないが狙い澄ました一撃が恐い。しかしこれ自体は決定打にならない。こちらを仕留める際は、腰の後ろに回した左腕が動く。乱用はしない、ここぞという時に使う必殺の一撃だ。ならば、付け入る隙はそこしかない。

 こちらの膝を狙ったダガーナイフの振り下ろしを、E‐7ロングソードで受け止めるのではなく、大きく左に飛んで避けた。まだ近距離の間合いだが、ナイフで攻撃するには遠い。

 黒塗りの《カムラッド》、その左腕が動く。この距離で繰り出されるフラグダガーの投擲は、とても目で追える物ではない。回避も迎撃も困難な必殺の一撃、付け入るべき隙だ。

 ろくな狙いも付けずにE‐7ロングソードのトリガーを引く。鍔に内蔵された散弾を全て撃ち尽くす。無数のペレットは投擲されたフラグダガーを引き裂き、狙い通り吹き飛ばしてくれた。

 黒塗りの《カムラッド》は姿勢を低くしながら前進して、散弾の効果範囲から逃れていた。ここまでは、お互いにとって予想通りの結果だろう。そもそもこの黒塗りの《カムラッド》は、こちらの戦い方を知っているような動きをしている。ならばE‐7ロングソードに仕込まれた散弾も予想の範疇にあって当然だ。こちらの手札は使い切ったと、そう相手は考えているだろう。

 飛び込んでくる黒塗りの《カムラッド》が、再び左腕を動かす。フラグダガーによる投擲、防御手段である散弾を使ってしまった今、それは文字通り必殺の一撃となった。相手と、そしてこちらの思惑通りに。

 E‐7ロングソードを破棄し、バーニアを全開にして相手の懐に飛び込む。低い姿勢、加えて移動中に投擲されるナイフの射角はたかが知れている。投げることさえ分かっていれば、見えなくても避ける余裕はある。

 投擲されたフラグダガーが横すれすれを通り過ぎていくのが知覚できた。黒塗りの《カムラッド》は今までと違い、後退ではなく前進してしまっている。回避は不可能、こちらの必殺の一撃、正面から体当たりを仕掛けた。追突し、超至近距離での戦闘へ持ち込む。

 これが人と人との取っ組み合いならば、素早くナイフを持ち替えて対処することは可能かも知れない。だが、通常操縦の《カムラッド》にそんな芸当は出来ない。

 距離を離す隙は与えない。苦し紛れに振るわれたダガーナイフを、腕を直接掴んで止める。そのままぐいと引き寄せ、空いている方の手で黒塗りの《カムラッド》の腰からフラグダガーを拝借した。手の中で回転させ逆手に持ち替え、抵抗を続ける黒塗りの《カムラッド》の頭部に突き刺す。間髪入れず背負い投げの要領で、黒塗りの《カムラッド》を後方へ投げ飛ばした。

 フラグダガーが炸裂し頭部が吹き飛んでいくのが見えた。床を転がりながら、それでも姿勢を立て直そうと黒塗りの《カムラッド》はもがき続ける。その必死な、しかし無防備でしかない機影に《アンノウン》が殺到した。

 だが、目標へ到達する前に《アンノウン》は次々と炸裂していく。撃ち落とされた《アンノウン》の爆炎を突っ切って降り立ったのは、もう一機の黒塗りの《カムラッド》だった。こちらを一瞥すると、尚も衰える気配のない《アンノウン》に向け短機関銃のトリガーを引く。三点射された小口径弾が素早く、正確に《アンノウン》を捉えていく。

 仲間を見捨てることは出来なかったのか、装填しては撃ってを繰り返していた。その姿から背を向け、出口を目指す。

 トワの《羽持ち》と合流し、今まで来た道をひたすら戻る。《アンノウン》の追撃を躱し、時には迎撃しながら脱出を急ぐ。《羽持ち》の粒子砲の威力はお墨付きであり、この《長剣持ち》の機動力も悪くはない。そこまで難しい事ではなかった。

 今はただ時間だけが差し迫っている。とにかく急ぐことだけを考え、残りの思考を外に閉め出す。このよく分からない現状も、その大元であるトワのことも、ここで悩んでいても仕方のないことだ。

 ふと残してきた黒塗りの《カムラッド》二機が脳裏に浮かぶ。助ける義理はなかった、そう切り捨てるのは楽だ。事実、そうとしか思えない自分がいる。でもそれは、果たして人として真っ当な意見なのだろうか。

 疑問も疑念も外に閉め出す。今考えても、どうにもならないことなのだから。

 あの状況下では、長くは保たないだろう。追っ手の心配はないと都合の良いように解釈し、ただただひたすらに前へ進むことを意識し続けた。

 必死に逃げるように。

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