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刃‐ブレイド 悠久ニ果テヌ花  作者: 秋久 麻衣
「青嵐と窮愁」
122/352

約束を形にして



 幾つかの検査を行い、特に問題なしという結果を得た。リオは息を吐き出し、静かになった医務室を見渡した。リクライニングを上げたままのベッドで、ただ座っている事しか出来ない。

 ミネラルウォーターのボトルが床頭台の上にある。あまり一気に摂取するものではないので、先程一口だけ飲んだ。久しぶりの飲食、という事になる。

 一通りの検査が終わり、アリサは奥に行ってしまった。折角の再会を邪魔するのは悪い。そう言って引っ込んでいったのだが、肝心のトワはまだ帰ってきていない。服を着替えてくるのだと出て行った訳だが、そんなに時間の掛かるものなのか。

 ベッドを囲うカーテンは、アリサに頼み開けて貰った。カーテンだけを見ていても仕方がないし、ここからなら扉が見える。トワが帰ってきたら、すぐに分かるだろう。

 手の届く位置にある籠には、自分の着替えがある。だが、しばらくはこの患者衣のままだ。相変わらず点滴は繋がっているし、動きたくても身体は動いてくれない。

 床頭台の引き出しを開けると、幾つかの私物が入っていた。PDA……個人用情報端末や、身分証などだ。そして。

「……良かった。ちゃんと」

 ここにあった。飾り気のないネックレスに通された、二対のエンゲージリングだ。少し大きなリングと、少し小さなリングが、そこにはちゃんと重なり合っていた。

 後は、トワの到着を待つだけだ。色々な事を聞かなければいけないし、これからの事も話さなければいけない。でも、まずはこれを渡す。全てはそれからだ。

 そう意気込んで待っているのだが、中々扉が開かない。着替えなんて数分と掛からずに終わるものだと思っていたが。女の子には、そうもいかない事情があるのだろうか。

 それとも、視界が不明瞭だから何か苦戦していたり。また派手に転けて怪我をしていたりするのだろうか。だとしたら一大事だし、ここでゆっくり待っている訳にはいかない。

 両足に軽く力を入れてみるが、しっかり歩けるかどうかは微妙な所だった。車椅子みたいな物があれば、何とか動き回れるかも知れない。そう思って周囲を探るも、それらしい物は見えなかった。

 どうするべきか考え、やはり探しに行こうと決心した時に、ようやくその扉はスライドしてくれた。そして、その瞬間に。色々と考えていた難しい事柄が、全て吹き飛んでいくように思えた。

 ぱたん、というスリッパ特有の音を響かせながら、トワが医務室に入る。

「……ふふ」

 そして、その姿を見て。我慢できずに笑ってしまった。それは本当に、本当に久しぶりに聞いた自分の笑い声だ。だって、こんなの笑うしかない。

「本当に、ふふ……ドレス着てくるなんて……はは」

 多分トワは本気だから、笑ったら失礼だって分かってはいるのだけど。どうにも収まってくれそうにない。

 それは、確かに時間が掛かるだろう。パーティー用のロングドレスだろうか。レースで装飾されたそれは、ウエディングドレスとまではいかないにしろ、普段着として着こなすような物ではない。純白に染められているから、どうしてもウエディングドレスという言葉が連想されてしまう。

 髪の毛も入念にセッティングされており、トワ本来の癖を活かすようにふんわりとした髪に仕上げている。普段は前髪が少し目に掛かっているのだが、今はその赤い目がよく見えていた。

 気持ち程度の化粧がしてあり、目の下にあった筈のくまは目立たなくなっている。頬の血色もよくなっており、柔らかく温かい印象を見る者に与えるだろう。

 グロスでも使ったのだろうか。小さな唇が少しだけ光沢を持ち、今は真一文字に結ばれている。

 ノースリーブのドレスだから、その細い肩が凄く目立つ。白い細腕に装飾はないが、そんな物は端から必要ないと思う。その肌は勝手に照明を受け、淡く輝いているからだ。

 胸と腰の辺りまでは、身体の線がよく見えるデザインをしていた。腰から下は透け感のあるレース生地を何層か使って、ふわりと広がりのあるスカートが形成されている。ロング丈のスカートと何層も装飾されたレースによって、その足はうっすらとしか見えなかったが。それだけやって尚、黄色のスリッパを突っ掛けているのだから大物である。

 ドレスを着てくる、と宣言はしていたが。まさか本当に着てくるなんて思ってもみなかった。だから、その光景がなぜだか面白くて。堪らなく嬉しくて。

 恐らく、イリアやリーファの力を借りたのだろう。何もここまで、完璧に仕上げてこなくても良いではないか。

 ドレス姿のトワは、文句の付けようがない程に綺麗で。いつもなら言葉を失って、ただ見とれる事しか出来ないだろうと思う。

 ただ、今は少し違う。右手で腹を押さえ、込み上げてくる笑い声を必死に押し殺そうとする。せめて大笑いだけはしないようにと頑張っていたが、これはむしろ失礼に値するかも知れない。いつまでもこうしてはいられない。多分、トワからしてみれば相当な覚悟だ。物凄く空回りしているし、誰かそれを指摘しなかったのかと不思議に思ってしまうが、とにかくトワは本気なのだ。

 顔を真っ赤にして、口を真一文字に結んで。こちらをじっと睨み付けている。そんな顔をしても、今のトワは本当に綺麗だから。怖くも何ともない。ただ、絶対にこの後怒った果てに泣くので、程々にしないといけない。

 咳払いをし、気持ちを切り替える。まあ、そんな事をした所で。

 顔を真っ赤にして、不機嫌真っ直中の唸り声を上げているトワには伝わらないだろう。

「ごめん、割と本気で笑っちゃって。近くに来て貰ってもいい?」

 そう言ってみるが、トワは不機嫌顔のままだ。

「……やだ」

 そうだろうとは思ったけれど。トワはかなり機嫌を損ねてしまった。今回は弁明の余地なく、完全に自分のせいなので仕方がない。

「じゃあ、僕から近付くね」

 身体に力を入れ、ベッドの端に腰掛けようと動いてみる。多少はマシになってきたとは思うが、それでも本調子には程遠い。

「……あ」

 あまり物を考えてなかったせいか、小さく呟く羽目になった。いつものように、左手で支えようとしたのがまずかったのだろう。ずるりと滑り、身体が傾いていく。ちゃんと動いている筈の右手ですら、そもそも力が足りず。そのまま床に落ちそうになって。

「……ばかあ!」

 飛び込んできたトワが、強引に僕をベッドに叩き込む。身体全体を使った、非常に合理的な体当たりだった。一番衝撃を受けた胸部に、結構な痛みを感じる。トワはここまで走り、カウンター気味に胸部へ頭突きをかましてきたのだ。

 お陰様で転落は免れた。僕は胸を押さえて痛みに悶えているし、トワは頭を押さえて悶えているが。

「さすがに痛い。でも助かったよ」

「無理な事をしようとするから、落ちそうになるんでしょ。これ、私の方が痛いもの」

 トワは頭を押さえたまま、じろりとこちらを睨み付けてくる。

「トワが嫌だって言うから、僕から近付こうと思っただけ。思ってたより身体が動かなくて、びっくりしたけど」

「びっくりしたのは私の方なのに……。ううん、それはもういいの」

 トワが頭から手を離し、自身の身体をまじまじと確認し始めた。

「そんなに、変なのかな。凄く笑われた」

 最後の方は、少し恨みがましく言われた。正直に言うと、なぜ笑ってしまったのかは自分でもよく分からないのだ。

「変じゃないよ。トワは着飾ると、かわいい女の子から綺麗な女の子になるよね」

 そう、正直な感想を言ってみる。普段のトワはどちらかというと子どもっぽくて、言動含めてかわいく見えるのだが。こうして衣装を仕立て、髪を整えて。化粧を少し施すだけで、驚く程に印象が変わる。ぞっとする程、綺麗に見えるのだ。

 小柄な身体付きは変わらないのに。どこか大人びていて、やけに色っぽく見える。今のトワなら異性は勿論、同性ですら振り向かせる事が出来るだろう。

 まあ、ドレスはやり過ぎだが。

「えっと、つまり?」

 どうやら、いまいちピンときていないようだ。

「やっぱりトワは綺麗だねって」

 ざっくりと、シンプルにまとめてみた。これはさすがに伝わったようで、ちょっと照れ臭そうに顔を伏せている。が、思い出したかのようにこちらをじろと見る。

「じゃあ、何であんなに笑ってたの」

 トワの疑問はもっともだ。何せ自分でも原因がよく分からない。

「何でだろ。これがね、さっきから考えてるんだけど。全然思い付かないんだ。ああ、でも」

 何故だか面白くて。堪らなく嬉しくて。凄く安心して。二対のエンゲージリングが、今も変わらずにそこにあるように。トワもまた、やっぱりトワのままでいてくれて。

「ちゃんとトワが、元気でいてくれたから。何だか、自分の事のように嬉しかったんだ」

 そう伝え、ごく自然に口元を緩める。何かを言おうとしたトワだったが、こちらの表情を見て何やら口ごもり、頬を赤らめてしまった。

「……そういうのずるい」

 そして、そう呟くと。トワは黙々とスリッパを脱ぎ、我が物顔でベッドの上に両膝を付いた。手慣れた様子でベッド上にやってきたトワは、前屈みになるようにして顔を近付けてきた。

「な、え。ちょっと、トワ」

 もう少し近付いたら、鼻先がぶつかってしまうのではないか。それ程までに、トワの顔が近い。肝心のトワは、頬は赤いままだったが。まるでそうするのが当然とでも言いたげな表情だ。

 いや、と冷静に考える。トワの視力は、怪我によって低くなっている。トワにとっての明瞭な視界は、この距離なのだ。ドレス諸々のインパクトで忘れていた。それに、あんまりにも自然に振る舞っていたから。

「ねえねえ、さっきのもう一回見たい。ぼやっとしてても、何となく分かるけどね。でも、ちゃんと見たいなあって。ねえリオ」

 気恥ずかしさから、思わず顔を引いてしまう。が、後ろはリクライニングの上がったベッドと枕に塞がれている。これ以上は下がれないし逃げられない。あまりにも近いから、どう呼吸したらいいのかもちょっとよく分からない。

「トワ、その。もう少し」

 離れて、と言ったら色々と誤解を受けて不機嫌コースまっしぐらだ。

「言っておくけど、離れないからね。リオが近付いてって言ってたもの」

 よく覚えていらっしゃる。一番最初に嫌だってトワは言ってたけどね。

「ねえ、リオ」

 声が吐息となる距離だ。僅かな息遣いすらも、しっかりと知覚出来てしまう。

 ちょっと本当に、心臓が保たなくなるかも知れない。

「あの人に、ファルに会った?」

 そう、トワは少し物悲しげに問い掛けた。

「……会ったよ。よく分かったね」

 トワは首を横に振った。その時にふわりと広がった髪が、こちらの頬をくすぐる。

「分からなかったけど。何となく、そんな気がしたから。だって、私だったらそうするもの」

 トワとファルは、今はもう別人のように振る舞うけれど。ファルは、それでもトワは私なのだと言っていた。そしてトワも、やはりファルを同じ存在として見ている。

「ファルは、これで最後にして欲しいって。もう二度と、私を私として目覚めさせないで欲しいって。それだけを願って、消えていったよ」

 たった一人で戦い続けて、ささやかな願いだけを叶えて。誰がどう見ても、報われない終わり方だと思うけど。

「僕は、僕の知っているファルが見た物を、手に入れた物を。ファルの、最後の光景にしたい。もう二度と目覚めさせない。でも……本当は」

 一切の躊躇いもなく、ファルは自分が消えていく事を選んだ。長い年月が、想像も出来ない程の時間が、あの少女から希望を奪った。

「……あの子だって助けて、もっと色々な物を見せてあげたかったけど」

 戦いと絶望、諦念しか見る事が出来なかったファルに、それだけじゃないと伝えたかった。自分自身、世界の捉え方なんてよく分かっていないけれど。

「ファルが最後に望んだ事は、それじゃなかったから。だから、せめて」

 最後の望みだけは、叶えてやりたいのだ。

 トワは小さく頷き、こちらの頬に触れた。触れられて初めて、自分が涙を流している事に気付く。

「うん、ファルならそう言うと思う。叶えて、あげて」

 トワの細い指が、こちらの涙を拭っていく。ただでさえ気恥ずかしい距離にいるのに、泣いている所なんて見せたくはない。自分の手で涙を拭い、気を取り直す。

 それに、これだけはやっておかなければいけない。

 こちらの決意とは裏腹に、トワはこちらの膝へ跨がるようにして座り直していた。

「ファルの話は、一先ずおしまい。これからは、僕とトワの話をするよ」

 そう前置き、床頭台に手を伸ばす。改めて冷静に考えると、とてつもなく恥ずかしいというか、本当にこれをやる必要があるのかと疑問に思ってしまうが。

「……必要はある」

 小さく呟き、乱れそうになる呼吸を整えた。この期に及んで緊張している心臓に、少しは大人しくしてくれと懇願する。

 そう、必要な事だ。自分以上に、トワは不安に駆られている。自信満々で、謎の行動論理を以て暴虐の限りを尽くすお姫様の癖に。これは自分のせいだと決め付けて、一人で悩んで苦しんで。いつかどこかに消えてしまう。

 それはきっと、これからあるだろう未来の一つだ。その不愉快な光景を、少しでも遠ざける為に。今ここで、勇気を出す事は必要なのだ。

 自身を奮い立たせ、床頭台の引き出しを開けた。そして自分をここまで突き動かした、約束の証を拾い上げる。ネックレスに通された二対のエンゲージリングは、あの時と何も変わらない。変わらず煌めいて、間違えそうになる自分を正してくれる。

 トワにとっても、きっと大切な物だと思う。その小さな煌めきを見て、トワが目を丸くする。

「これがあるから、ここまで頑張れた。これ、買って欲しいって言われた時は困ったよ。結局うまく説明出来なくて、買っちゃったけど」

 だってそうだろう。色々な手順を全てすっ飛ばして、いきなり婚約とか訳が分からない。

「リオは、嫌だった?」

 悲しげな表情を浮かべ、トワがそう問い掛けてくる。

 トワが一緒にいたいと願って、形のある物としてエンゲージリングを選んだ。きっと、それは何でも良かったのだと思う。これさえあれば大丈夫だという、安心が得られるような物ならば。それがたまたま、エンゲージリングだったというだけで。

 でも、動機や経緯は何でもいい。約束の証は、今もここにあって。これにきっと、救われたと思えるから。

「恥ずかしかったかな、指輪なんてしたことないし。でも、後悔はしてない。さっきも言ったけど、これがあるから頑張れた。始まりはトワの我が儘かも知れないけど、それに僕は救われた」

 ネックレスから、小さい方のエンゲージリングを取り外す。右手でそれをつまみ、うまく力の入らない左手をトワに差し出した。

「だから、今度は僕の我が儘で。君にこれを渡したい」

 純白のドレスに身を包んだトワは、分かりやすい程に狼狽えて。頬を赤く染め、顔を伏せようとして躊躇って。こちらの顔と左手を、交互に見ていた。

「私。私その、前よりも賢くなって。その、エンゲージリングの意味、というか。そういうのも、その。何となく分かってる、というか」

 しどろもどろになって話し出すトワに、それは本当に賢くなっているのかと疑問に思う。けどまあ、理解しているのなら話は早い。

「トワは、嫌?」

 だから、それだけ聞いてみた。トワがいつもそうしてくるように、シンプルな二択にしたのだ。トワは顔を伏せ、それでもはっきりと、首を横に振った。

「……何だか、凄く恥ずかしい。でも」

 トワは顔を上げ、目に涙をいっぱいに溜めてこちらを見た。そして小さな左手を、こちらの左手に重ねる。

「全部なんでもいいやって思うぐらい、私は嬉しい」

 そう言って、トワはふわりと微笑んだ。笑顔と同時に光が零れ、赤らんだ頬を濡らしていく。この笑顔をずっと探していた。寂しく、諦めたような笑顔ではない。こういう風に笑って貰う為に、ここまで来たんだ。

 トワの左手を優しく握り、小さなエンゲージリングを左手の薬指に通していく。トワの細い指に、約束の証が煌めいて。

「一緒にいたいって、トワは言ってたよね?」

 トワは小さく頷く。肝心な時に臆病で、こんなにも素直なのに素直じゃない。一人で悩んで、苦しんで。誰も、本人でさえ、そんな事は望んでいないのに。いつかどこかに消えてしまう。

 そんな未来など、選びたくはない。

「だから、約束を形にして。君を、ここに繋ぎ止めるよ」

 そう言って手を離す。何度も自分を奮い立たせ、救ってくれたエンゲージリングは、ようやく持ち主の手を彩った。シンプルなプラチナのエンゲージリングが、トワの左手で煌めいている。

 トワは自身の薬指を見て、やっぱりふわりと微笑んだ。

「……私も。私もそれやる」

 そう言うと、トワはこちらのネックレスを拾い上げる。手慣れた様子でエンゲージリングを取り外すと、僕に左手を差し出した。先程自分がそうしていたように、トワがエンゲージリングを持ち、左手を差し出しているのだ。

 こうして見ると、少し気恥ずかしいというか。ちょっと冷静になった頭が、羞恥心を総動員してくるように思える。

 だが、別に構わない。トワの左手に、こちらの左手を重ねる。トワが口を一文字に結び、緊張の面持ちでエンゲージリングをこちらの指に通していく。

「……出来た!」

 目を輝かせ、トワはぱちんと手を鳴らす。こちらの左手に添えられたエンゲージリングは、いつもと同じ筈だけど。どこか、優しく煌めいているように思えた。

「ありがと、トワ」

 そう礼を言うと、トワはこくりと頷いた。そして。

 こちらの胸に、もたれ掛かるように顔を埋めた。ひしと抱き付き、そのまま嗚咽の声を漏らす。小さな背中は震えており、両手は力一杯にこちらを抱き留め、締め上げていた。

 心地よい熱と、結構な力強さを感じながら、震えている背中に手を添える。

「トワ、大丈夫? どうかした?」

 嗚咽を漏らしたまま、トワはこくこくと頷く。どうかしたんだ。

「だって……うぐ、安心したら」

 思わず泣いてしまった?

「これ夢なんじゃないかって……! うう……!」

 そっちか。発想が斜め上過ぎる。

「夢じゃないって。ほら、そんなに泣かない」

 胸に顔を埋めたまま首を横に振り、トワはより一層泣きじゃくる。

「……まあ、いっか」

 身体に浸透していく熱は、引き離してしまうには惜しい。夢とか夢じゃないとか、そういうのはすぐに分かるだろうし。

 離れていた時間を思い返しながら、その柔らかな髪をゆっくりと撫でた。

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