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新世界~魔導召着衣師~  作者: 匿名(未定)
試合と知名度編
29/36

26

~回想~

 俺は年に1度、開催される“ちかい祭り”に出場予定となっていた。

 “誓祭り”にはそれぞれの村で今年12歳になった少年少女たちを集め、とある一つの村へ集められる。そこで集まった少年少女たちは各自で自分と一緒になるという将来に結婚するとなる人を20日にわたって探すというものだった。いつもは、桜が満開になる季節の春ごろになっていたのだが、今年は不作でいくつかの村で秋を希望していた。

 今年集められた少年少女は17人。1人余る形となるが、1人余っても、決まらなくても次の年で再び“誓祭り”を行って人を探すことになる。

 今年は、2つ年上の男女が4人、1つ年上が6人、同年代が7人という構成になった。その中から集まった人たちはどれも特徴的で、役職も事前に報告されていた分だけあって曲者が勢ぞろいだった。

「お前が今年の立候補者か」

 当時の俺はおどおどとしており、他人を引っ張るほどのリーダー格的な人物ではなく、誰よりもとろくて才能があっても、気にかけてくれる連中はいないに等しかった。そんなおれに話しかけてきたのが2つ年上の赤髪の長身のイケメンだった。見せしめともいえるほど派手な衣装に煌びやかなスタイルで俺に話しかけてきた。

「ああ、そうだが」

「俺は今年こそ狙う曲者だ」

(自分で曲者というのか)

「今年こそ狙わなければ、親からは嫁が見つからなければ都市にでも出て探して来いという話でね、しかも嫁を連れてきても、“お前とは絶縁だよ”と言われるかもしれないあたりだ」

「それは、考えすぎなんじゃぁ」

「しかし!」

(聞いていないなこの人)

「今年の祭りで、嫁をもらい、末永く暮らしていくんだーー!! だから、何も知らないお子ちゃまには退場してもらうという作戦だ」

 と、俺に指を指し宣言した。そのあと「お、あの女言いな」とか言いながらどこかへと走り去ってしまった。

 姿を見かけたときには、イチャツク他人を蹴落とすかのように邪魔をする光景を見ることになったのはそれから15日経過した後の姿だった。

 それはまあ、いいとして。俺の嫁を探さなくてはならないわけだが、嫁と行っても探すつもりはさらさらない気持ちでいっぱいだったのも正直なものだった。

 中々ない休暇のような優雅な日を俺は、嫁探しよりもゆっくりすることを目的に捉えていた。政美さんと出会うまでは。

 4日後の朝方、男だけの宿泊で、カムイと数人の男たちが目を覚ました。それは、一人の男の騒ぎ声によるものだった。それは、一人の男が見事に彼女をできたことによるものだった。

 騒ぎを起こしたのは、俺にちょっかいをかけてきた年上の男だった。先をこされたことに対して乱れたようだ。少しばかり、笑ってしまったのは俺と同じちょっかいを掛けられた男たちも同様だったかもしれない。

 それから9日まで何事もなく、俺の周囲では次から次へと彼女を手に入れていく男たちの姿が当たり前のように写り込んでいくだけだった。

 騒ぎ立てた男も俺と同じでまだ彼女となるふさわしい人とは巡り合えていなかった。

 俺は、ひたすら彼女となる女性と出会わないように、森の茂みの中に入り込んでは、空を見ていた。木々や葉に囲まれかすかな光が差し込む森の中でただゆったりと過ごしていたに過ぎなかった。

 俺の当時の役職は〔狩人〕だった。人や魔物から姿を隠して奇襲する。または捕獲する能力に長けていた。

 その役職の能力を使って女性という存在から逃げるようにして俺は祭りが終わるまで隠れ住むことにしていたからだ。

 それから15日となるまで、俺は誰一人と会うことはしなかった。すでに女も手に入れた男だけの宿泊にはもう数えることさえできないほど人がいなかったからだ。

 そんなとこに帰る男は失敗男と認定されるようで怖かった節もあった。

 俺は、女をつくらずに村に帰ることを目標にしていた。

 それは、とうに約束していた彼女と結婚するためだ。

 その彼女は王国に住んでいる人で、みんなには優しく気遣いが好い人だった。

 俺はその女性にほれ込み、この祭りが終えたら告白する気持ちでいた。気持ちでいたかもしれない。叶わない願いであっても…。村と国では身分の差がある。そんな村育ちの俺とかが国育ちの娘さんと結ばれることはないと、今の俺ならそう言っていただろう。だが、当時の俺はそんなことさえ、頭に入っていなかった。

 そして、祭りが終わる4日前、事件が起きた。

 残された女があと4人、男が9人となった日だった。宿泊には誰もいない場所で、男たちは女を捉えるべくわなを仕掛けるように野獣化し始めた。男の4人はわなを仕掛け、無理やり女と一緒に狙おうとしていたようだ。俺は止めようともしなかった。理由は単純「かかわりたくない」だ。

 野獣化した男たちをおとりに、女を助けようとしていたのが年上の男たちだった。襲う組はすべて同年代の男たちだった。生まれは違うが、可愛そうにもつかまったのは辛いものだと思った。

 そして、俺だけは女に興味なく過ごす毎日を暮らすだけだったのだが、事件はこれだけで終わることはなかった。起きたのは夜9時を周ったころだ。

 リア充ともいえる男女は互いに寄り添うようにして、寝ては生きるため生活する。そんな繰り返しを毎日していたわけだが、悲鳴が聞こえたのはちょうど寄り添う場所付近と思わしきところ身体。

 最初は女性、その次に男性、最終的には男女が次から次へと悲鳴が上がった。

 夜静かな獣たちも寝静まる時間帯。そんな折に悲鳴を上げた。

 原因は誰かが叫んだ一言だった。“魔物”だ。

 “祭り”の最中は魔物が出ないように、村の一隊が協力して魔物避けをするのだが、どういうわけか、その日だけが魔物の侵入を許してしまったようだ。

 俺は悲鳴としない方向へ逃げ出し、魔物と他の人間と会わないようにして逃げ出した。

 卑怯者、卑劣、臆病。なんとでもいえ、誰かから声を掛けられたわけでもない、俺の頭の中でそのような声が響いた。

 魔物が出たであろうと、彼らは中位以上の役職の持ち主だ。

 そんなに簡単にやられない。むしろ、魔物を追い払うか討伐するかと思っていた。だけど、この考え方は違っていた。祭りが執り行っている最中は結界と呼ばれる村の人たちが囲んだ、ただの盾役に過ぎない方法で囲んでいた。

 中位以下の魔物であれば、人間を恐れて攻めてくることはない。逆に数が来てもこちら側で対応できる。

 だが、上位魔物が攻め込んできたのであれば、村人だけでは解決できない。

「っく、やっぱりおいていけないよな」

 俺自身で振り払うようにしながら口走った。

 仲間ともいえない人間だが、知り合いのような関係の村から出身者でもあり、助けて今度利用価値があるかもしれない。そう悟り、再び反対方向(悲鳴があった方向)へ駆け出した。

 知らされている役職の中で、戦闘向けの役職が今回7割ほどいた。のこりの3割は生産系の役職で、どっちかつうと戦闘に向かない職人たちだ。

 悲鳴があった人たちが生産系役職なら、戦闘系の役職の人たちでどうにかできるだろう。だが、戦闘役職の人が先に離脱していた場合、被害は拡大するだろう。

 そんな嫌な予感をしながら必死に走った。

 現場に到着したのは、悲鳴が上がってから数十分が経過した後だったかもしれない。

 現場に到着したときには、血生臭さと何かの肉らしき破片が至る所に飛び散っていた。月だけが照らす光だけで、周囲を判別することはできない。だけど、月の光だけでわかる。

 闇に慣れたこの目と、月の光。

 この遺体は――戦闘系役職の遺体だ。

 どの遺体にも武器をとった傾向がみられ、慌てて防具なしで武器を取り、戦ったようだ。防具となるような固い装甲のモノは身に着けておらず。布製の軽いシャツやズボン、靴しか身に着けていなかった。

「最悪な結果だ」

 思わず口に出た。

 戦闘系役職のメンバーが殺されたのであれば、残りは生産系の役職だけ。

 生産系だと上位の魔物に対しては餌当然の力差だろう。

「きゃあああぁぁぁぁ!!」

 再び悲鳴がした。今度は女性宿の方角から悲鳴がした。

 俺は駆け出し、その悲鳴の先へ向かった。この先、なにが起きるのかを予想できないまま。



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