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新世界~魔導召着衣師~  作者: 匿名(未定)
試合と知名度編
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 女性組と離れたセンとカムイの2人はルゥイに言われたとおりに模擬戦を合格するため、都市へ足を歩めた。木々を遮りながら舗装されていない道を歩くなか、センがルゥイから説明をするように言われていたことをカムイに歩きながら説明をし始めた。

 経験値とレベルについてのことだ。

 経験値はこの世界で一般的な用語のひとつで、敵を倒すかをして経験を積むことでレベルアップする方程式がファンタジーなどには存在するのだが、この世界においては“敵を倒して経験値を得る”という概念は存在しない。

 カムイがいた時代なら存在していたものだったが、邪神が倒され、カムイから力を奪った者が支配したこの世界では、“役職に応じた方法で経験値を獲得する”というのが主流らしい。

 “生産系の役職”であれば、その役職にあった方法で生産物を作り続けることでレベルアップすることができる模様。一方で、“戦闘系の役職”では人によって違うようで、〔他者と戦い、腕を磨く〕や〔他者のものを奪うことで力がみなぎる〕などといったものまである。

 レベルアップの方法は他人から知られて成長する過程を見つけるのではなく、自分自身でレベルアップ方法を探さなくてはならないというものが前条件となるそうだ。

 ちなみに、センのレベルは49とやや高い方である。レベルの最大値はいまだにどこまでが上限なのかは記されていない。今のところ記録を達成しているのは数十年前の〔魔女〕と呼ばれた女性の魔導士。レベルは192と人類初となる最大レベルで、そこまでレベルアップ条件だったのが、「人を喰い魔力を蓄える」という鬼畜的に近い条件だったらしい。しかも、魔力を持たない魔物や人間、動物、植物などを食べても経験値を得ることはなかったらしい。

 あの森林都市の大図書館の記録では、そこまでしか書かれていなかったのだが、〔魔女〕と呼ばれるその女性魔導士はいったいどんな魔導士でどんな力を持っていたのかは記録に残されていなかった。もちろん名前でさえも。記録としてあえて残していなかったのか、存在していなかったのかは不明だが、いずれにせよ、人間はレベルを上げることができれば200近くは上がれるというものだ。

 今の平均レベルでは150が限度のようで、いまだに〔魔女〕のレベル192を超えた者はいないらしい。

 それに、レベル151を超えたものでさえもいないという。


 しばらく歩くと、目の前に幅が狭く、今にも崩壊しようとしているボロっちい橋のようなものが見えた。橋を支える唯一の紐には魔法のようなものが刻まれているようで、紐に小さく魔法文字が書かれていた。

 一見すれば、この橋に大きな問題はなく、足を踏み込めば生きている確率はぐっと下がるというものが見受けられる。だが、紐に魔法文字が書かれているとすれば、この橋には他にも問題があるはずだ。

「この橋には直接、俺たちが目指す都市がある」

 勇敢にいう男からの背中を見やる。危険を顧みずに立ち向かうその視線に少し惚れるところはあるが、目の前の現状である“壊れた橋”を見てしまっては、前に一歩踏み入れるのは難しい。

「そういいますが、目の前にはいつ崩壊してもおかしくない橋があります。それに――」

 チラッと紐に指を指しながら「―—この紐に書かれた魔法文字。明らかに他に問題があるようにも見えますが

センは知っているのですか?」

「ああ」

 センはそう口にし、「この橋にはおまえにも俺にも力を得る必要がある。この橋へ渡る理由は2つ。1つ目は国へ直接入ること。2つ目はお互いの経験値を高めることだ。目標として、俺はレベルをあと2つ上げる。カムイ、お前には自分自身のレベルアップの方法を探れ、ここから入った先は魔物同士との戦いだ」

 そういいつつ、一歩足を踏み入れると同時に、カムイとセンを纏うかのように黒い靄状のものが2人を包み、橋に施された魔法文字によって、どこかへ飛ばされる。

 そして、飛ばされた先はお互い知らない見知らぬ土地であり、見たことがある魔物が周囲を囲んでいた。センが見た先にある魔物はどれも1種類――今では濃厚で仲間想い、尋常にあふれた商売人であるゴブリンたちが姿を現していた。

 姿からしては邪神が去ったあたりの時間軸。下着となる布着だけを纏い、人間から奪った兜や武器などをもち、人間からさらに奪う姿勢を見出す。ゴブリンにとっては人間は罪深きものであり、裏切り者である。そんな人間を憎み、ゴブリンは人間と同じようにお互い連携を取り合い、無抵抗の人間へ襲い掛かるようになったとされる。

 ゴブリンのレベルは比較的に低いものには3、高くて49はあるとされている。

 もし、周囲の中からレベル49以上のゴブリンがいたら立ち向かうことはできないだろう。センは肺にこもった空気を吐き、再度吸い込むと同時に、剣を握りしめ前進に飛び込み剣を振り下ろす。


 一方、カムイには魔物というよりも人間が1人立っていた。

「ま、み…さ…」

 知っている風格、風貌、顔、髪型、服装。見たことがある、そしてよく知っている人物だった。

「まさみ…さん?」

 ゆっくりと半回転して、姿を見せたのはかつての世界――つまり、カムイが飛ばされる前の世界の人物。まさみさんだった。夕日のような色合いをした髪によく湿って垂れ下がり顔にべったりと付いてしまう髪。その髪に少し迷惑そうに抱きながらも、その夕日をまぶしくも感じさせない暖かい瞳を持つ少女。マサミさんだった。

「正解だよ、カムイ」

 明るく笑うその姿はもう何年か何十年間か捨ててしまい、覚えてもいなかった素顔が映し出された。

「ほ、本当にマサミさんなんだ…はは、夢じゃないよな。だって、マサミさんは――!?」

 ハッと嫌な記憶がこびりつく。とても不愉快でとても寂しく辛く悲しく、なによりも怒りが反映されそうになりそうになる。目の前にいるマサミさんは幻覚かもしれない。だけど、会えただけでもうれしいはずだ。

 なのに、胸が締め付けられそうな怒りに包まれる。

「マ、マサミさん」

「どうしたの? カムイくん。」

「本当にマサミさんなの?」

「そうだよ、だって約束したじゃない。この夕焼けの空で邪神を打ち倒した日、私はあなたと結婚するんだって、カムイくんが伝えたことじゃない。それが、今からだよ」

 はは…そうだよな。ここは昔、結婚を誓い合おうと約束していた丘だ。この丘で――俺は、俺は――。

 なぜか、胸が締め付けられる気持ちがめいっぱいにあふれてくる。その胸の痛みはとげのようなもが胸の奥から何度も刺すかのような痛みが伝わってくる。

「どうしたの? カムイくん。さあ、結婚しようって約束だよ。邪神は倒されたんだから」

「は!?」

「ん? どうしたの、カムイくん」

 カムイはルゥイから託されていた小剣に手を触れ、剣を取り出し、目の前にいるマサミさんに剣を向けた。

「一体どうしたの? カムイくん、どうして剣の先を私に向けるの? 私はバケモノだと思っているの?」

「違う!」

「違うなら、剣をゆっくり下ろして、私はあなたを待っていた」

「違う!!」

 思えないほどの痛みの叫びと同時に、否定した声が再び発した。それはとても大きく、相手の耳にもピリピリとするほどの震撼だった。

 理由はわからない痛み。どうして、なんでこんなにも怒りと痛みが同時にあふれてくる。何か思い出したくないものが思い浮かべそうになる。だけども、それは決して思い出したくない記憶であり、思い出さないと必死で思い出そうとする自信と抵抗する。

 重い痛みを受けつつ、マサミにあることを口にする。

「なんで、邪神が倒されたと知っている」

「!?」

 目が少し一瞬汚したかのように見えた。

「何言っているの、だって、あなたが邪神を倒したはずでしょ。じゃなければ、こうして再び会えるはずないもの…」

 震えるその口ぶりはなにかを濁そうとしている節があるものの、姿かたちはマサミさんそのものだ。だけど、何かが違う。違う何かを必死で、思い出そうと痛みの中へ入り込む。

「!?」

「ねえ、カムイくん。わたしね――」

「はぁ…はぁー」

 息遣いが荒くなる。一瞬だけだが、思い出した。マサミさんは、邪神を打ち倒すきっかけとなった人物で、遺跡へこもる理由になった最大の理由の人物。

 そう、あの日、マサミさんは殺された。

 結婚を誓い合うその日、俺は――


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