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幕間
文化祭の喧騒から切り離された教室。
ここのフロアだけが日常を保っている。
机の上に散らばる問題集やシャーペンやノート。
天井を仰ぐ。
「君の書いた小説はどうにも中学生らしくないんだ。誰も幸せにならない」
4年前、顔も覚えていない大人にそんなことを言われた。
何を言っているのだか。場所を変えれば価値も変わる。
この指から紡ぎ出される脚本で部員にやりがいを与え、観客を沸かせた。
ハッピーエンドは、作れなかったけれど。
それももう過去の話だ。
自分の思い通りに進むことなんてもう有り得ない。
文化祭をまとめようとする者、その片隅で何かを成し遂げようとする者。
私は今から壮大な脚本を目の当たりにすることになる。
さあ始めよう。私の描けなかったハッピーエンドを。