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龍塔への挑戦  作者: 大山鳥 鈴
Challenge To The Dragon Tower ‼
15/15

Another

【影蛙】

「ヒャッホー!」

彼は<狼牙族>,<召喚術師>の角南。アキバで現在活動中のギルド<無限零>所属。

プレイ歴は割と古参のプレイヤー。我の最近の任務は此奴の監視である。

雇い主は カズ彦 氏。<Plant>の幹部会「十席会議」の第七席であり伝説の「放蕩者の茶会」の元メンバー。我が率いる〈黒刀の茶屋〉は現在彼の率いる〈壬生狼〉の傘下にある。

理由ははっきりとはしないが……。おそらく自分の能力を買って頂けているのだろう。

現在位置は<フォーランド公爵領>。現実世界で言うところの四国。高知県の入野松原。ネット上では中級者サーファーの場所らしい。約1時間前から奴は波乗りに興じている。

「さぁーて、次は釣りに行こうぜ!」

「貴殿は自分の状況が理解できないのか?」

「んー……そうだな。包囲されているな」

付近には部下を待機させている。何があっても即刻対応できるよう6人編成である。

<五頭>時代から知り合ったが、この人は相当の手練れである。<召喚術師>ビルド:死霊術師と戦技召喚特化の亜流型。練度はほぼ全てが奥伝以上。逃げ回りながら戦われると厄介この上ない。


「別に逃げようなんて思っちゃいねぇよ」

「そうか」

「だって、おまえは俺を縛るだろ」

「其れが任です」

「何で軟禁とかしないんだぁ~」

現在、東では<緑小鬼の王の帰還>が発生しているらしい。西こちらでは<朱雀門>が発生。現在それに何名もの冒険者が対応している。納得がいかないのは混乱に乗じて此奴が逃走をしない事にある。特攻参謀の策略なのか……。考えても奴の考えは意図が読めない。

<大災害>の後、此奴はすぐにアキバに飛べたはず。だが、それをしなかった……。

この際、聞いておくか……。


「なぜ、貴殿は……」

質問をしようとしたとき、念話が入る。

『影蛙!付近で敵が沸いたぞ。ランクはノーマルだが数が多い』

「直ぐ行く、角南さん、<檻>に入ってもらいますよ」

「へいへい……」

--

【角南】

<檻>とは実験段階の魔道具である。内部に投獄された者は外部からの魔法干渉を遮断される。つまり、魔法攻撃・回復職に位置づけされる6職相手には絶大な威力を発揮する。前者は外から中に攻撃が通らず、後者は回復が意味をなさない。引きこもり用道具とも揶揄されてもいる。そのなかで俺は一人ポツンと体育座りをして待っている。周りに監視の一人でも置けばいいものを……。まぁいいか

--

【影蛙】

「《影術:形態変化:縫針》」

新実装されたのか判明していないが<口伝>なるものを最近習得した。

名を<影術>。自身の影を自由自在に操る事できる。限度はあるがよく伸び、結構な形に変形可能。強度はModモンスターを5体まで貫通できる。今回は影を針のように細め、敵の腹部を貫いていく。敵を即死には至らしめる事が出来ないが、敵の動きを数秒止める事が出来る。援護もでき攻撃もできるので非常に重宝している。

「黒狸、撃破確認」

「引き続き周辺を警戒……」

理由は不明であるが、最近モブのエンカウント率が高くなっている傾向がある。

ここ一週間で繰り返した戦闘は小さいものを含めても100を超える。

黒狸は人型モンスター。設定では、善の種族が生活していた遺跡の領域は黒狸族と呼ばれる人型モンスターが支配する領域。となっている。

「隊長……追加で黒狸が出現」

「数は?」

「数え切れません」

(何が発生している……)


目の前に大量の黒狸が立っていた。その数ざっと50以上。

<黒狸族>の多くは肉体を用いて戦う戦士か、幻を操る幻術師のいずれかである。

〈黒狸族〉は手足が短く、また、長いリーチで一方的に攻撃することを好むことから、長物の武器を好む。加えて、素早さで相手を翻弄するため、動きを阻害する衣服・鎧を着用しない者が多い。剣を攻撃の軸に据えている<黒刀の茶屋>では相性が悪い。

「《影術:形態変化:人形ヒトカタ》」

自分の横にオート操作の影人形を出現させる。攻防一体の変形で同時に数体相手取る。

(一対一戦闘では倒し切れない……数的に不利だ)


「ったく……甘いな。影蛙」

何故かわからないが又<檻>の外に出ていた角南。

「又か。毎度如何して檻から出た」

「あぁ、入れ替え」

恐らく事前に従者を外に出していたのだろう。そして、<キャスリング>で入れ替わり、外部に出た。最近ではこの手を使った手法をKR 氏が行い世界中を飛んでいたとか。

<檻>は内部から外部への干渉は設計されていない。だが従者は入れ替えできないはず……。


「さぁ~て……従者召喚サービスだぜ」

大量の従者を召喚しまくる。沙羅曼蛇、水精霊、骸骨兵士、亡霊。

ありとあらゆる契約従者を召喚しまくっている。総勢15種。攻防・援護を同時に両立。

敵は接近を辞めず近づいてくる。

「貴殿は紙装甲だ。下がってもらう」

「人型で武器持ち……実験するか」

話を聞いていない。

角南は常用している篭手をしまい、杖を1本装備。ランクは製作級。

「この攻撃を……こう流す」

モブに接近し、受け流しをさらりとやってのけている。さながら、Tubasaや鳥丸のように。

攻撃を外した敵には色とりどりの<エレメンタルブレス>が襲い掛かる。

「EXPが入らないからポンポコ倒すぞ~。狸だけに」

「総員戦闘再開、《影術:形態変化:影手裏剣》」

いつの間にか角南が戦闘の中心となりモブを全て薙ぎ倒し、一段落した。

戦場には草木一本も残さず、黒狸族が好みそうな平原となり果てた。

--

【角南】

「貴殿は何故、この瞬間にでもアキバに逃走しない……」

「まだ、結構な仲間と合流できてないから。<Plant>は西サイドを吸収合併すると、予想」

「それで……」

「放っておけば情報が集まる。そんで、人集めてアキバに戻る」

「ハッキリ言いましたね」

「せいぜい逃げられないよう注意するのだなー」


(実験成功……<遠隔魔法陣>は成功か。距離はそれほど じゃないけど……)

ここ数日付近で大量に狸を呼び寄せたのは俺自身。

<檻>脱出 → 大量の従者を遠方に召喚 & 次回脱出用に一体召喚。

そして、従者を利用し自然のモブをこちらに引き付ける。

とループを作り色々と調査をしていた。<檻>にぶち込まれている間に<幻獣憑依>でデータを集め、安全で問題ない所を選定。何時になるかわからない救援の為に準備を進める。

それは、旧友共とその仲間たちは必ずここに来ると信じているからだ。


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