表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/213

第22話 儀式

 風を切るような速さでユニ助が駆ける。

 僕はミウを抱え込むようにしてユニ助に必死でしがみつく。

 ミサキも振り落とされないように僕の腰に腕を回している。

 まるで森の中を飛んでいるような感覚だ。

 ユニコーンの末裔とは半信半疑だったが、今ならば信じられる。


「さらに飛ばすぞ! しっかり捕まっていろよ!」


 ユニ助の速度が更に上がる。

 もう周りの景色を確認する余裕はない。

 只々しがみ付き、到着するのを待つのみだ。





「カナタ、着いたぞ」


 気が付くとそこはもう祠の前。

 あれから数分と経っていない筈だが、どれだけの速度で飛ばしたんだ?


 少しふらつきながらも僕らはユニ助から降りる。


「大丈夫かい、ミウ」


「う〜っ! いくら何でもユニ助飛ばし過ぎ!」


「仕方なかろう。速いに越した事は無い」


「む〜っ!」


 ミウはまだ文句を言いたげだが、ここは我慢してもらおう。

 今は一分一秒が大事。

 遅れて封印が解けましたでは洒落にならない。




「持ってきたか?」


 いつの間にか、僕らの目の前には待ち構えたようにオークの姿が。

 前回、先頭に立っていた長らしいオークだ。

 

 僕は巾着から黄金色に輝く宝玉を取り出す。


「ああ、これで良いか」


 そのままオークに手渡した。

 オークは掌の上でそれをじっくりと眺める。


「うむ、間違いないようだ。ついてこい」


 言われるがまま、僕たちはオークについて行った。




 祠の正面の扉が開かれる。

 目の中に飛び込んできたのは白い真四角な空間。

 床にはタイルのようなものが敷き詰められ、周りは只の真っ白い壁。

 その奥にはこれ見よがしに台座が一つ。

 その台座の上には丸いくぼみがあり、宝玉がすっぽりはまる位の大きさだ。

 恐らく宝玉はそこに置いてあったのだろう。


「不用心すぎないか? 何か盗んでくださいって言っている様だぞ」


 このままここに宝玉を置きました、はい、めでたしめでたしでは済まないだろう。

 村人でも楽に盗め出せたのだから、今後また同じようなことが起こる可能性がある。

 ――って言うか、よく今まで盗まれなかったな。


「封印ならびに結界を再び強化する。そうすればこの祠にたどり着けるものは先ずいないだろう」


 なるほど。

 隠蔽機能があるという事か。


「盗まれたのは結界が弱まっていたという事か」


「そうだ。だから結界も含めて術をかけなおす。それが代々伝えられた我らの役割でもある」


 僕が話している時に部屋にオークが何人か入って来ていた。

 恐らく彼らが結界を強化するのだろう。


 台座には宝玉が置かれ、その周りを四人のオークが取り囲む。


「人間よ、この儀式に同席してもらったのは宝玉を取り返してくれた感謝によるものだ。光栄に思うが良い」


 オークの価値観はわからないが、とにかくオークにとっては光栄な事らしい。

 それについて僕も特に口を出す事は無い。


「では、儀式を始めよう」


 四人のオークがそれぞれ呪文のようなものを紡ぎ始める。

 僕たちはそれを邪魔しないように静かに見守る。

 しかし、その静寂を打ち破るかのように一人のオークが飛び込んできた。


「た、大変です!!」


「むう、何事だ!」


 僕とともに儀式を見守っていたオークの長が対応する。


「ワームの、ワームの襲撃です!」


「くっ、最後の抵抗という訳か。だが儀式は始まってしまった。ここで邪魔をさせるわけにはいかない」


 オークの長は苦虫を噛み潰したような表情で呟くと、スラリと腰の剣を抜く。


「待ってくれ、僕たちも戦う!」


 僕はオークの長を引き止める。


「むう……。また借りを作るのは癪だが仕方がない。足手まといになるなよ」


「ミウたちは強いんだよ!」


「……逆に足手まといなら置いて行く」


 オークの長はふんと鼻で笑うと、


「よく言った。ただの大口でないことを願っているぞ!」


 僕たちはオークの長と供に戦場へと飛び出していった。

 

今回、話が短くてすいません。

キリの良い所という事で……(汗)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ