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第201話 VS巨大亀

大変お待たせいたしましたm(__)m

長らく続いた微熱、体調不良の原因が分かり、現在投薬治療中。

そんな中、仕事も多忙で手つかずになっていました。

また再開します。

そして、そんな長期停滞中でも待って下さっていた読者様に感謝。

 目を閉じて精神統一し、長い詠唱を始めるミサキ。

 巨大亀が撒き散らした土の破片などはその前方にいるミウが処理する。

 アリアは巨大亀の注意がミサキたちに行かないよう違った場所から弓矢で牽制。

 そして僕とポンポは――。


「堅いです〜!」


 ジャンプして甲羅に飛びつき、剣をその脳天へと突き立てたポンポが嘆く。

 巨大亀は頭を甲羅へと引っ込めると、足場を無くして落下するポンポを大きな口で捉えるために再び顔を出す。


「させるかっ!」


 僕は巨大亀の鼻先にファイアボールを数発浴びせる。

 そしてその隙にポンポが地上へと降り立った。

 うっとうしいとばかりに首を横に振る巨大亀。

 期待はしていなかったが、特に効いている気配は無い。

 

 僕は息をゆっくりと吐き、黒曜剣に魔力を流す。

 それと共に刀身がより黒く光沢を帯びる。

 この状態であの厚い皮膚に通らないようなら接近戦はほぼお手上げ、魔法で方をつけるしかないだろう。


「ポンポ、アリア、牽制を頼む!」


「わかったのです〜!」


「まかせてなの!」


 ずんぐり尻尾をふりふりとさせながらポンポが走る。

 あの走り方で結構速いから驚きだ。

 アリアが弓矢で牽制し、ポンポの接近を助ける。


 巨大亀は視線の先にいるポンポを捉えると、巨大な足をズシンと一歩踏み出す。

 それだけで地面から揺れがビリビリと伝わる。

 ポンポが大口を開けての噛みつきを避けながら巨大亀を引きつける。

 その隙を突き、僕は片方の足を力を込めて斬りつけた。

 固い……、だが通らない固さじゃない。

 傷ついた前脚からは緑色の血がプシュッと吹き出す。

 しかし、元々が厚い皮膚に覆われた巨大な足、致命傷には程遠い。


「GYAOOOOOOON!!!!」


 映画で見た恐竜の鳴き声のような叫びを上げ、こちらに首を向ける巨大亀。

 思ったより首が長く、そのままの体勢でも充分僕に攻撃が届くようだ。

 だが、既に僕は退避の体制を整えているので、当然その攻撃は空を切る。


 身体を傷つけられた怒りを表すかのように甲羅の山から岩が大量に降ってくる。

 この大量の岩は元々何処にあったのだろうと考える辺り、まだ僕にも気持ちの余裕があるのだろうか。

 無事に岩の雨を躱し、剣を巨大亀へと向ける。

 鋭い眼光が僕を捉えて離さないところをみると、先程の攻撃で相当警戒されたようだ。

 しかし、それも好都合。


「………………漆黒の闇よ、喰らい尽くせ。……リフレインサークル」


 巨大亀を囲むように地面に現れた巨大な黒い円。

 それが2重、3重、4重と描かれ、それぞれが巨大亀を覆うように黒いドームを形成する。

 そしてその巨体が完全にそれに覆われたところで、ドームの色が漆黒へと変わった。


「GYAAAAAAAOOOOOOOOOOOOON!!!!」


 先程よりも激しい悲鳴のような叫びが辺りに木霊する。

 視界を閉ざすような暗闇で中の様子は窺い知れないが、効いていることは間違いない。


「カナタ、油断しないで。倒しきれないって」


 ミウが僕の元に来てミサキの伝言を伝える。

 ミサキはというと、魔力を限界まで使ったのか立っているのがやっとの状態のようだ。


「わかった。ミウはミサキの事を頼む」


「うん、それは任せて!」


 無防備なミサキをそのままにはしておけないので、ミウにはそのままミサキの守りを頼んだ。

 チラリと遠目で騎士団を見ると、呆然とした表情でミサキの魔法を眺めている。

 まあ、ミレニアーナさんの守りに専念してくれるならそれで良い。


「ポンポ、アリア、そろそろだ」


 2人は僕の声掛けに無言で頷く。

 そして、漆黒だったドームの色が次第に薄くなっていき、巨体がその姿を現す。


「GYAOOOOOOOOON!!!!!!!」


 所々何かに喰われたような傷を全身に負い、怒りを顕わにする巨大亀。

 その怒りたるや視線で僕らを射殺すくらい凄まじいが、覆われていた固い皮膚が削り取られている時点で勝機は見えた。

 現に、アリアの矢はその剥き出しの肉に突き刺さり、ポンポの剣は抉られた首筋を更に引き裂いている。

 既になりふり構わず暴れるだけとなった巨大亀。

 僕は亀の身体の抉られた部分を足場にしてその頭部まで駆け上がる。

 そして防御が薄くなった脳天に黒曜剣を突き刺した。


「GYAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!」


 巨大亀が今までで一番の悲鳴を上げたその瞬間、その大きな身体は霞のように消え去る。

 何が起こったか一瞬わからなかったが、僕は何とか体勢を立て直して地面へと降り立った。


「終わった……か?」


 周囲を見渡すと、あれだけ暴れた巨大亀の痕跡は何もない。

 あれだけまき散らした岩の破片も、巨大な脚で抉り取られた地面もだ。

 昔話風にいうと、化かされたといった感じなのだろうか?

 僕は見渡した先にいた仲間たちの無事を確認し、大きく息を吐いて皆の場所に足を向けた。








最後まで読んで下さりありがとうございます!!

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