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第13話 出会い、そして別れ?

連日更新継続中。

出来ると所までいきたいと思います。

「グギャーッ!!」


 ゴブリンロードの高い悲鳴のような声が耳をつんざく。

 それを合図に、ゴブリンたちがこちらに一斉に押し寄せる。 

 棍棒や錆びた剣など、拾い物、もしくは冒険者から奪ったであろう武器を片手に怒りの形相でこちらに迫る。


 僕たちは今の立ち位置から数歩下がって、地下遺跡の入り口の所でこれを迎え撃つ。

 この入り口はそれほど広くは無い。

 せいぜいゴブリンなら二匹横に並んで入れるくらいの横幅だ。

 入り口付近で迎え撃てば、前衛は多くともゴブリン二匹の相手をすれば事足りる。

 接近戦が出来る人員が一人しかいない為、今思いつくのはこの作戦しかない。

 もちろん僕が倒れれば負けは確定、責任は重大だ。


 目の前のゴブリンが力任せに振り下ろした剣を、ロングソードで力を逸らし気味に受ける。

 ダグラスさんとの特訓で、必要に差し迫り身に付けた技だ。


 もう一匹のゴブリンの振るった斧は既の所で躱す。

 その戦闘の隙間を縫ってミウのウインドカッターがゴブリンを斬り裂いた。

 さらには、ゴブリンが固まっている後方に向かって、ミサキのファイアストームが炸裂する。

 ミウの放つ風の刃は、僕と対峙しているゴブリンに確実にダメージを与え、ミサキの放った炎は後方のゴブリン数匹を戦闘不能に追い込む。

 うん、これはいけるぞ!


 僕は相手を倒すというよりも、主に壁役に徹する。

 その間も二人の魔法はゴブリンたちを切り裂き、焼き払っていった。



 


 三十匹近くいたゴブリンも今や数匹足らずとなり、後方にいるゴブリンロードの姿が確認出来た。

 ゴブリンロードはすでに背中をこちらに向けている。

 どうやら残りのゴブリンたちを盾にして逃げ切る算段らしい。


「ミウ! ミサキ!」


 僕は二人に目で確認を取る。


「こっちはもう大丈夫だよ!」


「……行って」


 僕は目の前のゴブリンをかち上げるように斬りつけると、その勢いのままゴブリンの横をすり抜けゴブリンロードに向かっていく。


「グギャギャギャッ」


 相手はもう既に逃走態勢だ。

 僕は走りながら魔法を詠唱、ゴブリンロードに向かってファイアボールを放つ。

 その炎の玉をゴブリンロードは難なく避ける。

 しかし、炎の玉が稼いでくれたその数秒の時間が、僕をゴブリンロードの元へと連れて行ってくれた。


 駆け寄った勢いそのまま、ロングソードで突きを放つ。

 だが、ゴブリンロードはひらりと身を翻してそれを避けた。


「グギャギャーッ!!」


 逃走をあきらめたのか、はたまた攻撃された怒りに我を忘れたのか、ゴブリンロードはこちらに向き直り、錆びた剣を振りかざし僕に襲い掛かってきた。


 ギンッ! と金属がかち合う音が鳴り響き、そのまま押し合いになる。

 こいつ、ゴブリンよりも小さい癖に力はゴブリンよりも上だ。

 僕はタイミングを見計らい。そのまま剣を斜めにしつつ力を抜き、相手の力を反らす。

 バランスを崩したゴブリンロードは一瞬前のめりになる。

 そこへ、斜めにしていた剣を滑らせるようにそのまま横に払った。


「グギャーッ!!」


 その斬撃はゴブリンロードの胸板を切り裂いた。

 やはり普通のゴブリンより反応が速い、あの体勢からでも少し躱された。

 だが、向こうのダメージはかなり大きい筈。


 さらなる追撃を入れるべくそのまま突進、剣を上段から振り下ろす。

 ゴブリンロードは大した抵抗も出来ず追撃をもろに受け、その場に崩れ落ちた。


 ゴブリンロードがすでに事切れているのを確認し、ミウとミサキの方に目を向ける。

 どうやらあちらも終わったようだ。

 ミウがこちらに向かって跳ねてくる。


「カナタ〜♪」


 僕に向かって飛び込んできたミウを受け止め、両手で抱える。


「お疲れさま、ミウ」


 もふもふなミウの頭を撫でまわす。


「……カナタ、お疲れさま」


 ミサキもゆっくりとこちらに歩いてきた。


「ああ、ミサキもありがとう。ミサキがいてくれて助かったよ」


「……問題ない。私たちはパーティ、助け合うのは当然」


 俯き加減でミサキが答える。

 ん!? ひょっとして少し照れてるのか? 


 とにかくこれにて一件落着。

 ゴブリンが何匹か残っているかもしれないが、村を襲う余力はもう無いだろう。

 それに、流石にもう疲れた……。


 適当な岩場に腰を下ろし、巾着から水を取り出す。

 皆の分を渡した後、自分の分を一気に飲み干し喉を潤した。

 時折吹く風が涼しくて気持ち良い。


「そういえばミサキはこれからどうするの?」


 ミサキは女神様に頼まれて今回手伝ってくれた。

 これが終わればまた何処かに旅立っていくのだろう。

 少し寂しい気もするが、それは仕方のないことだ。


「……パートナーはいつも一緒。当然ついていく」


「へっ!?」


「ミサキも来るの。やったぁ!」


 ミウが飛び跳ねて喜ぶ。

 短期間の間に随分仲良くなったものだ。


「あれ? 今回だけって話じゃ無かったの?」


「……誰がそんなことを言ったの?」


 僕はミサキの言葉を思い起こす。

 確か女神様に力になって欲しいと頼まれたって……、あれ?


「…………言ってないね」


「……末永くよろしく」


 ま、いいか。

 ミウとも仲が良いし、信用もできる。

 それに、戦力としても十分だ。



「よし、そろそろ村に戻るか」


 まだ疲れてはいるけど、アリシアさんも心配してくれているはずだ。

 早めに村に帰って報告しなくちゃね。 

 



 

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