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波乱の高校生活の始まり

少しずつえっちさが増す幼馴染と友達とのアブノーマルな高校生活の日々を主人公、優が乗り越えていくお話です。

 この春、優は晴れて高校に入学した。

 優が入学した学校は地域でもかなり偏差値が高いほうであり、名門の進学校だ。しかし優は何故自分がこんな学校に入学してしまったのか、そんなことばかり考えていた。実際、優の偏差値は良くて英語が73、他は30止まりだ。時は中学3年生の夏に遡る。


 優はいわずと知れた不良だった。というのも、街中で悪さをしていた、ということではなく、単に授業をサボっていたのだ。主に授業中を「お昼寝」の時間に割いていた為だが。この強く照りつける日差しの中、いつも通り机に突っ伏した。そのまま目を瞑り意識が沈む感覚、睡魔に襲われる、はずだった。

「今日は数学やらねえぞ?」

 その数学教師の一言で意識が引き戻された。そこからちんぷんかんぷんだった。何がどうなっているのか分からず、優はひたすらに暑さから来るものではない、大量の冷や汗をかいていた。

「と、いうことで優、お前にも推薦が来ている」

 偏差値が高いことで有名な進学校から推薦が来ている。それだけでクラス中の男子、女子から話題のターゲットとなってしまうことはいとも簡単に分かることだった。

「先生、一つ良いですか? 何故俺に推薦なんかが?」

 みんなが疑問に思っていることだろう、と優は思っていたが、周りの態度は違った。何故か納得できるようだった。

「お前にはもう少し勉強が出来てもらわないとな。出来ないのであれば牢屋に入れられてでも勉強させてもらえるらしい。どうだ、お前にぴったりだろ?」

 知っていた。そんなこと知っていた。

「断ることは――」

 そう言おうと思ったのだが、

「出来ない」

 数学教師兼担任からは一蹴されて終わった。


 そして現在に至る。

 元女子高ということもあってか、全校生徒の8割を女子が占めるこの「名門の進学校」と名の高い国立東雲大学付属東雲高校はとても立派なつくりだった。最近になって改修工事がされたらしく、施設もぴっかぴかだった。

 優はひたすら考えていた。自分はこれから何をされるのか。そしてこれから大丈夫なのか。

 優にとって女子はあまり慣れているものではない、などと言えるレベルではない。一言で言えば免疫が無いのだ。入学式には呼名がつきものだ。既にこの時点で優の心の中は、「不安」という感情が9割を占めていた。

「では新入生は起立し各自教室へ。生徒会執行委員は誘導を」

 アナウンスが流れ、優も起立する。すると列の先頭に執行委員が一人づつ立ち、そのまま歩くこと3分ほどが経過した。

「あれが、君たちの教室だ。移動教室もあり、昼食時にも場所は自由なのであまり気にする必要はないがな」

 女子生徒なのに口調が男だということに驚くのはやめておいた。個性だ、と言い聞かせた。


 教室に入るとやはり8割が女子、残り2割が男子だった。男子は何故か皆美男子、と呼べる顔立ちだった。優を抜いてのはなしだが。

「一年間、担任をさせていただきます南です。よろしくお願いします?」

 普通はよろしくの後には語尾も上げなければクエスチョンマークを付ける必要もない。明らかに優をみて、異分子でも紛れ込んだのかと思っているのであろう。

「では一人ずつ自己紹介をしてください。一人持ち時間は2分です。時間を余らせてもいけません」

 南先生のその言葉が合図となったのか、廊下側の女子生徒が一人ずつ立ち、2分間話し続ける。ロングホームルームということもあり時間には余裕があるのだ。

「では次の方どうぞ」

 自分の座る前の席である。

「東海林玲奈です。読書が趣味です。仲良くなれたらと思っています、よろしくお願いします」

 そのほかにも休日の過ごし方や好きな食べ物を話を一通り話す。普通の男子であれば守ってあげたくなるような背の低いかわいい女の子だった。

「では、優君」

 何故自分だけ名前で呼ばれたのか分からなかった。知りたくも無かったことだが。

「如月、優です。趣味はゲームです」

 そこまで口には出たが、その先を考えていなかった。あとは何を言ったか優自身も覚えていなかった。

「よろしくお願します」

 普通に拍手されたので一安心して席に着いた。


 この学校は他の学校とは少し違うらしくカリキュラムにも違いが少しだけあった。PC操作なども授業範囲のようで2日目から授業が始まった。

「東海林さん、ここってどうやるの?」

「これは中学で習ったのを応用するんですよ」

「東海林さんこれは?」

「これは昨日少し習ったところです」

「ありがとう」

 馬鹿な優にも優しく教えてくれた。そのおかげか、不真面目さが自分でも少しずつ消えているのが分かった。

 


 1ヶ月がたった。授業にも何故か付いていくことができ、家でも勉強をするようにはなったが、偏差値は40まで伸びると、まるで伸びしろがなくなったように成長を急停止させた。

 ベッドに顔をうずめ頭の中を一度真っ白にしてみる。明日から部活勧誘が始まり、何部に入るか悩んでいた。もっとも運動系に入っても数週間後には幽霊部員になることが優自身分かっていたために屋内活動の部活動に入ると決めていた。

 しばらく考えるうちに学校で昼寝が出来ない分の睡魔が今やってきたのか意識が落ちていく感覚に見舞われた。


 朝、目が覚めると妹の後ろ姿があった。

「おはよう、真衣」

「……っ!?」

 目を見開き、驚愕の表情を浮かべている。

「お兄ちゃん!? いくらなんでも早すぎない? 今5時半だよ!?」

「別に何時に起きてもいいじゃないか。それより今軽く馬鹿にしてたよな?」

 真衣は中学1年のはずだが、高校1年の俺よりもしっかりとしている。腕を組み、うんうん、と言いたげなほど首を縦に振っている。

「なんだその成長したものだ、とか言いたそうな仕草は……?」

「本当に成長したね……お兄ちゃん」

 兄一人が早起きしただけで涙ぐんで感心する妹がどこにいるのだろうか。

「なんで泣くんだよ?」

 苦笑気味に真衣の頭に手を置くと、そのまま3度ほどなでた。真衣は何故か顔を真っ赤にしていたが。

「ううん、なんでもない。それよりご飯食べようよ?」

 二人で、いつもよりもずっと早い朝食を済ませるとそのまま身支度をする。

「じゃあ、いってくるよ」

 無言で頷く真衣を背中に、優は歩き出した。


 優が教室に入ると、周りの男子から声をかけられた。部活はどうするのか、という話題で持ちきりだったがそれぞれやりたいことをやる、というのは共通することだった。

「では、部活勧誘もあるのですが、今年はクラスマッチが先に行われることになりました。よって、未定だった学級委員長、副委員長を決めたいと思います。立候補はありますか?」

 朝の騒がしい教室はその一言で静まった。隣の教室の生徒がギョッとした顔で覗き込んだぐらいだ。

「では、推薦はありませんか?」

「「「はい」」」

 男子3人の声が重なると盛大に人の悪い笑みを浮かべた。代表として真ん中にいた男子が前に出た。

「如月を推薦します。彼はこう見えても今までのクラスのムードメーカーでもありましたし、頼りがいがあります」

 その声に女子の半分以上が確かに、などの声を挙げた。そしてトドメといわんばかりの爆弾発言も投下された。

「優君がやるのであれば私が副委員長をやります!」

 東海林は外見気弱そうに見えるが出るときは出る女の子だ、とは分かっていたものの、クラスメイトはびっくり、と顔に書いてあるような表情を浮かべた。

 その後優に発言権は回ってこなく、何故か副委員長に男子数名、女子数名が立候補し、結局のところ東海林のいつもとは違うヤル気な態度に気圧されて副委員長は東海林に決まった。

「よろしく、優君」

「ああ、よろしく、東海林さん」


「では、クラスマッチ参加競技について、クラスで話し合ってください。進行は議長が決まっていないので優君、お願します」

 今更断れるはずもないために従っておくことにした。

「では競技の一覧のページを見てください。全種目に参加することは不可能ですが、複数の種目に関しては可能とされています。種目は、バスケ、野球、サッカー、綱引き、バドミントン、リレー、水泳、校内鬼ごっこ、校内かくれんぼ、オンラインFPS、サバイバルゲーム、カラオケ大会……」

 優は顔が引きつるのが次第に分かっていった。

「先生、一つよろしいでしょうか」

 南先生は振り向くと、首をかしげた。

「これは、本当にクラスマッチの競技ですか?」

「ええ、間違いありませんよ。去年も盛り上がりました」

 後半の数種目が何故あるのかが気になるところだが話題を進めることにした。

「では、まずはじめに希望を取ります」

 次第に枠は埋まっていき、半分ほど埋まったところで副委員長からの提案があった。

「優君はオンラインFPSがいいと思います」

「東海林さん、なぜそう思うのですか?」

「なんとなくです」

「分かりました、優君、それでいいですね?」

 南先生と東海林さんの間で何かテレパシーでもあるのではないか。優はわけが分からずじまいだった。

「別に嫌ではありませんが、メンツは誰になるのですか?」

「全員初心者ですが、優君が教えてあげてください。きっと戦力になる呑み込みの早いメンツですから」

 南先生の言葉の後、残る4人が選抜された。東海林さんも入っていた。しかし、残る4人は全員女子だた。

「では、競技種目ごとに集まって練習日程などを決めてください」

 優のもとには4人の女子が集まってきた。優は、自分の頬が少し熱くなっていることが分かった。優の右隣には東海林が座った。

「久しぶり、優」

 誰か分からなかった。左隣に座った女子が。優は戸惑っているとその女子が続けた。

「覚えてないの?小学校の低学年までずっと一緒に遊んでたのに。アリアだよ、小鳥遊アリア。お父さんの海外出張についていって、転校しちゃったけどね」

 優は古い記憶を呼び起こした。同時にまた頬が真っ赤に染まることが自覚できた。

「アリア!?」

「ただいま、優!」

 抱き寄せられ、優の顔がアリアの胸に埋もれた。その姿を見ていた東海林が顔を真っ赤にして恨めしいような羨ましいような顔をアリアに向けていたことが分かった。

「はじめまして、東海林玲奈さん。小鳥遊アリアです。優とはお互いが初恋の相手かな?」

 爆弾投下後はアリアはいつものアリアに戻っていた。いつもの、とはいえ何年も前の話だが。

「優の匂いがする……」

 そう、顔を朱色に染めながらつぶやくとより一層力がこもった。

「そうですか、今まで優君は女の子にすこし免疫が無いのかと遠慮していましたが、もう遠慮は無用ということですね?」

 そう宣告すると東海林は優の腕を引っ張り、自らの胸の谷間に押し付けた。

 話し合いも出来ないまま、東海林とアリアは何故か喧嘩をしていた。他の女子二人を差し置いて。その女子二人も恨めしいのか羨ましいのか分からない表情を浮かべ3人を見ていたことは置いておいて。


まだまだ初心者ですが楽しんでいただければ本当にうれしいです。


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