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うさぎと亀

「大変、大変、大変!!」


兎は、大慌てで太郎のもとに駆け寄って来ました。


「まあ、落ち着け。ほら」


太郎は、持っていた竹の水筒を手渡すと、

兎は、よほど喉が渇いていたらしく、

ゴクッゴクッと喉を鳴らして水筒の水を全部飲み干してしまいました。


「ふ~~」


兎は一息ついて少し落ち着いた様子で、太郎と亀を見ました。


「あ、亀...」


うさぎは、以前、亀と駆け足競争をして負けた苦い思い出を思い出し、

少し嫌な顔をしました。


「その節はどうも...」


亀は、少し勝ち誇った様な顔をして、兎に挨拶をしました。


「え?お前たち、知り合いなのか?」


太郎は、二人の様子を見ながら少し驚いて尋ねました。


「はい、以前、陽明山の頂上まで競争をしたことがありまして」

「競争?兎と亀がか?」

「はい」


亀が得意気な顔をして答えるのを、兎は苦々しい顔をして見ていました。


「お前ら二人が競争すれば、どうやったって兎が勝つだろう?」


太郎は、怪訝そうな顔をして言いました。


「それが、私が勝ったのです」

「おい、亀!あの時は、私が油断して木陰で眠っているうちにお前が先に頂上に着いただけじゃないか」

「それでも、勝ちは勝ちです。油断したあなたが悪いんですよ」


兎は、悔しそうに亀を睨みつけた後、すがりつくみたいに太郎に擦り寄ってきて言いました。


「太郎さん~、なんでこんな亀なんかと一緒にいるんですか~」

「まあまあ、二人とも落ち着け。それより、兎、何があったんだ?」


太郎は、兎があわてて走ってきた理由を尋ねました。


「あ、そうそう!実は、子猫が一匹、迷子になって泣いているんです」

「子猫が迷子に?」

「はい。太郎さん、急いで来て下さい」


太郎と亀は、兎に手を引かれ、林森公園のベンチまで走って来ました。

するとそこには小さな子猫が泣いているではないですか。

太郎は、子猫に尋ねてみました。


「猫ちゃん、おうちはどこですか?」

「ニャーニャーううう...わからニャイ....」

「困ったな。じゃあ、猫ちゃんのお名前はなんですか?」

「ニャーニャーううう...わからニャイ...」


太郎と兎と亀は、顔を見合わせました。


「おうちを聞いてもわからない、名前を聞いてもわからない、か...。困ったなあ」

「このまま夜になったら、子猫は凍え死んでしまいます。太郎さん、何とかしてください」


兎は、太郎の手をしっかり握りしめて頼みました。


「太郎さん、まずは、犬のおまわりさんのところに子猫を連れて行ったらいかがですか?」


亀が甲羅から顔を出して、太郎に言いました。


「うん。しかし、犬のおまわりさんもワンワン泣いてばかりで役に立たないからなあ」

「なにか甘いものでも食べさせたら少し落ち着くんじゃないでしょうか?」


亀が提案しました。


「おお~、それはいい提案だな」

「うん、亀もたまにはいい事言うね」


三人は早速、子猫を連れて近くのアイスクリーム屋に入りました。

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