表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/35

殺し屋、弁解

遅くなりました。


いろいろ無理がある展開ですので何ともいえない出来ですが、とりあえず完結までは頑張るので応援お願いします。

翌朝。


俺は若干の疲労と共に目を覚ました。


辺りを漂う事後独特の匂いを感じる分、すっきりとした目覚めとは言い難いが、昨夜のお楽しみを思い出せるからまぁ良い。


久しぶりだから制御できなかった感があるからな。


真巳が初めてっぽかったのも含めて反省しなければいけない。


痛みに耐性はあると言っていたが、一応身を裂かれる訳だからいくらほぐしたって痛いだろうし、我慢させたと思う。


だが、だからと言ってこれはないだろう。


起き上がったら細剣を突きつけられるって……。



「私の事を散々悪人扱いしたくせに随分と無防備だな、青葉。


いつ殺すべきか迷ってしまったぞ」


「そりゃどうも。


惚れた女には信頼をおくのがモットーなんでね。


殺されたら殺されたで後悔しないさ。


ただ、理想としては刺されて死ぬより挿したまま死にたいけどな」



まぁ、発言からして冗談のようだったので、こちらも軽い冗談でかえす。


それを真巳には鼻で笑われてしまったが、突きつけられていた剣はひいてもらえた。


そしてその細剣を傘に戻す様子にかなり驚く。


それが仕込み刀であることに加え、そのネタバレをしてくれたことに、だ。


仕込み刀なんてものは暗器以外の何物でもない。


そして暗器と言うからにはバレていては効果の半減は免れない。


予想だにしない攻撃をくりだせるからこその暗器だからな。


真巳の行動は例えるなら埋めた地雷の場所を教えるようなものなのだ。


まぁ、こいつなら他の場所にもある気がするから喜ぶだけじゃあいられない。


今後も気を付けていくとしよう。


まぁ今はそんなことより真巳の顔だ。


何か言いたげだから質問するとしよう。



「それでこんなことしてなんか用事でもあるのか?


もう一回戦って言うなら喜んでやるぞ」


「馬鹿言うな、むしろ逆だ。


狛達が呼んでいる。


あんなことしたのだから折檻には気を付けろ」


「あぁ……まぁ、そうなるわな」



そしてその質問の答えに昨日の事を思い出した。


お姫様抱っこで逃走した後のことである。


当然のごとく追いかけてくるだろう4人を撒くため、適当に入った部屋で隠れた俺達。


そのすぐ後に叫びながら近づく足音が聞こえてきたので、協議した結果……おっ始めてしまったのである。


いや、協議した結果では真似事をして、案外恥ずかしがりやな4人を追い払い、その後に……みたいなことだったんだがな。


なかなか見つけられないのと密着状態で俺が我慢できなくなって、キスとかしてたら始まってたんだよ。


そしていよいよ挿入って所で空気を読まない狛が踏み込んだんだ。


まぁ、直前に部屋の外から聞こえてきた会話によると、他3人はすでに発見していたが中の状況に困惑。


孤子が見張りという名目で覗きをし、男2人が先に突っ走った狛を呼びにいっていたらしい。


そして静止も聞かず入ってきた狛はと言うと、俺達を視界に入れた瞬間、顔を真っ赤にして



「――ッ!?ち、ちゃんと説明しないとぶち殺すからなッ!!」



と叫ぶなり逃げ出してしまったのだ。


その時はあまりにも狙い通りの反応すぎて2人して笑ったのだが、その後ヤった行為で半ば忘れていた。


正直、何を説明しないといけないのか分からないし、殺されるのは嫌だし、そもそも理不尽すぎる。


できれば行きたくないのだが、今後の為にもあいつらと仲違いしたくない俺としては顔をあわせない訳にはいかない。


きだるい気持ちを少しでも解消するために背伸びしてから



「んじゃ、面倒だけど行くぞ」



と、真巳に声をかけ歩き出した。



「まぁいいが服は着ないのか?」



うん、この失敗もなかったことにしよう。






「んで、何か話があるらしいが、なんだ?」



家主である真巳の隣に座る俺がそう言うと3人が顔を紅くして目を逸らした。


だが1人だけ真っ直ぐこちらを見つめる瞳がある。


覗き魔孤子だ。


昨日は顔を真っ赤にしながら覗いていたのに、今日はやけに落ち着いているように思う。


だから何かしら大事な事なのか、と身構えるが


「言いたいことと言うより確認です。


青葉様は真巳さんを大切にする気はあるんですか?


いえ、あるにしてもそれを陶徐州に認めていただけるかが問題です」


なんてどうでもいい話。


呆れて鼻で笑うと



「いや、問題にならねぇよ。


俺としてはこいつ以外の女は考えられねぇんだ。


どんな手を使ってでも認めてもらうさ。


最悪、徐州から出て行く覚悟はある」



と、即答した。


これには孤子も押し黙る。


しかし、それを笑う者がいた。


何を隠そうそいつは俺の横にいる真巳である。


なぜ笑うのか理解に苦しむところだが、なんかムカつくので放置。


当人もわざわざ言うつもりは無いみたいなので取り沙汰されることもなく流れた。


そして俺の視線は未だ顔を紅くしながらチラチラとこちらを窺う狛へ向けられる。


こいつときたら呼び出したくせに一回も喋ってないのだ。


まぁ、繋がろうとしている所を思いっきり目撃したのだから、初なこいつにはキツイのかもしれないが、はっきり言って待たされるのは嫌いだ。


いっそのこと帰ってしまおうかと思っていると、狛が唐突に深呼吸を始め、真面目な表情になり



「青葉の気持ちは分かった。


それならオレも反対しない」


「分かってくれて嬉しいぞ、狛。


なら帰ってもーー」


「ただ……真巳さんの口からもちゃんと聞かせてくれ。


真巳さんは命の恩人だから疑いたくないけど、青葉も仲間だ。


裏切ったり利用するために関係を築いたってんなら、たとえ2人に嫌われてもオレは邪魔するぞ」



じっと真巳を見つめてそう言った。


相当な覚悟を決めて言ったのだろう。


真巳が冷めた表情で睨みつけてもその視線は微動だにしない。


俺としては利用されるのは当然とも思っていたので、興味はなかった……が、聞けると言うのなら聞いておこう。


試しに早く言えと視線を送ってみる。


真巳はすぐに気づいて鬱陶しそうにこちらを一瞥すると、ため息をつき



「父親に似てきたな」



と、俺にでも聞こえるかどうかという声で呟いてから狛と向き合った。



「狛、私はお前が何を思っているかある程度分かったうえで本心を言うから、ひとまず黙って聞いておけ。


まず裏切るかと聞かれれば、現時点でその気はない。


そして利用するためにーーという質問だが私としては出会ってすぐ女を口説くような馬鹿を利用してやろうと考えない手はないと思うのだが……違うか?


いや、答えなくていい。


次で最後だ。


はっきり言っておく。


これ以降私の邪魔をするなら、最終的には愛玩動物として扱うことになるから覚悟しておけ。


閨で青葉に勝てない鬱憤を晴らす手伝いをしてもらう」



さて、何を言うのかと心配していたが、どうやら口止めするだけらしい。


最後に言ったことに至ってはただの憂さ晴らしだから関わりたくないはずだ。


俺としてはレズってる所なんかを眺めるのも嫌いじゃないから大歓迎なんだが……仕方ない諦めるか。


ついでに俺が最初から裏切りを警戒していたことを話したらどうか?と真巳に耳打ちする。


というか昨夜は興奮しすぎてくぎを差すために結構過激なことを言ったので、それを伝えれば狛達も邪魔しようと考えないはずだ。


真巳もその考えに至ったようで一つ頷くと



「あぁそれとそもそもの話だが、裏切る可能性があるのは青葉自身に見抜かれているからいらない世話だ。


これは閨で言われたんだが、もし私が反乱したら『手足を切り落として俺に抱かれる以外の存在価値のない生き物にする』らしいぞ。


流石にこんなこと言われて分の悪い賭けをするほど私は酔狂じゃないから今は安心していい。


まぁ、仲間と恩人両方を助けたいならそういう状況を作らないよう努力することだな」


と、言って立ち上がる。


自分の言った言葉に若干引いていた俺だが、本心でもあるので否定はせず、それ以上に引いている三人を一瞥してから



「どこに行くんだ?」



と、首を巡らせ歩いていく真巳に質問した。



「嫁入りの支度だ」



それに振り向いて恥ずかしがるでもなくそう短く答えた真巳は颯爽と部屋を出て行く。


随分とグッとくる台詞だが要するに勧誘とプロポーズに同時成功したということだろう。


成果は上々だ。


後は帰って親の説得あるのみ。


この幸せをいつまでもかみしめていられるよう頑張るとしよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ