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殺し屋、遊蕩

相変わらず展開が滅茶苦茶です。

青州の治安回復を太史慈に任せて俺、呂布、御遣いの軍は黄巾を追撃する形で兗州へ駒を進めた。


もちろん互いに犠牲を出さないよう、つかず離れずを徹底して、だ。


黄巾は戦闘員以外も含まれているからかなり遅いが、おかげで大した被害も脱走者もなく進軍している。


今は夜で陣幕を張り休んでいるが、明日には兗州軍との接触圏内に入ることだろう。


そして、間諜の報告によると陳留から曹操も軍を発しようとしているらしい。


後は曹操が来るより先に黄巾の連中が兗州刺史の劉岱を殺して逃げ去り、俺達が兗州の州治、僕陽に居座ってしまえば今回の目論見は達成される。


徐州、青州に次いで兗州が俺達の影響下に治まるのだから、かなりの利益だろう。


袁紹に対抗するためにはこのくらいの国力は必須だ。


あいつらは名門というだけで、金と兵数だけはアホみたいにあるからな。


ただし、利益だけでなく問題も発生する 。


袁紹と曹操の領地に接することと、新しい土地は馴染むまでに時間がかかることだ。


まぁ、公孫賛と組んで袁紹と戦うのだから領地の接触は仕方ないとして、時間をどうやって稼ぐかが今後、重要になってくるだろう。


ただしこれも、兗州が穫れればの話だな。


皮算用しててもしょうがない。  


そんなことよりは、少しでも成功率をあげるため、行動すべきだ。


第一の策として劉岱に黄巾を挟撃しようと書簡を送る。


上手くいけば篭城せずに飛び出した劉岱を殺し、空いた城を占拠できるだろう。


渡した書簡を持って飛び出すように出て行く部下。


それと入れ替わるように、今度は狛が入ってきた。


入ってくるなり訝しげに辺りを見回し、俺の手元の筆を見つけるとふんっと鼻で笑って



「おいおい、また姑息な手ぇ使ってんのか?


オレはあんまり好きじゃねぇな」


「そう言うな。


これも大事な部下を守るためだ。


今は一兵たりとも損ないたくないんだよ」


「それは分かるけどよ……なんて言うか、こんな騙し討ちみたいなことをしてたら味方を減らさないか?


そうしたら結局部下を損なうぜ」



謀略の類が嫌いなためつっかかってくる。


有用性は分かっているのに性格がそれを受け付けないのだ。



「心配してくれてありがとうな」


「バッーーそんなんじゃねぇよ」



ひとまず、意外と照れ屋な狛へ素直に感謝する事で、これ以上絡まれないよう追い払おうとする。


案の定、狛は顔を紅くして顔を背けるが、立ち去ろうとはせず、というか心なし近づいてきた。


なんだなんだとジロジロ見れば、居心地が悪いらしく今度は離れる。


よく分からないが、害はないか。


気にせず手元に視線を移しながら



「まぁ、お前みたいに心配してくれるやつがいるうちは俺も大丈夫さ。


駄目になったら夜道も歩けないし、知らぬ間にみんないなくなるだろうからな」

 


現状と近い将来の予想を呟く。


実際こんなことを続けていれば、部下はともかく、隣接する勢力から不審がられて友好関係を築けなくなりそうだ。


今後は俺が汚れ仕事をする機会を減らすべきだろう。


そうなると今後のために謀臣が欲しいな。


陳登は能力があるけど徐州のため、という面が大きいし、諸葛亮や鳳統、陳宮はガキで、汚れ仕事をできるほど達観してはいないだろう。


真巳は既に手伝ってくれているし、糜姉妹や簡雍は政治家。


となると残るは…………賈詡か。


問題は北郷の女ということと、今は軍師や参謀じゃなく侍女なんかをやっているとこくらいか。


まぁ、どうとでもなるといえばなるな。


最悪、董卓を人質にすれば何でも言うことを聞いてくれそうだ。


まぁ、そんなことをしたら一瞬で皆が離散しそうだからやらないが、そうだな……一番楽しい方法は寝取るぐらいか。


好みとはちょっと違うが、気の強いやつを組み伏せるってのも悪くはない。  


孕ませたとしても髪色が近いからごまかしもきく。


と、そこまで考えた所で頬から強い痛みを感じた。


確認するといつの間にか再接近した狛に頬を抓られている。


そんなことをされる筋合いもないので、手を払い睨むように見据えると



「に、睨んだって無駄だぞ。


人が折角注意してやってんのにまた、悪だくみしてただろう。


お前はそういう時、顔がなんか厭らしいんだからな」



少し怯みながらも、狛はそんなことを言った。


考えが顔に出るってのは褒められたことではないから指摘されたのは良いことだと思おう。


ただ、抓られるのは話が別。


痛いのもあるが、それ以上に屈辱感が凄くて、個人的にとても嫌いだ。


だから俺も仕返しをすべく立ち上がり、距離を詰め、足を絡めて押し倒すと両手を拘束。


足の付け根にまで膝を突っ込み身動きを封じると、顔と顔を近づける。



「悪だくみなんか俺は全くしてないぞ」


「う、嘘つくんじゃねぇよ。


あの厭らしい顔は絶対悪だくみの顔だ」


「そうか、それなら今も同じ顔してるだろう。


何考えてるかわかるか?」


「はあ?そんなこと……っ!?


ちょ、ちょっと待てよ。


もしかしなくても今の体勢と関係ないよな?」


「関係あるさ。


ちなみに正解は厭らしいことだな」


「あ……う、その……ま、真巳さんに悪いから、その……うぅ……は、初めてだから優しく……な?」



そして問答の末、ようやく狛が現状を理解し、顔を紅くしながら目を閉じた。


初な反応に満足し、以外と抵抗しないことに驚きつつ、俺は両手の拘束を外して



「いひゃっ!?いひゃい、いひゃい、このッはなせッ……うぅー、青葉の馬鹿やろう」



頬を抓ってやり、払われるまでこね回す。


存外に短い時間だったが、その後の涙目が結構可愛いので満足だ。


おまけとして乙女心も踏みにじれたことだろう。


仕返しってやつは与えられたものに上乗せしてやるべきだからな。


怒った犬のように呻り声をあげる狛が暴れないように、体勢を変えて、足の付け根に腰掛ける。


それでも殴りかかってくるので再度腕を拘束して身動きを封じた。


狛は男らしく振る舞うくせに、性格が人一倍乙女なので、からかうと面白いのだが、我慢の限界がくると暴れるから面倒だ。


からかい仲間である狐子はその点を理解していて、絶妙なタイミングで猿や熊などの第三者を投入してストレス解消させている。


俺も一応教わっているのだが、今回は暴発してしまったから仕方ない。


別の方法で無力化するしかないな。


まずは狛の噛みつきを防ぐため、両手をまとめて片手で拘束し、あいた方の手で狛の標準装備でもあるタンクトップを顔までめくりあげる。


そのおかけで水色のブラに包まれた薄くはあるが、形の良い胸がさらけ出される。


こんな感じに露出とか色んな方法で羞恥心を煽るのが、無力化への必須条件だ。


仕上げとばかりに視界が塞がり、胸がさらけ出されている現状にパニクる狛を抑えながら耳元に一言



「おや、これはこれはお取り込み中でしたかな?」



言う前に趙雲がニヤニヤとした笑みで嬉しそうに侵入してきた。


まぁ、現状を見れば濡れ場と勘違いしてもおかしくないだろうが、このタイミングで入ってくるあたり趣味が悪いな。


それにこのしてやったりって顔は腹がたつ。


この状況じゃあやろうとしてた無力化はできないから……方法を変えてやるか。


突然俺以外の声が聞こえたことで絶望してしまったのか、抵抗することもなくなった狛の耳元で囁く。



「今、子竜を黙らせれば、目撃者はいなくなるぞ」


「ん……そうだな」


「あぁ、俺も手伝ってやるからヤってみるか?」


「わかった」



もちろん選ぶのは第三者で発散させる方法だ。


そのためにもまず、タンクトップをもとに戻してやり、掴んだままの腕を引いて起こしてやる。


そして相対するは一騎当千の勇将趙雲。


幸い得物である鎗を持っていないので頑張れば何とかなるのではないだろうか。



「んん?何やら不穏な空気が……」



そう考えていると、あまりにも狛が殺気立っていたためか、趙雲が訝しげにこちらを見て一歩下がる。


ちらりと横を向けば、今にも飛びかかりそうな雰囲気の狛が獲物を狙う餓えた狼よろしく、威嚇の声をあげていた。


流石に警戒態勢の趙雲を相手にするのは分が悪いだろう。


やれやれ、と首を振りながら筆の置いてある簡易机に狛から離れるように向かい、それに凭れながら趙雲と対面する。



「相当人をからかうのが好きらしいが、いい加減にした方が良いと思うぞ。


そのうち取り返しがつかなくなる。


今回は狛が見ての通りご立腹だ」


「あぁ、それは申し訳ない。


ただ、わざとではないことは分かってくだされ。


伯陽殿に用事があって何とはなしに覗いたらあんな事になっていたのだ。


好奇心を止められなくても仕方ないであろう」


「要するに今後も止める気はないってことか。


まぁ、俺も御遣いの濡れ場に乱入したことはあるから強くは言えないけどな」


「あぁ、それで……私の考えをよく分かっておられる。


存外、我らは似た者同士なのかもしれませぬな」


「それは光栄だ」



などと軽口を叩きながら狛の動きに合わせられるようにさり気なく様子を窺う。


趙雲は相変わらず警戒態勢だが、俺に対するそれはそこまで高くないだろう。


距離もあるし一応友好的に話しているからな。


そのまま会話を続けながら、筆を手慰みに弄っていると、視界の隅で狛の足に力が入るのを確認。



「似た者同士なら考えていることが分かるかもな。


俺が今、考えていることが分かるか?」


「ほう、面白い。


ふむ、それならば……先ほどからチラチラと見ている宣高殿のことですかな?」


「まぁ、それも正解なんだが、もう一つあるんだ」


「う~む……とんと見当もつきませんな。


正解をお聞きしても?」


「あぁ、狛としていた以上のことをお前とやりたい、だ」


「は?」



趙雲が虚をつかれて呆けた顔をした瞬間に、持っていた筆を顔目掛けて投げた。


と、同時に狛が足場の土をえぐり取る勢いで疾走。



「死にさらせッ!」



筆を辛うじて避け若干体勢を崩した趙雲を間合いにおさめると、狛は持ち前の長い足で、頭部を刈り取るような右ハイキックを放った。


趙雲は咄嗟に両腕で頭部を守るように防ぐが、体勢が崩れている現状では衝撃を緩めるのでやっと、勢いを殺しきれず地面に倒れ込みそうになるなか、手をつき転がることで間合いから抜け出す。 


しかし、怒り状態の狛は手加減を知らないのか、距離をつめ膝立ちする趙雲の顔をボールのように蹴ろうと振りかぶる。


一度見せてもらったが狛の蹴りは、地面に刺した樫の棒を折る程の威力だ。


流石に冗談じゃすまないと判断して慌てて割り込めば左腿を強かに蹴られた。


ダッシュで割り込んだせいで体勢が悪く、カットできなかったのは二つの意味で痛い。


顔を蹴らせなかったのは及第点だが、この後が続かない。


精一杯の虚勢を張り、構えながら、今後の算段を考えていると、



「いきなり襲いかかったかと思えば急に割り込んで、貴殿はいったい何をしたいのだ」



趙雲が服についた砂を払いながらゆっくり立ち上がり、呆れた調子でそういった。


思わず振り返りそうになったが、今狛から目を離すとヤバいので前を向いたまま



「狛が怒った始末をつけてもらおうとしたんだが、お前がここまで弱いのは誤算だった。


常山の昇り竜が聞いて呆れるな」



少し煽ってストレス解消させてもらう。


趙雲が後ろで喚いているが気にしない。


というか今の行動で狛に敵として認定されたようだ。


何で俺が……、と思いはしたが、そもそもの原因は俺にもある。


仕方ないとため息をついた瞬間、間合いを詰められ再びの右ハイキック。


避けるためしゃがみながら、軸足に足払いをしかける。


が、突如として軸足が跳ね上がって、顔へ刺突のような蹴りが迫った。


しゃがんでいては受けも避けもできないので慌てて右に跳び、転がりながら起き上がる。


再度向き合えば荒い息を吐いてはいるが、落ち着いてきた様子。


このまま何度か攻防を繰り返せば、怒りもおさまるだろう。



「そもそも私に怒りをぶつけるのが、おかしいであろうッ!!


覗きはしたが、それも伯陽殿が宣高殿を押し倒していればこそ。


そうでなければ私とてあのような不意打ちをーー」



と、思っていたのだが、趙雲のいらない発言が狛の怒りを再び増幅させた。


殴りかかってやりたい所だが、そんなことをすれば狛に後ろからやられるので却下。


嫌がらせ程度に背後の趙雲目掛けて砂を蹴飛ばしながら、今度はこちらから間合いを詰める。


まずは厄介な足をつぶす為に右ローキック。


前世から蹴りは我流ながら威力と鋭さには自信があった。


が、その蹴りは狛の脹脛に吸い込まれることなく、脛に阻まれる。


鈍い痛みが広がり、見事に出端を挫かれたわけだが、ここで怯んでいては格好の的になってしまう。


得意のハイキックを狙えないように間合いを詰めながら、効率的に体力を奪える鳩尾へとボディブローを放つ。


衝撃が堅い腹筋を貫く手応えとともに狛の苦悶の声が聞こえる。


苦し紛れに狛からもボディブローが飛んでくるが、腹筋で受け止め、前のめりになったのを見計らい首の後ろで手を組み首相撲に持ち込んだ。


これは対策ができてないなら一方的に攻撃できるからいい。


右足を後ろに引いて重心を移動させながら首を捻ると、相手の体勢が崩れる。


そこにすかさず膝を叩き込めば、見事クリーンヒットだ。


何度も繰り返せば体勢を崩さまいと力が入り、それが余計に重心を崩しやすくするため素人相手ならいつまでも続けられる。


が、狛は喧嘩の素養があるようで、自身の不利を悟ると無駄な抵抗をせず、防御に徹するようになった。


飛んでくる攻撃が限られているので正しい判断だが、首相撲は体力をかなり削られる。


それをどうするのかと優勢が故に余裕を持って観察していると



「真巳さんごめんな」



という小さな呟きが聞こえ、その瞬間、悪寒を感じた。


本能的に組んでいた手を外し、距離をとれば、無理な体勢でありながらも、鋭く空を切る狛の膝を視認。


そしてその軌道から先の発言の意味も理解できてゾッとする。


こいつは金的を狙っていたのだ。


しかも潰す気満々で……。


恐れの籠もった目で見つめればどこか狂ったような表情で、ゆらりと狛が立ち上がる。


あの表情はマズい。


そう直感できるほどの狂気が見える。


これは逃げるしかないだろう。


ちょうど良く狛がダメージにより嘔吐する。


瞬間、逃げるため振り返ろうとしたら、背後から腕を抱えるように抱きつかれ身動きを封じられた。


こんなことをする下手人はこの場に一人しかいない、趙雲だ。


背中に二つのやわらかな感触を感じるが、それを楽しむ余裕も、嬉しいと感じる好意も今の状態では持つことを許されないだろう。



「おい、趙子竜。良く聞け。


今手を離さないと大変なことになるぞ。


これは脅しじゃない」


「これは異な事を言う。


私は急に伯陽殿に抱きつきたくなったから抱きついたまでのこと。


喜びこそすれ、怒られる理由が分かりませぬ」


「分かってる。


バカにしたことを怒ってるんだろ?


悪かった、謝るから本当に手を離してくれ。


できることなら何だってする」


「はっはっは、怒ってなどいませぬよ。


砂をかけられたことも怒っていませんとも。


だが、何でもしてくれると言うのならそういうことにしてもよいでしょう。


確か先ほど……そう、宣高殿としていた以上のことをしてくれると、言っていましたな。


それをこの体勢で行ってくだされ」


「てめぇ離す気がねえじゃねぇか」



そしてそんな問答を繰り返している間にも復活した狛はだんだん近づいてくる。


趙雲が俺を解放することも絶望的。


そしてこんな体勢で狛の猛攻を防ぐことはまず不可能だ。


と、なると生き延びる手段は限られる。



「手を離すなら今のうちだからな」


「願いを聞いてくださるまでは聞けぬ相談です」


「まぁ、そうなるか。


言ったからには離すなよ」



その中から一つを選ぶため、いちおう趙雲に尋ねれば予想通りの答え。


選択肢はそれだけで一気に削られ、残された選択肢の中から俺が選んだのは趙雲ごと逃げる、だ。


上半身の筋肉を収縮させることで身体を膨らませ、ついで脱力することで僅かな隙間を作る。


その脱力を利用して身を屈めれば、流石の趙雲でも拘束が一時的に緩み、腰の辺りだった拘束位置が胸に変わる。


そのおかげで動くようになった腕で後ろ手に趙雲の尻を抱えると、おんぶの体勢の出来上がりだ。


狛は依然として接近しているので背を向けるのは愚の骨頂。


おんぶしているので普通には逃げ切れない。


つまり活路は狛を倒した先にしかないわけだ。


前屈みの体勢を利用して二人分の体重を推進力へと変換。


一気に加速して狛に突撃する。


狛は驚いた様子であったが、野生の勘でも働いたのか慌てた様子もなく迎撃してきた。


前のめりになったため、突き出された顔目掛け左の前蹴りを放つ。


やはり狛の攻撃は単調だ。


予想通りの軌道できたそれをタイミングよく下からすくい上げるように弾いて防げば、容易く狛が体勢を崩す。


それだけではまだ人一人抱えて逃げるには不十分なので、追撃。


接近して顔を掴むと進む力も利用して地面に叩きつけた。


流石に後頭部強打はマズいので途中で手を離したが、それなりのダメージはあたえただろう。


死にそうにないことを軽く確認しながら走り抜ける。


色々面倒なことになったが、これで一つは解消されたわけだ。


後は背中の趙雲をどうにかすれば大きな問題はなくなるだろう。


狛にした以上のことと、誤解されそうな言い方をしてはみたが、別に抱いたりする気はなかった。


せいぜい裸に剥いてやるくらいで勘弁する予定だったのだ。


が、さっきの妨害は冗談ですますわけにはいかない。


俺の子種が生きるか死ぬかの瀬戸際までおいつめられたのだから。



「趙子竜、俺は最初手を離さないと大変なことになるって言ったよな?」


「確かに言っておりましたな。


続けて、何でもするから許してくれとも」


「勝手に言葉を変えるな。


手を離したら何でもするって言ったんだ」


「ほう、つまり私はこのままだと大変なことに見舞われる、と」


「まぁ、そういうことだ。


ただ、対象がお前と決まったわけじゃない。


例えば御遣いの玉やら竿が消えてなくなるとか、御遣いの女が俺そっくりな子供を産んだりとか、色々あるだろうな」



最初の方は冗談めかして返事をしていたが、反省の色が一切見えないので、本気にさせるため狙いをもらす。


瞬間、背中の趙雲から膨れ上がる存在感。


殺気というよりは闘気といったところか。


甘いというかなんというか、すぐに行動を起こさない時点で趙雲の運命は決まった。



「……それは脅しですかな?」


「仕返しをすると宣言してやっただけだ。


お前のせいで俺の子種が尽きるかどうかの瀬戸際に立たされたんだからな。


お前の好きな男の子種が尽きたって自業自得だ」


「そんな無茶が通るとお思いか?


今の状態なら貴殿を殺すことさえできる」


「勝手にすれば良い。


まぁ、事実が発覚したとき御遣いがどうなっても知らないがな。


暗殺を命令したとして処刑されるか、処刑が嫌で反乱おこすかのどっちかだろう。


お前は大好きな御遣い様にそんな罪を背負わせてもいいのか?」


「クッ……どうすれば許してくれる?」


「許すなんて段階はもう過ぎた。


後は……そうだな。


俺の怒りをお前が身体でも使って発散させてくれれば、考えてやるよ」


「…………それで主には手を出さないと約束してくれるのだな?」


「あぁ、約束しよう」


「貴殿とは仲良くなれると思っていたのだが、残念だ」



これで友好と引き換えにして肉体関係を築けたわけだ。


好きな男のために身を売る女なんてめったにいないが、そういった女を自分色に染め上げるのは最高に燃える。


不貞を働いたことで後悔する姿も良い。


それ以外でも御遣いを排除するための火種になってくれるだろうしな。


やたらと突っかかってきたためあまり良い印象はなかったが、趙雲も良い女だ。


愛憎を向けられる未来を想像しただけでゾクゾクする。



「仲良くはなれるさ。


それこそ恋仲と言えるくらいにはな」


「ふざけるな、外道が。


身を許そうともすでに我が心は主に捧げてある」

 

「それは羨ましいな」



挑発してみても良い反応を返してくれた。


肉体関係を持つことを甘く見ているようで安心する。


これなら良い具合に仕上がってくれるだろう。


抱えている尻をこね回しながら近場の林へと足を進める。


気丈な態度が崩れるまでにどれだけかかるか今から楽しみだ。



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