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殺し屋、就任

さて、とりあえず帰ってからの出来事を整理しよう。


まず真巳についての説明と説得は成功と失敗で半々だった。


失敗の一番の理由としては、相手が母だけでなく二人の妹たちに加え、なんと糜竺までもが反対したからである。


身内だけならともかくなぜ糜竺が?と思った俺はすぐさま質問した。


そして返ってきたのは、両家の結束を強めるために俺と糜芳を結婚させる気だった、という答え。


しかも糜竺が家族全員に根回ししていたせいで、皆が乗り気になっていたのだ。


そしてそういう結婚なら相手は正妻に迎えるのが妥当だし、元々俺のまわりに色事の影も形もなかったせいで既に糜芳と話はつけてあるとのこと。


ここで真巳を正妻にするとか言って、糜姉妹に離れて行かれたら今後、かなりの痛手になる。


しかもこれは今後、糜姉妹が劉備に連れて行かれないための有効な布石になり得ることだ。


簡単には断れない。


いちおう逃げ道も探したが、無理だった。


思いついたのはどちらかの妹に結婚してもらうこと。


本来、糜竺には糜芳以外に劉備の妻になる妹がいる。


この世界でなら弟になっているはずだから大丈夫だろう……と、思ったのだが聞いてみればこの世界の法則を無視するかのように弟ではなく妹のままだった。


性別反転が行われない例外があるのか……思えば俺もその例外に入っている。


これなら劉備や曹操も男という可能性がないこともないか。


でもまぁ、ひとまずそれはおいといて糜芳の件である。


いちおう真巳を側室にするても考えてはみたが、個人的な感情で却下。


やはり一番好きな女を正妻にしたいのだ。


なので最後の手として決めていた、認めてくれないなら徐州を出て行くという一種の賭でもある発言をした。


そこからは長い沈黙が続いたが、唐突に母が真巳を連れてこいと言い、しぶしぶながら俺が連れてくると、事情を説明して一瞬の迷いもなく正妻は諦めてくれと頭を下げた。


そして驚愕する間もなく、すぐさま真巳が私は妾で良いといってしまい、反対する間もなく決まってしまったのだった。


ーーーー



「言っとくが俺はすこぶる機嫌が悪い」



酒宴はそんな言葉から始まった。


相手は先の原因とも言うべき真巳、糜竺、糜芳の三人。


酒宴の目的は俺と糜芳、糜芳と真巳の親睦を深めようというもので、最初の言葉こそあれだったが、酒が入ったおかげで気も軽くなり、今ではまずまずの雰囲気となっている。


そろそろ俺一人で酒壺一つ空けるのでは無いだろうか?


この時代の酒はアルコールなどあってないようなものなのでアホみたいに飲まないと酔えない。


まぁ、今現在そのアホみたいに飲むという行為をやってるんだが、これは腹いせも含めているから良いだろう。


今日は糜家の酒を飲み尽くしてやるのだ。



「それにしても正妻とか妾って区切りが面倒だな。


こんなんがなけりゃどっちも好き勝手抱けて最高なのに」


「別に気を使わず好き勝手抱けば良いだろう。


私は青葉の側に居られれば十分だ」



そんな俺に向かって、右端に座る真巳がため息をつきつつ酒をちびちび飲んで言う。


結構可愛らしいことを言うなと思ったが、よく考えれば裏切る隙を狙うためってことなのか?


思考力の鈍ってる今じゃ判断がつかないから、今夜の誘い文句として受け取っておく。


それにしてもなぜ糜芳の顔が赤いのかが気になる。


こいつは酒を飲んでいない筈なんだが……何が顔を赤くする要素なんだ?


理由を見極めようとじろじろ眺めていると、糜芳は目があった瞬間、長い橙色の髪で顔を隠すように俯いた。


僅かに見える耳はよりいっそう赤くなっているように見える。


てことは単に恥ずかしがっていたのか。


まぁ、あまり話したことはなかったが、たれた眉と目で常に俯き加減な姿を見ていれば内気な性格ってのはすぐに分かるよな。


流石に酔っているのか、答えに辿り着くまでがかなり遅い気がする。


そろそろ自重しないとヤバいことになるかもしれない。


そう思いつつ杯にある白く濁った酒を飲み干すと



「昌稀殿のような美人を口説き落として羨ましい限りですが、きちんと妹も可愛がってくださいよ。


もし、私の大事な大事な妹を泣かせたら……わかりますよね?」



糜竺がすわった目で俺の杯に酒を注ぎつつそう言った。


脅してくるとは思わなかったが、シスコンだろうと見当はついていたので驚きは少ない。


ニヤニヤと笑って不安を煽ってから



「おいおい、美人の泣き顔以上にそそられるものもないだろうに……。


でもまぁ、安心しろ。


閨以外じゃ泣かせる気はもとからない」



と、言って立ち上がると机の向こうにまわり、糜芳を抱き上げてもとのいちに戻ると、胡座した足の間に背を向けて座らせる。


数瞬、事態が分からなかったのかきょとんとした顔でこちらを見上げていた糜芳は



「えっあっそのうあっ……ご、ご、ごめんなさいッ!」



と、キョドった後、理解したのか顔を真っ赤にして、頭を下げた。


糜芳の前には真巳と糜竺しかいないため頭を下げる向きが本来逆なんだが、可愛いのでよしとする。


糜竺なんか顔がとろけそうなほどにやついてるし、妹好きはこういうことがあるからなんだろう。


基本的に糜竺は微笑んでるイメージがあるので、何を考えているか分からなかったが、この顔を見ていると存外妹のことばかり考えてるのかもしれない。


という俺も糜芳みたいなのは結構好きだ。


ただ、眺めるというよりそういうやつを苛めることが、だ。


妹二人に悪戯したこともある。


言葉の反応は無邪気すぎてだめだが、紅葉は糜芳に勝るとも劣らない良い恥じらいだった。


思い出していたらにやけそうなので慌てて糜芳のうなじに顔をうずめ、鼻から息を吸う。


香の匂いの下からのぞく何とも言えない女の良い香りが嗅覚を刺激して、落ち着いていくのと同時にひどく興奮する。


別に匂いフェチではないんだが、ここの匂いを嗅ぐのは前世からの癖だ。


たいていの女からは良い匂いがするし、これをやられて恥ずかしがらない人はいない。


あの真巳でさえ恥ずかしがったからな。


案の定、顔どころか首まで赤くした糜芳が、あうあうと奇妙な鳴き声を発して逃げようと身じろぎする。


まぁ、腹の所で手を組んで抱えているから本気で逃げようとしても無駄だ。


存分に匂いを堪能していると、そんな俺達を呆れたように眺めていた真巳が



「青葉は変態だから諦めるんだな、糜子方。


私がお前を拒絶せずに歓迎したのはそれが主な理由なのだから精一杯頑張ってくれよ」



と言って立ち上がり、一緒に糜竺も腰を上げて



「姪の顔を早く見せてくださいね、夕?


あぁ、それと青葉様。


明日には陶徐州より伝えられると思いますが、東海郡の太守を任せるそうです。


他の皆様もそれぞれ役職につけるようなので、お先にお祝い申し上げます」



若干、衝撃的な発言をしてから、二人して立ち去っていった。


そして部屋に残されたのは俺と糜芳の二人だけ。


つまりはそういうことなのだろう。


太守になるとかはほっといて今を楽しもう。



「なぁ、せっかく夫婦になるんだから真名を教えてくれないか?」


「えっあっはい、夕って言います。


そ、その初めてッ……ですから、優しくお願いしますね。


あ、青葉様」



何だろうこの初々しさの塊は?


結構ツボである。


真巳みたいな一本芯の入った強気な感じが好みだったのに、おとなしくてこんな内気なのも許容範囲内とは……真逆じゃないか。


いや、もう良い。


酔ってるし、考えるだけ無駄な気がする。


短期間に女が二人に増えて最高だと分かっていればいいんだ。


と言うわけで閨でも探すとしよう。

青葉は匂いフェチです。


本来こんな展開じゃなかったのにどうしてこうなった?と自分に問いたいが書いたんだからしょうがないとしか言えない。


キャラも出しすぎて台詞ほとんどなかったりいろいろ駄目な感じですが、応援よろしくお願いします。


今後もキャラ増えそうですけどね(苦笑)


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