彼と彼女のお仕事 後編
今回のお話は、銀百合たちの探し人もとい、天才機械師の正体が明らかに!
どうぞ、お楽しみください。
気がつくと、目の前がまだ真っ白だった。
しかし、さっきのような光線の白ではなく、やさしくそれでいて冷たい白。
銀百合がゆっくりと起き上がった。
「・・・ここ・・・?」
そこは、病室だった。今時珍しいくらい、全てが真っ白の病室。
床も天井もカーテンも、花までもが白色に統一されている。
「・・・シャドウの病室」
不意に声が響く。振り向くと全身ぼろぼろの青年が、床にあぐらをかいて座っていた。
誰だったっけ・・・?
銀百合はかすかに首を傾げる。
青年が顔を上げた。シャラリ、と冷たい色味の金髪が流れる。抜けるように青い双眸が銀百合をとらえた。
そのまま見詰め合うこと約1分間。
先に目を逸らしたのは、青年だった。
「君の連れは、そこで寝てる」
指差す方向には、日和が寝息を立てている。
あなた、誰ですか、と聞こうとして銀百合は青年の手の中のものに目を留めた。
彼の視線に気づいた青年が声を漏らす。
「詫び」
その手には、最新の小型探査機が2つ、握られていた。世界中のスパイや警察関係者の間で今、人気沸騰中の代物だ。そんな高価なものが、しかも2つ手に入るなんて、普通はありえない。
と、その時。
「あーっ、それ、今超人気のやつだぁっ!!」
元気な声が飛び込む。言うまでもなく、日和だ。
「おはよう、ひより」
「ねぇねぇ、それ、欲しいっっ、お願い!」
銀百合のあいさつを完全にスルーして、日和は青年に詰め寄る。
「・・・ん」
青年はそっと日和に向かって手を差し出した。わぁっ、と嬉しそうな声をあげてそれを受け取る日和。
「見て見て、銀くん!ひより、もらっちゃったー♪って・・・どしたの?なんか、不機嫌?」
「・・・別に」
その時、
「あ、日和ちゃん、銀百合くん起きたんだ?」
彼らのすぐ隣、壁際に圭介が立っていた。
「圭介先輩~!!」
すかさず日和が圭介に抱きつく。それを微笑みながら受け止める。
あったかくて、安心できる風景。
だけど。
いつから圭介は、そこにいたのか。
気配は感じなかった。気づいて、改めて彼はすごい人なのだと思い知らされる。
「・・・まだまだ、だな・・・」
思わず、自嘲的な笑みが漏れる。早く、そのレベルにまで達さないと。目的は果たせない。
「君にも、迷惑をかけた」
唐突に突き出された手。名も知らぬ青年から、銀百合は有り難く、小型探査機を受け取ると、さっきは訊く事の できなかった問いを口にする。
「あなた、誰なんですか?」
青年はニコリとも笑わず、
「凪渚 要。機械師」
けーすけの相棒、と答えた。
日和「結局、仕事してないじゃーん」
銀百合「それは、言うな・・・」
圭介「ほんっと、ごめんね。コ・イ・ツのせいで・・・謝れ、要」
要「・・・ぐー、すかぴー・・・」
圭介「寝んなっ、アホ!!」
誤字脱字等ありましたら、ご指導お願いします。
次回もお楽しみに!!