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彼と彼女の学園生活


 「彼と彼女のスパイな理由」第2話です。

 陽麻里と悠里は、学校ではどう過ごしているのでしょうか?

 という、お話です。


 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 


 「急げ、急げぇっ!」


 自分より頭1つ分くらい大きい悠里の手ひいて、陽麻里は校舎内を全力疾走していた。


 「・・・もう、間に合わないと思うけど」


 「諦めるんじゃないっっ・・・ほらっ、教室だ!」


 陽麻里の視界に“2-1”と書かれた白いプレートが飛び込んできたとき、


 キーンコーンカーンコーン


 残酷なチャイムの音が、校舎内に響き渡った。


 「あぁぁ~・・・・遅刻だぁ~・・・」


 「だから言ったじゃん」


 がっくりと肩を落とす陽麻里と、全然気にしていない様子の悠里。


 さっきまでの勢いはどこえやら、陽麻里は項垂れたまま、教室のドアを引いた。


 「おはようございまーす・・・」


 瞬間、


 「遅いっ!!今までどこで何をしてたんだ!」


 怒鳴り声が二人を襲う。陽麻里が目を向ければ、


 筋肉隆々のスポーツマンボディに、厳つい顔、シャツではなく、なぜかタンクトップという服装の男性


 ・・・担任の大橋だ。


 「・・・すいません、寝坊です・・・」


 「寝坊だと!?早くに寝ないからそんなことになるのだ!寝る前はゲームやテレビ禁止!!

  液晶画面は寝る前に見ると、眠れない元だ!わかったな!」


 説教の中に、さりげなく豆知識を入れてくるのが大橋流の叱り方。


 陽麻里はもう一度謝ると、席に着いた。


 「では!気を取り直して、今日の予定を・・・」


 相変わらずな大声を聞きながら、陽麻里は密かにムカついていた。


 (ユーリのやつ、あたしにだけ謝らせといて、自分は耳をふさいでるなんてっ・・・)


 理不尽な怒りである。そもそも、遅刻したのは陽麻里のせいなのだが、本人はまったく気づいていない ようだ。


 「ひまり、一時間目、体育だから、体育館行こう」


 気づけば、悠里が目の前に。


 「あ、そう・・・分かった、すぐ用意する」


 体操服の入った袋を片手に持ち、悠里と教室を出ようとしたところに


 「ねぇねぇ、陽麻里と悠里って付き合ってんの~?」


 後ろから声がかかった。振り返るとそこにはクラスメイトの女子数人。


 全員目をキラキラさせて興味津々に聞いてくる。


 「それ、ずっと気になってたぁ~!どうなの、付き合ってんの?」


 「いつも一緒に居るもんねぇ~」


 詰め寄る女子たちに悠里がたじろぐ。


 「え、えっと・・・」


 陽麻里に“助けて”と、目で訴えかけるが、陽麻里無視。だって、滅多に動揺しない悠里がたじろぐな


 んて、おもしろすぎるじゃん!心の中でほくそ笑む陽麻里。


 その間にも女子たちの質問はどんどんエスカレートしていき、


 「初チューいつ?っていうか、手はつないだの?」


 「どっちから告白したの?私の予想は陽麻里なんだけど!」


 完全に陽麻里と悠里が『そんな関係』になっているので、さすがに陽麻里も口を挟まざるを得ない状況

 

 に。


 「あんたらねぇ~・・・なに勝手につきあってることにしてんの。あたしとユーリは付き合って


  ませーん」


 「えぇ~、そんな事言って本当は付き合ってんじゃないの?」


 じとっとした目を向ける女子たち。


 そこで陽麻里は奥の手を使うことにした。


 「だいたい、あたしには好きな人いるし。ユーリはいるか知らないけど・・・」


 そのとたん。彼女たちから『キャーっ』と歓声があがった。


 「ほんと!?誰!誰!?」


 ・・・ますますヒートアップしてしまった。


 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


 「あぁ~疲れた・・・」


 あの後10分ほど彼女たちの追及にあい、なんとか逃げ出すも『遅刻だ』と体育教師にこってり


 しぼられ、心身ともにくたくたである。


 隣で歩いている悠里もこころなしか目に光が宿っていない。


 「暑いー・・・ユーリ、放課後アイス買いに行こー・・・」


 汗と湿気を多く含んだ空気を身にまとい、陽麻里は声をかけた。しかし、返事がない。


 見ると、彼は下を向いて歩いている。


 「・・・?ユーリ?」


 怪訝な顔で彼を覗き込んだ陽麻里は、


 どくん、と心臓が大きく脈打つのを感じた。


 じわりと手のひらに汗が浮かぶ。


 何も映っていない瞳で静かに考え込む姿は。


 まるで、あの時みた


 「ひまり」


 不意に、悠里が立ち止まる。陽麻里はぶんぶん、と頭を2度3度振ると、彼を見上げた。


 その顔はもう、無表情ではない。しかし、かわりに、悲しげに瞳が歪んでいる。


「さっき、ひまりは好きな人いるって言ったけど、それって―――――――」


 ピロピロリン♪


 リリリリリッ♪


 同時に電子音が鳴った。慌てて携帯を見るとそこには


 『シャドウ』


 と記された、青い文字が浮かびあがっていた。


 


 


 


 


 

                      


 


 誤字脱字等、ありましたら教えてほしいです!


 次は、ようやく二人のお仕事に迫る!?


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