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95:30年代だろうが60年代だろうが関係ねえ!

「どうだ?レースの方は。」


 平志がプレアデスに余裕の表情で問いかける。


「さあな。全く分からない。」

「分からないってのはどういうことだ?」

「お前だって見ただろう?地元の人たちの運転センスと地元だからこその完璧なライン取りを。」

「んなもんコピーすればどうとでもなるだろうに。」

「そういうことは……って。そうか。」

「?」


 WRCは基本タイムアタック制か。

 そういう駆け引きはしないんだろうな。


「とにかく。地元のドライバーってのはたとえ性能が低くても格上とやり合えることだってある。」

「ま。だろうな。」

「余裕って感じだな。」

「そりゃあな。足回りの性能もエンジン出力も違うしな。」

「どうだか。そういう慢心が足をすくわれるんだ。」

「……慢心か。」

「ああ。相手が異世界人で最近車を知ったばかりの奴らだからって甘く見ないことだ。」


 俺には、一級の技術力を持った化け物集団だとつくづく思い知らされるよ。

 俺たちの技術は先人が築いたものを借り、その技術を完璧にマスターし、それを自分なりにアレンジする。

 それが俺達だ。

 それと違って異世界人(かれら)はどうだ。

 そういう情報なしにゼロからそういう技術を見つけ出し、ここのコースに合わせた走法を駆使する。

 俺達から見れば信じられないような変則的な走り方。

 その車ともはや一体となっているからこそ成し遂げられる曲芸。

 お前はそれをコピーできるというのか?

 できたとして、彼らと同じ速度域で曲がれるのか?

 俺にはとてもじゃないができるとは思えないな。


「ま!やるだけやってみようや!」

「ああ。そうだな!」


 あれからインプレッサも仕様が結構変わった。

 今まで搭載していたシーケンシャルツインターボをバランス型のシングルターボに抑える。

 ターボ分の重量は稼げる。

 ま。結局やる事は変わらないか。

 勝つ!それのみ。


「やってやろうじゃないか。な。インプ。」

〘Let’s show everyone what we can do!〙


 まずは各車コースを1周してそのタイムでスタート順位が決められる。

 なんか初代グ〇ンツーリ〇モの予選方式みたいだな。

 あれ、一番性能が高いターボ積むと低回転域のトルクが終わるんだよな。

 まともに使えないレベルの。


「予選かぁ……何番目かなぁ?」


 予選を行う順番を記された紙を掲示板に張られ、俺はそれを見て見る。


「………俺、トップバッターなのかよぉぉぉぉぉぉ!!」


 マジで参考にできねえ……


「……行くかあ。」


 俺はインプレッサに乗り込み、スタートラインに止める。

 信号機はまだ赤く、赤いライトが次第に消えていく。


 そして。


 信号機は全て青一色に染められる。


「行くぞ!」

〘Let’s go!〙


 インプレッサは全力で地面を蹴り上げ一瞬白煙を上げて加速していくのだった。



 インプレッサはまるで1本のラインをなぞるように走っていく。

 無駄がなく、それでいてスムーズに、一定の余裕を残した走り。

 それは地元レーサーからすれば、あまりに“つまらない”走りだった。

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