94:行ったれGC8ォ!
あれから二日後。
「どうなったんだ?GC8。」
「ああ。結構変えた。」
「見るからに、だよな。」
GC8の走りはガラリと変わっていた。
モナコのコースに最適化されていたのだ。
「絶好調だぜ!」
「俺にはそんな大胆に変えられねえよ……」
「だろうな。お前、セッティング苦手だし。」
「そうそう。こんな感じだからこんな感じに変えてほしいは言えても具体的にどうするかは分からねえんだよな。」
「だからそういうのはお前に任せてる。」
「やめてほしいもんだ。」
俺たちは雑談を交わしていた。
そこに。
「やァ!キミたちがザリアとラズヴィーチャから来たドライバーたちだネ!」
見知らぬ男が彼らの目の前にはいた。
「すまないすまない。名乗り忘れていたネ。ボクの名前はアルバ。アルバ・ブリッランテ。」
「アルちゃは何やってたんだ?」
「アルちゃん!初めて呼ばれたネ!」
「そりゃあよかった。」
「アルさんは何でここに?」
「キミたちに会いに来たんだヨ!」
なんでだろうかと二人は顔を見合わせた。
その答えはすぐアルバの口から放たれる。
「ボクもレースに出るんだヨ!」
「へぇ~。ちなみに車種は?」
「チューンした911の901型だヨ!」
「ポルシェかぁ……。」
「クセはすごいけど速いんだヨ!」
「馬力はどんくらい出てるんだ?」
「エンジンは370馬力になってるヨ!」
「370馬力かぁ……」
正直370馬力の出力をあの車体が受け止めきれるとは思えないんだが。
もしそれを振り回せるのだとすれば相当な脅威になるだろうな。
旧車特有の軽量さはデカい武器になる。
そして決めつけだが、おそらく地元。
名前がイタリア語だし。
モナコってイタリアだし。
「アルちゃんって地元なのか?」
「そうさだヨ!ボクはこのモンテカルロの地元レーサーだヨ!」
「おぉ~」
「僕以外にもたくさんいるんだけどネ……?」
「アルバ。練習走行にこないの?」
「もちろん行くさマイハニー!」
「貴女は?」
一平ちゃん、突っ込んじゃう?この尊い空間でそれ突っ込んじゃう?
「私はジュリア。ジュリア・ルネッタ。」
「まさか車種は……」
「私と同じ名前のジュリアよ。」
「いい車ですよね。ジュリア。」
一平ちゃん、口説いてる?
「貴方、ジュリアの良さがわかるの!?」
「車は皆いいものです。」
「貴方とはいい友人になれそうだわ。」
「奇遇ですね。俺もです。」
「けど、今から私たち、走行会があるからすぐあっちに行かないと。」
「またどこかで。」
「ええ!またどこかで。」
するとジュリアはアルバを引きづりながらコースへと歩いていくのだった。
「痛い痛い痛い!お尻が焼けちゃうよマイハニー!」
「シャキッと立ちなさい!」
ピシッと立ち上がり、行進するかのようにアルバが歩いていくのだった。
「なんか……クセ凄いな。」
「全くだ。」
「にしても奥さんかぁ……憧れるなぁ。」
「お前にできるのか?」
「うるさいやい!」
そして、時間はあっという間に過ぎてゆき、ついにレース当日になってしまうのだった。




