92:市街地コースと言えば?
「来たぞモナコぉぉぉ!」
「元気ダナー。」
「そりゃあF1で有名なんだからね仕方ないね。」
「あの狭苦しいコース、もう走りたくねーヨ。」
ここはモナコ。モンテカルロ。
F1がガンガン走ってた市街地サーキットだ。
異世界だからF1走ってないけども。
モナコでアイルトン・セナが追い抜きしてたのマジでどうなってんのか意味わからん。
とんでもねぇよ……
あ。ちなみにたわしちゃんとレイサとプリンちゃんはプレオに乗ってくるらしい。
「ちょっと気になるよな。」
「なら走ってくればいい。とてもじゃないがレースをする気にはなれないと思うぞ。」
「どうかな。」
俺はGC8のEJ20を動かし、ゆっくりと前へ進みだす。
中島の咆哮を轟かせてやらぁ!
あ。スバルか。
ちがったわ。富士重工業だったわ。
「ここがモナコかぁ……」
アイルトン・セナがウィリアムズを抑えて優勝したあの伝説のサーキット……と同じ場所ではないが来れただけでもチョーうれしい。
「……なんか。」
コーナーキッツいんだけど。
それに路幅が想像より狭いんだが。
「こりゃあ今まで見たいな走り方は通用しねえな。」
ドリフトで突っ走るのもありと言えばありなんだが、前市街地を走ったのはプレオ。インプじゃねぇ。
ホイールベースの長さが違うのもデカい。
軽自動車とスポーツカーのホイールベースの差は歴然としている。
旋回半径だってそれほど広くはない。
そういう走行ができる設計ではあるが、俺はそんな走りができるセッティングにしていない。
「セッティング変更を大急ぎでしないといけないか。」
モナコ用に足回りを弄らないとな。
ベースはオンロード仕様のWRCセッティングをベースにしてこのコースに合わせていくしかないよな。
技術ではどうやっても一平ちゃんには勝てない。
なら俺にできるのは相棒(GC8)が全力を出せるように整えてやるだけだ。
「全力で一平ちゃんを叩き潰すぞ。相棒。」
〘Of course! I won’t lose to a Lancer Evo!〙
俺達は一平ちゃんのもとへ戻っていくのだった。
「どうだった?」
「すげえむずい。」
「だろうな。」
「だからセッティング弄るわ。」
「あー。」
「お前はやらないのか?」
「セッティングはそんな上手くできないんだよ。職人じゃないんだし。」
「そういうもんか?」
「そういうもんだ。」
こういうときにWRC車で良かったって思うぜ。
スープラとかだったら苦しすぎただろうしな。
「ほら、あと5日だぞ。」
「へいへい。」
すでに太陽は地平線に飲み込まれようとしていた。
沈みかけの太陽が放つオレンジ色の光が雲を照らし、雲をオレンジ色に染め上げていた。
「モナコの夕焼け、いいじゃないか。」
「黄昏だな。」
「そうだな。」
沈みゆく日を眺めながら二人はその幻想的な時間を過ごす。
なんだか、世界がまるっきり変わってしまったようだった。
美しくも儚く、それでいていつもとは何か違う違和感。
しかしその違和感はモンテカルロ特有のものだろうと二人は勘違いしていた。
実際は全く違うのだが。
「綺麗だな。」
「世界が変わっちまったみたいだ。」
「朝と夜は違うもんだろう?」
「それもそうだな。」




