90:救出完了
「そーら、敵がぞろぞろとお出ましだぞ~!」
「分かってるわ。」
たわしちゃんは右手をかざし、魔力を込める。
するとたわしちゃんの右手には青白い光が収束していく。
「衝撃弾。」
たわしちゃんが小さくつぶやくと、その青白い光が高速で射出され、ぞろぞろと追いかけてくる敵を一瞬で吹き飛ばす。
吹き飛ばすとは言っても衝撃波を出しているのみのため、深刻なダメージは入っていないのだが。
「敵、無力化したわよ。」
「助かったよ。」
俺はそれを確認するとアクセルを思い切り吹かし、軍と加速していく。
タコメーターも8000回転を指し示していた。
エンジンはもちろんけたたましく吠えあがる。
「CB、もうそろそろだ!」
出口であろう場所から光がこぼれていた。
それを確認した彼らはなお一層加速するのだった。
「プレアデスさん、大丈夫でしょうか。」
「大丈夫。あいつは必ず戻ってきます。」
貴族ママが中性天然水にやさしく告げる。
その、直後のことだった。
オォォォォォォォ……!!
エンジン音が反響して彼らの耳に届き始める。
「この音って……!」
「来たわね。」
突入した出入口からバイクが2台飛び出す。
飛び出したバイクの後ろには子どもが一人ずつ乗っていた。
そして、それこそが。
「ルーク!リーシャ!」
「連れてきたぜ。」
「プレアデス……!」
「まだだ。まだ子供が中に居る。」
「え?」
「あいつら、他にも子供を監禁してる。」
「そうなのね……。けどね。」
「(。´・ω・)ん?」
「ありがとう。」
貴族ママは俺の両手をそっと握る。
「ありがとう……ありがとう……!」
「どういたしまして。」
「先遣隊隊長殿。」
「(。´・ω・)ん?」
「中の地図とその子供がいる場所は分かるか?」
「もちろん。」
「それじゃあ、これに書いてくれ。」
ソーメン副団長は画用紙とペンを渡し、それを受け取った俺は紙にペンを走らせ、頭に叩き込んだその地図を紙に起こす。
「なるほど。こんな感じか。助かる。後は俺たちに任せてくれ。」
「だが……」
「お前たちは十分に頑張ってくれた。ありがとう。」
「俺達が先導する。それでもいいか?」
「お前は速すぎる。大丈夫、地図さえあればどうとでもなる。」
「そうか。」
「部隊、前へ!」
すると、ぞろぞろと兵士たちが入っていくのだった。
そして。
ゾック賊の砦はものの数時間で陥落してしまった。
なんともあっけなかった。
仕方ない。ちょっとした地方の部隊ではなく国の首都で訓練と研鑽を積んだ騎士団が今回動員されたのだ。
練度が違う。
そうして、ゾック賊の騒動は数週間の調査を経て静かに収束していくのだった。
「ゾック賊についてある程度分かったわ。」
「お。なんだったんだ?」
「どうやら、ゾック賊はもっと大きい組織の幹部組織らしいわ。」
「幹部組織……か。」
まさか俺達が相手取ってた組織はそれほどデカいのか。
俺は、よくそんな相手と戦って生き残れたもんだとしみじみと思わされるのだった。




