82:ピッキング
俺達はさっそく開かずの間へと向かった。
「開けられるかは分からん。ただ、やる価値くらいはあると思う。」
「お願いするわ。そもそもこの錠は東の国から輸入したものだから。構造も何もわからないのよ。」
中国みたいなところか?
ま。あんまり気にしない方がいいか。
「ま。かなり時間がかかるだろうからのんびりしといてくれ。」
「そういうわけにもいかないわ。あの二人はそれどころじゃないかもしれない。なのに私だけが楽をするのは私が私を許せないわ。」
「……そうかい。」
こうなりゃなんとかして鍵を開けねぇとな。
素人がやるにはいささか難易度が高すぎる気もするんだがな。
ま、多少なりとも構造を分かってる俺がやるのは当たり前か。
俺はラジオペンチでクリップを曲げ、簡易的なピッキングツールにする。
「こんなので本当にうまくいくかは分からんが、やるっきゃねぇよな。」
カチャカチャ……
クリップを鍵穴に突っ込み、手探りで鍵が開かないかと探す。
始めはピンがしっかりとまっていることすらわからなかった。
南京錠の開け方の感覚を掴んでそれを解錠するまで数時間かかった。
「あ……開いたぁッ……!」
「本当に!?」
「ああ。ほら、錠だ。」
俺は貴族ママの手のひらの上に南京錠をしっかり手渡す。
「カギ閉めないでくれよ?」
「もちろん。」
また閉められたら俺は泣くぞ。
それはそうと貴族ママはドアノブを捻り、ドアはキィィ……と軋むような音を立ててその部屋は開かれた。
「お。机の上になんかあるな。」
その部屋はいかにもシンプルな部屋だった。
黒板にペン、そして細長いテーブルを複数並べて一つの巨大なテーブルにしており、壁には丸められた巨大な神が立てかけてあった。
そんな机の上にあるちょっとした手帳のようなものを俺は真っ先に調べる。
普通、こういうものに大ヒントはあるもんだ。
「なになに?」
なんてこった!こりゃあ……
俺は絶句した。それにつられてかぞろぞろと人が集まる。
「どうしたの?」
「……行方不明の原因の一つが分かったんだよ。」
「本当!?」
貴族ママは喜んだ。
ただ、それは今、俺にとって心を抉るように苦しい。
「……賊を負ってこの街の本拠地らしきところに行くと書いてある。それで、終わっている。」
「その本拠地らしきところってどこに?」
「ちょっと話は変わるが賊の名前も見つけてる。そうやらゾック賊という組織らしい。一体どうやってこんな情報見つけたんだまったく。」
「行きましょう。」
「待て待て待て。無策で突っ込むのは馬鹿の所業だ。何か考えたのか?双じゃないととてもじゃないが行かせるわけにはいかないな。」
「……そうね。賊の掃討として国にも動いてもらおうかしら。」
「貴族ママ!?………あ。そういや貴族ママ、伯爵だったわ。」
本当に国を動かすのか?
そんなこと、通じるとはとてもではないが……
「分かった。賊の掃討、及びローリンソン兄妹の救出を同時に行う。」
国王様。あっさり承諾……って。
いけるんかーい!




