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74:洗脳解除

 俺達はGC8を振り回しながら街の中心部へと向かっていた。


「すごい車を振るわねぇ……!」

「主様、ドリフトですね!」

「向きを変えるだけならこれが楽だしな。」

〘We must never let nuclear weapons be made!〙


「なんなのだ……!奴のあの曲がり方は!」

「我々の物とは比べ物にならない曲がり方をする……!」

「一体どんな魔法を使えばあんな半スピンの旋回ができる……!」

「何が違う、何が違うのだ……!」

「……全て、何もかも、あらゆる性能の次元が違いすぎる……!」


 後ろを追いかける兵士たちはプレアデスのインプレッサのその旋回を見て追いつくことなどできないと確信しながらも追いかける。

 インプレッサの旋回する直前にブレーキをかける際に出来るブレーキランプがまるで2本のインプレッサの尾のように感じられ、その尾を必死に追いかける。それしか彼らには残されてはいないのだ。


「目標まであと少しだ!」

「噴水の前で止めて頂戴!」

「モチのロンの助次郎だ!」

「え。何ですか主様そr」

「最早しっくりくるわね、それ!」


 インプレッサはついに中央まで到着した。


「GC8、カッコつけるぞ!」

〘Of course! I’ll make a cool stop!〙


 俺はエンジンを軽く吹かすと、サイドブレーキを引いてGC8をくるりと回転させ、運転席を見せつける形で追手から見て斜めに止まっているように見せる。


「止まった……?」

「何故……?」


 追っても止まった意図が全く分からず、固まってしまっていた。

 そんな中、インプレッサの助手席のドアが開き、魔女っ娘たわしちゃんとレイサが出てくる。


「アンタ達、とくとご覧なさい。大魔女ヘクセの魔法、洗脳解除魔法を。」


 たわしちゃんは噴水に上り、水の上を歩き、軽く飛び、噴水のてっぺんで立ち、笛を高々と掲げ、その周りに光り輝く魔力が集まり、一つの光球となった。

 その光球はみるみると大きくなり、たわしちゃんの身長と同じほどの直径の光球に成長する。


「打ち上がれ。花火!」


 たわしちゃんが叫ぶと同時にその光球は光の尾を引きながら高速でななめに上昇する。

 それと同時に始めの笛がひゅぅぅぅぅぅと甲高い音を鳴らす。

 皆はその光景に見惚れてしまっていた。

 もはや敵味方関係なく、ただただその美しさに見惚れた。

 打ち上がっている最中の花火であったとしても。


 ついに地平線から太陽が顔を覗き始める。


「暗黒に包まれたこの国の夜明けだ。」


 プレアデスが窓を開け、インプレッサ窓縁に腕を掛け、その夜明けと花火を眺めながら呟く。


「花火で始まったこの大洗脳は花火によってその洗脳を解除する!」


 たわしちゃんがパチンと指を鳴らしたその直後。

 その上空で轟音が鳴り響く。


 花火が爆発し、美しい光の筋が空にぱっと広がった。

 30号の花火をゆうに超えるほどの巨大な花火が、街を包んでいく。

 その花火は見た物の洗脳を解き、見たものが別の者に触れることによって連鎖的に洗脳を解除していく。

 更に、その硝煙を少しでも嗅いだものですら解除する。

 確実にこの洗脳を解除する究極魔法であった。

 美しく、優雅に、そして圧倒的な勝利を収めた。

 ついに、洗脳を完全に解除したのだ。


 これで残すはただ一つ。


「核の製造を止めるだけだな。」


 プレアデスはそう呟くと彼女らに車内に戻るように語りかけるのだった。

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