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71:虫の知らせならぬ貴族ママの知らせ。

「プレアデス!」


 新品のインプレッサのタイヤを絶賛はめ込み中の俺のもとに貴族ママが大慌てで飛び込んできた。


「(。´・ω・)ん?どったん?」

「私の方からも色々と情報を集めたのよ。それで分かったことがあるわ。」

「なるほど。一平ちゃん!」

「なんだよ。」

「そっちの作業はあらかた終わったろ?」

「まぁな。」

「それじゃあみんなをここに呼んでくれ。タイヤ押さえなくちゃならんからな。」

「分かったよ。」


 面倒くさそうにここから出ていく平志を尻目に俺はタイヤと対面しながら貴族ママに聞く。


「それで?何があったんだ。貴族ママがこんなに焦るなんてずいぶん珍しいじゃないか。」

「プレアデス、気にならない?」

「何が?」

「ラズヴィーチャはここ数年でいきなり技術力が上がったのよ?」

「らしいな。」

「その理由が分かったのよ。」

「ほう。確か5年前って聞いたな。」

「正確に言えば4年と363日ね。」

「刻むなぁ……」


 俺はナットを手で軽く締めこむと、クロスレンチで少しづつ締めこむ。

 この時、1個飛ばしで締めこむといいぞ!

 均一に締めこむことでホイールの負担が減るのがミソだ!

 穴が4つだったら対角線上にするといい。


 ピコン! ピシャピシャピシャピシャ~


「トルクレンチ~」


 トルクレンチを空高く掲げる。


「……なにそれ。」

「………青い狸を知らないなんて……。」


 悲しい想いをぐっとこらえてトルクレンチで締める。

 カチ。カチ。カチ。カチ。カチ。


「連れてきたぞ。」

「丁度俺もあらかた作業が終わったところだ。」

「どうしたんですか?ルーシャルさん。」

「リーラ様。緊急事態です。実は……」


 貴族ママの告げた内容に俺たちは絶句した。

 貴族ママの言ったことを要約すればこうだ。


 もともとザリア魔法王国ではいきなり自動車を創り出したラズヴィーチャ連邦王国を不審に思い、スパイを送り込んでその理由を調べていたそうだ。

 その結果判明したのは、いきなり自動車生産技術を手に入れたのは特殊な魔法によるものだと判明した。

 それを使用するためには膨大な魔力が必要であり、一瞬でかき集められるものでもなかった。

 前回この魔法を使用した際ですら8年かかったそうだ。

 その為魔力を集める方法を工夫し、国の各地、それも人の多い所に集中的に人間から自然と出る魔力を吸収する装置を各地に置いたようだ。

 ちなみに日本人に分かりやすく言うなら汗みたいなもんらしい。


 ……そして、その魔力の必要量まで収集量が到達するまで計算上だと前回の魔法発動から丁度5年らしい。

 つまり……だ。


「期限は明後日まで。」


 その言葉に全員が酷く驚き、絶句した。

 中には頭を抱える者までいた。


「……よし。今から行こう。」

「は?」


 全員が呆気にとられたようだった。

 今から行く。じゃなければ猶予はもうない。


「せめて明日まで……」


 たわしちゃんが待てと静止をかけるが知ったこっちゃない。


「移動中に仕上げてくれ。さっさと移動する方が優先だ。相手がもし使用範囲内の全てを消し去り、全ての命を奪い去るような兵器を願った場合……」

「?」

「そんなことが可能な兵器なんてあるか……?」


 一平ちゃんが少し悩む。


「んなことができる兵器なんて一個しかないだろ。核だ。」

「あ……」

「相手が核を持ってしまうと俺たちはどうしようもないんだ。」


 プレアデスがそれを告げた途端、いきなりぎょっとするほど辺りは静まり返り、そのうえその空間は重苦しく、張りつめたような空気が流れるのだった。

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