67:リアタイヤの溝がスリップサインを通り越してスリックタイヤになってるんだけど。
2台はラズヴィーチャ連邦王国を飛び出した後、大急ぎでザイン王国へと向かった。
「にしてもまさか生き残れるなんてな。思ってもいなかったよ。」
プレアデスは感慨深く呟いた。
既にタイヤの感触はずいぶんと違う。
タイヤはとっくの昔に限界を迎えてしまっていたのだ。
「一応帰るまでは持つだろうが。すごいハードな事やってたんだよな。360。」
360のエンジン音はすっかり静かになっていた。
今なら車がなんて言っているのかがわかる気がする。
〘「疲れちゃったなぁ~」〙
まさにドンピシャ。クルマというのは、意志を持っている。
これはプレアデスや平志も持っている確固たる信念だった。
だからこそクルマも人間と同じように丁寧に扱わなければならないと。
360がガレージにつき、インプレッサがそれを出迎えた。
「ただいまだな。インプレッサ。」
インプレッサは返事をしない。
当たり前だ。所詮は機械。言葉はしゃべらない。
「帰ってきたぜ。ランエボ。」
〘おかえりだな。よく帰ってきた。〙
皆はこの場に帰ってきたことを喜んで分かち合っていた。
「……さてと。」
プレアデスはそれを眺め、ふと思い出したように立ち上がり、倉庫へ向かっていった。
「本当。この倉庫は不思議だ。何が何だかさっぱりだよ。」
そうぼやきながらプレアデスはスバル360をジャッキアップさせ、ウマに載せた。
「よく頑張ったな。360。」
タイヤを軽く撫で、インパクトドライバーでホイールナットを次々と外していく。
「よし!とりあえず全部外せたなぁ。……って。」
すごいリアタイヤ削れてるー!
元々普通のタイヤなのにスリックタイヤになっちまってるよおい!
ふろんともスリップサイン出てるし!
「これじゃあタイヤの感触変わっててもおかしくねぇよ……」
雨降ってなくてよかったぁぁぁぁ!!
「下手したらまたハイドロプレーニングで死んでたぞ……」
ドリフトしまくるのも考え物なのかもしれないなぁ。
「マ〇カみたいなドリフトしまくってもすり減らないタイヤが欲しい……!」
とりあえずタイヤを全部交換してと。
念のためブレーキパッドも交換。
……にしても換えた方がいいかもしれん。
「ブレーキ、ディスクにした方がいいよな。これ。」
そんなことできる技術環境が整ってないけど。
ドラムブレーキをディスクに改修するならまず交換するブレーキユニットとホイールと配線と……って、無理かもしれねぇ。
「エンジンもヘタってるだろうな。」
エンジンルームからまずエンジンオイルを抜き、ベルト類をごっそり交換する。
「よし。サクッとだな。」
「こら、プレーン。」
「(。´・ω・)ん?たわしちゃんか。」
「あんた、またそんなことを……」
「これは俺が楽しいんだよ。」
「仲間ともう少し話でも……」
「大丈夫だよヘクセさん。」
「私たちから来ますから。」
皆がプレアデスのもとへ集まってくる。
「へ?」
なんで集まってきてんの……?
その刹那、インプレッサのヘッドライトがいきなり光るのだった……。




