66:強行突破じゃあああああ!
「ああ。煙幕だ。」
「発煙筒でも使うのか?というかそんなに持続しないだろ。」
「ああ。発煙筒ももちろん使うがもっと簡単なものがある。」
プレアデスはスバル360をコンコンと軽くたたく。
「まさか……!?」
「ああ。こいつのドリフトの発煙だ。ドリフトの発煙は相当なものだ。このことも考えてこの360にはかなりハードなタイヤを履かせてある。」
「そういう問題じゃあねぇんだよ!」
平志はプレアデスを睨み付けた。
「正直に言うがお前、自分を犠牲にしようとしていないか?!」
「・・・。」
「はっきり言え!」
「……ああ。その通りだ。」
「お前が抜けちまったら意味ねぇんだよ。誰があのクルマを動かせる?!」
「・・・そうだな。俺しか、居ないんだよな。あいつ……GC8に寄り添えるのは。」
「なら決まったな?」
「ああ。是が非でもここに居る全員で生き残る。」
強張ったプレアデスの顔がほぐれていく。
口角がニヤリと上がり、いつものプレアデスの雰囲気を纏う。
「さぁて。サクッとここからおさらばするぞ!」
プレアデスが360に乗り込み、ロータリーを吹かす。
「門の前で何やろうかなぁ……」
ここは定番の8の字?定常円?それとも不規則に?バーンアウト?
「……流石にバーンアウトは無理か。」
装置足んないし。
……とりあえず、行くかぁ!
アクセルを踏みぬき、そのトラクションが全てリアにかかるとフロントタイヤがふわりと浮く。
「ウイリーかぁ!……そういやスーパーファミコンのSDXにもそんな名前のキャラいたなぁ……!」
さてさて。そんなこと考えてたら到着したぞぉ!
「なんだあれは!」
「まさかあれが例の……!」
「決してこの国から出させるな!」
「だがそういうわけにもいかねぇんだよ!」
真正面には一人の兵士が槍を構えていた。
「まずは……定常円旋回だぁ!」
兵士を中心としてドリフトさせながら回転する。
リアタイヤは高速で空転し、白煙を上げ始める。
その白煙は次第に濃くなり、すぐ先が見えなくなり始める。
「今しかない!」
ビートルが白煙の中に飛び込み、平志の持ち前の空間認識能力で出口に飛び込む。
「シルト!」
「もちろん。」
飛び込む直前にシルトは発煙筒を通路に投げ込む。
「これは……!」
気づいた兵士が急いで水を一杯に汲んだバケツを用意し、発煙筒にかけた。
しかし、消火しない。
「嘘だろ!?」
兵士は消えない発煙筒に戸惑ってしまった。
どんな者であっても発火しているのであれば水をかければ消化するものだからだ。
「残念だったな。発煙筒はたとえ水バケツに入れても火が消えることはない!」
平志はニヤリと笑みを浮かべながらその通路に突入する。
「クソッかくなるうえは……!」
兵士は自らがビートルの目の前に立とうとバケツを投げ捨てる。
その直後、ビートルからけたたましい音が鳴り響く。
そう、クラクションだ。
いきなり鳴り響いた音に兵士は思わず腰が抜けた。
「そろそろ潮時だな。」
360も定常円から立ち上がり、発煙筒のもとへ向かっていく。
2台は無事、ラズヴィーチャ連邦から脱出を成功させるのであった。




