5:王都。真夜中に失礼しまーす。
あれから深夜についに王都まで到着した。
「着きましたよーって。皆寝てる……。」
とりあえず門番のもとへ向かってみる。
「止まれ!」
ですよねー。
「何者だ!」
俺は窓を開け、門番と話をすることにした。
「セリック村から帰ってきたところなんですが。」
「ということはルーシャル様の?」
分からん……!貴族ママ、名前なんだ!?
ナビに書いてあったから村の名前は分かったが……!
「隣を見ればわかるかと。」
貴族ママはすやすやと寝ていた。
「これは失礼しました!」
「すみません。どこに行けばいいのでしょう?」
「魔導車か。それなら、城の魔導車の駐車場に停めておけばいい。ルーシャル様は城へ招集をされている。その為、城に泊まることができる。」
「なるほど。それでは俺は車中泊しておきますね。」
「ああ。そうしておけ。」
そうして窓を閉めると、軽くアクセルを踏み込み、時速8キロほどで進んでいったのだった。
「相変わらず魔導車は遅い。」
門番は思わずそう呟くのだった。
「ヘイナビ。駐車場を教えて。」
『OK.この先、200メートル先、左方向です。その先右方向。その先、400メートル道なりです。その先、目的地周辺です。お疲れさまでした。ポォン』
「いやいや!?何が起こった!?グー〇ル先生のボイスですぐ終えないで!?」
その後、なんとか駐車場までたどり着いたのであった。
「ずいぶんと静かだったな。商店もほとんど終わってたしな。」
きれいにインプレッサを駐車場に収めると貴族ママを揺する。
「貴族ママ。起きて。着いたよ。」
「うーん……?」
目をこすりながらあくびをして軽い伸びをしながら貴族ママが起きる。
「どれくらい寝てたかしら。」
「数時間かな。」
「……待って。出発からどれくらいでついた?」
「20時間。」
「20時間!?」
「お城へ行けば?俺はここで車中泊するから。」
「そういうわけにもいかないわ。貴方は私の命の恩人。それに私の従者ということにすればこの城に滞在もできる。」
「そこまでしなくていいよ。それじゃあ子供たちを連れて行ってきな。」
「本当に助かったわ。」
「どういたしまして。」
貴族ママは子供二人を揺すって起こした。
「うーん……」
「あと5分……」
「王都に着いたのよ。」
「もうついたの!」
「やったぁ!」
二人は喜びながらインプレッサから降りて行った。
仕方ないか。ぶっ飛ばしてたし。
3人が向かったのを見届けると俺はバケットシートの中で首をこくりと落とし、眠るのであった。
次の日。
コンコン。
窓を叩く音。
ふと隣を見るとあらやだ。イケメン騎士。
「陛下がお呼びだ。」
なんでぇ?
ということで。なぜか国王陛下の前に呼ばれてしまいました。
どうも。スバル愛好家。愛車、インプレッサWRX STIバージョンⅥに乗っている人です。
なんか国王陛下に呼ばれました。
インプレッサとられそうで怖いなぁ……
ちなみに勝手に奪われることはないはず。
だって鍵取ったし。鍵かけたし。
それでもどうも中世の人間って傲慢なイメージがすごいんだよな。
自分がトップだと思って民から根こそぎ奪い取る。
そういう固定概念がすごい。
よくないとは思うよ?そりゃあ俺だってそんな概念捨て去りたいさ。
だから国王と対話してそこをはっきりさせたい。
この国は俺のインプレッサを奪い取る国なのかどうなのかを。