62:潜入
彼らが全員出て行ったことを確認した平志たちはすぐさま城内に入り込み、入り口前に停車させる。
「降りるぞ。」
それに全員が頷き、全員が降車するとヘクセはビートルに魔法をかけ、その存在を隠蔽する。
「これで私がもう一度魔法をかけない限り現れないわ。」
「助かる。」
彼らは城へ入っていく。
「……というかなんで潜入してるの?目的は何?」
「それ、私も気になってます!」
「そういえば聞いてないな。」
「……プレアデスに整備中聞いててな。」
「俺はあいつに過去のことも話しておいたんだ。そしたらあいつ、なんて言ったと思う?」
皆は首をかしげる。
「あいつなぁ……?」
(やっぱり潜入した方がいいか。)
(潜入?)
(ああ。そりゃあなんかある。証拠が確実にある。花火のデータは城にあるんだろ?)
(……ああ。)
(ならあとは簡単じゃねぇか。それがどこが仕組んだのか、だれがそれを始めようと提案したか、業者、裏の組織。そこら辺のデータがある筈だ。流石に裏組織はないかもしれんが。)
(データ……!)
(なんだ考えなかったのか?)
(……ああ。)
(肝心なことが抜けてるよなお前。)
(ただ、業者から裏組織は割り出せる。……あと姫様返してこい。このままだと俺達、姫様攫った誘拐犯だぞ。)
(……そうだな。)
「つまり書物庫にいけばいいんだな?」
「いえ。きっと書物庫にはありません。きっと決算書や行事の資料がある資料庫です。」
「資料庫と言えばあの事件以来妙に警備が厚くなってるあそこか?」
「なんだと?」
「なんでそれを私たちに言わなかったの?!」
「言ったが、二人とも聞き流してたじゃないか。」
「いつ言った?」
「勉強中に。」
「そりゃ聞き流すわよ……」
全員が呆れながら資料庫へと向かう。
到着するとヘクセが小さくつぶやく。
「かなり警備が分厚いわね。」
「私が見た時より警備がきつくなってる。」
かなり図体のある男たちが扉の前に二人、その通路全体を見渡す者が二人の4人体制であった。
「どうする?」
「私でも皆を守り抜きながらだと一人倒すのが精一杯。」
「なら私も戦うわ。大丈夫。援護は得意だから。」
ヘクセが虚空から杖を取り出す。
「ねっ!」
「……わかった。行くよ!」
「もちろん!」
シルトが飛び出し、その後ろにヘクセが現れ、門番の動きを魔法で止める。
「何奴ッ!」
「残念だけど眠っていなさい。」
シルトは足で大男の頭を捕まえると地面へ叩きつけた。
それと同時にヘクセがもう一人の廊下放浪大男を重力魔法で壁に叩きつける。
しかし、二人はそれでも立ち上がって戦おうとする。
「それなら、死なない程度に無力化するわ。」
「それでは私が二人無力化します。ヘクセさんは門番二人を。」
「わかったわ。サクッと終わるから出来たら援護するわね。」
「わかりました。それでは行きますよ!」
「ええ。」
シルトに床にたたきつけられた男がよろめきながら立ち上がる。
正面にはニヤリと笑みを浮かべているシルト。
「ばッ……!?」
「今度こそ眠りなさい。」
シルトはその男の鳩尾を殴り、その大男は苦悶の表情を浮かべながら床に崩れ落ちた。
「やるわね。それじゃあ。サクッとね。」
ヘクセは二人の門番を操り、互いに互いの鳩尾を殴らせて二人を沈めた。
これが、伝説の魔女ヘクセ。
「後ろから接近してる。この動きからして振りかぶって殴るよ!下から回り込んで!」
「わかりました!」
普通は後ろというのが定石だろう。ただ、ヘクセはかつての戦闘経験から動きが予測できていた。
そしてそのアドバイスを存分に生かしてシルトは下から突き上げるように鳩尾を殴りつける。
「おぉ~。ナイスショット。」
そして、シルトが扉をギィィィと軋むような音を立てて戸を開け、彼らは資料室にそろりと入っていくのだった。




