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4:居場所とデチューン

アンフィニ祐です!

これをこっち(アンフィニ祐垢)でやったのは初めてなのでは?

一応さっさと要件言いますね。


今回の話には結構専門用語が入っているのであとがきで補足しておきました。

他にも気になる専門用語があれば教えてください。

出来たら追加します。

 あれから俺は母親の手回しでちょっとした小屋を借りることができた。

 家はどうしたのかって?

 今から建てるらしい。

 使わなくなった小屋の隣に家を建てるそうだが、その小屋がそれなりにデカい。

 前世の工場と同じくらいデカい。ここならある程度の家具さえ持ち込めれば俺としてはここで過ごせるのだが。


「インプレッサー。すまんな。ちょっとここで走るにはお前のパワーは有り余りすぎてな。デチューンさせてもらうぞ。」


 トランクからノートパソコンを引っ張り出す。


「さて、ECUと繋いでっと。」


 パソコンを立ち上げるとコードをECUに接続する。


「まずは……あ。ブーコンだ。そうだな。過給圧1.8から0.5くらいまで落としとくか。あとはROMだな。」


 エンジンをかけて燃料消費量と馬力をECUから計測する。


「うーん……燃費が悪いな……やっぱT88-33Dタービンじゃダメか……仕方ねぇ。ノーマルタービンに変えるか。」


 ボンネットを開け、俺は泣く泣くノーマルタービンに換装した。



「何やってるんだろうなー。」


 村の少年たちが倉庫を覗いていた。


「というかあれ、自分で動くってマジ?」

「魔導車って奴なんじゃないか?」

「なるほどー!」


「よし!これで馬力は320馬力くらいまで落とせたな。」


 いきなり声を上げたものだからどうやら覗いて子供たちがびっくりしたようだ。


「どうした?」

「……それさ。どれくらいパワーあるの?」

「そうだな・・・例えば馬1頭分の作業量を仮に1馬力としよう。」


 厳密に言えばちょっと違うが、子どもにはこれくらいでいいだろ。


「うんうん。」


 子供たちは頷く。


「こいつは今およそ320馬力。つまりざっと馬320頭分のパワーがある。」

「めちゃめちゃパワーあるじゃん!」

「ま。普通の馬車は1~4馬力ってとこだろうからな。」

「あら。それくらいのパワーがあるのね。」

「ええ。まぁ。そりゃあスバルの作ったインプレッサ、WRX STI。それもバージョンⅥですからね。速い速い。WRCでの優勝経験もあるこいつがそんじょそこらの馬車に負け道理は……って。え。」


 すぐ隣には例のお貴族ママが居た。


「き……」

「き?」

「貴族ママ……」

「だれが貴族ママよ。」


 頭をパチンとビンタされた。


「ミスファイアリングビンタ!」


 まったく。痛いなぁ……


「それで。それ、すぐ動かせるのかしら。王都まで行かなければならないの。」

「まぁ、動かせはしますけどちょっと燃料が……」

「燃料?なにそれ。初めて聞いたけど。」

「そうですね。イメージで言えば暖炉の木炭とか。そんな感じです。」

「木炭なら王都にあるわよ。」

「木炭じゃなくてこいつガソリンで動くんで。それもハイオク。オクタン価100近くないとちょっと厳しいんですよ……」

「おくたんか?がそりん?要するにどんな奴?」

「ガソリンが燃料の名前です。オクタン価は気にしなくていいです。」

「どんな感じなのかしら。」

「燃える水みたいな感じです。特定の条件になると爆発する。」

「かなり危険じゃない。」

「ええ。危険です。それを使って動いてるのがこれですから。」

「本当に魔導車とは違うのね。」

「そもそも魔導車って何ですか?」

「貴方知らないの?」

「ええ。」

「魔導車っていうのは魔力を使って動く機関を積んだ馬車の総称です。正式名称は魔力伝導式機関搭載型馬車です。」

「ほーん。動力機関の構造が気になるなー。」

「国家機密です。まず見ることはできません。」

「成程。」

「とりあえず王都まで行けばいいんだよな?国名は?」

「ザリア王国です。」

「ヘイナビ!ザリア王国までのルートを教えてくれ!」

『OK.The destination was set to the Kingdom of Zaria.』

「乗って。」

「ありがとう。ルーク!リーシャ!王都に向かうわよ!」

「はーい!」


 二人の子どもたちはインプレッサの後部座席に乗り込んだ。


「それじゃあ。行きますか。」


 貴族ママが助手席に乗り込み、俺も運転席に乗り込むとエンジンをかける。


「なんか元気なくなったー?」


 ルークだろうか。男の子がそう言った。


「ああ。パワーがありすぎたからな。パワーを減らしたんだ。」

「ちなみにどれくらいでつけばいいんですか?」

「3日あれば。」

「ナビ。最速だとどれくらいでつく?」

『12hour.』

「あー。12時間ね。燃料はどこら辺まで減る?」

『68%.』

「おすすめはどれくらい?」

『20hour 82%.』

「分かった。それで行く。」


 十中八九リフトアンドコースト主体の走りだろうな。

 ギアを1速に入れるとアクセルをベタ踏みし、インプレッサは一気に加速していった。

 80…100…120…140キロ…

 インプレッサの加速は止まることを知らなかったのだった。

デチューンというのは車を改造してパワーを上げるチューニングの反対で、改造してパワーを押さえるなどの行為をデチューンという。


ECUとは車のありとあらゆる制御を司っているコンピューターのことである。

また、現代のエンジンには燃料を投入するイジェクションという装置が導入されている。

このシステムを総称してEFIという。

分かりやすく言えばガソリンを投入する霧吹きだ。

その霧吹きをどのタイミングで、どの量投入するのかもECUで制御されている。

このEFI導入以前ではキャブレターという機械式の装置を使われていたが、1990年代頃にはほぼすべてがこのEFIに変わっていた。

ちなみにインプレッサのエンジンであるEJ20はEFIである。

つまり、今回のECUのデチューンで燃料噴射量も減らされているのだ。


ブーコンはブーストコントローラーの略であり、ターボチャージャーの過給圧の調整をする装置のこと。

これではわからないと思うので、もう少し詳しく解説すると、ターボというのは要するにエンジンにガンガン空気を送り込む装置のことだ。

送り込みすぎて空気を圧縮すれば温度が上がってしまうため、インタークーラーという装置で冷やしてエンジンに送り込む。

ちなみに送り込んで圧縮した空気の圧力のことを過給圧という。

ちなみに似たようなものでスーパーチャージャーがある。

ターボとスーパーチャージャーの違いはタービンの動力源の違いだ。

ターボは排気ガスの流れる勢いを使ってタービンを回している。

これは非常にエネルギーが強いが、アクセルを踏んでもすぐにパワーが出ないというターボラグがある。

スーパーチャージャーはエンジンの回転でそのままタービンを回している。

これはターボのようにターボラグはないが、高回転域になると過給圧が足りなくなってしまう。

話を少し戻して要するにブーストコントローラーというのはその過給圧を排気ガスの流れる量を調整してこれ以上上がらないようにと調整する装置を制御する装置のことである。


また、オクタン価というのはガソリンの燃えにくさを表す指標である。

数値が高ければ高いほど燃えにくい。

ちなみに通常のハイオクは96以上とされている。


そしてリフトアンドコーストというのは曲がる前にエンジンを抜くなどの方法で燃料を節約する走り方のことで、モータースポーツで用いられることが多い。

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