54:にげろにげろぉぉぉぉぉ!
「………逃がすな。」
ラズヴィーチャ国王は小さく配下に言った。
配下は黒い服に身を包み、いかにもという隠密専門の者なのだろう。
「手段は問わん。あの2台のクルマを無傷で余の前に寄越せ。」
「了解致しました。」
配下が去ると小さく彼はつぶやいた。
「……大人しく余に寄越せば命があったものを。」
「ふわぁぁぁぁ………」
めちゃめちゃ眠い。
そりゃあもう大あくびものだぜ全く。
とりあえず一平ちゃんの背中を押しておいたけども。
どう転んだかなぁ………?
「そろりそろりと。」
壁から頭だけ出して覗き込むと。
「おぉ……!?」
プリンちゃんが一平ちゃんに抱き着いて泣いている!
成功なのか!?失敗なのか!?
恋してたなら成就した!?ごめんなさいしちゃった!?
顔をずいずいと出しているうちにバランスを崩して地面にこけた。
すぐに隠れたが。
「(。´・ω・)ん?」
頭の上に影がある?
上を向く。
「え。苦無?」
さっきまではなかったよな。
……まさか。
「命狙われてる!?」
逃げろぉぉぉぉぉぉ!?
急いでインプレッサまで逃げてきた。
ちなみに何回か苦無は飛んできた。
頑張って避けたけど。
「たわしちゃん!」
「……ええ。なんとなくわかったわ。」
「へ?」
「命狙われてるんでしょ?必要最低限の情報は読心魔法で分かったから。早く車出して!」
「モチのロンの助次郎だ!」
「だから何それ。」
「抱き着いている間すまないが二人は命を狙われているかもしれない!すぐ逃げなければ!」
「はい?」
リーラ様は離れる気配が一切なし!
おいおい嘘だろ!?
仕方ない。
「ひゃっ!」
「抱えさせていただきます!」
お姫様抱っこでランエボまで走る。
「ランエボの助手席に乗ったら後は頼みますよ!?俺は運転するんで手が回せない!」
リーラはこくりと返事をする。
それを確認したヘイジは優しく微笑み、助手席に乗せ、そのまま運転席に乗り込み、すぐさまエンジンを始動させ、走り去っていく。
「ヘイナビ!ランエボの位置は分かるか?!」
『OK! input the monitor!』
ナビにランエボの位置が表示される。
「サンキュー!」
〘I must go save him!〙
インプレッサはランエボを追いかけ、コース外を駆け巡る。
「一体、何が起こってるの………!?」
貴族ママは勝利を祝うためにインプレッサのもとへ来ていた。
しかし彼らを見つけた途端、インプレッサは勢いよくサーキット外へ飛び出していったのだ。
それも、サーキットでは使わないようなスライドを多用して。
クルクルと車体を回転させながら一直線に出口へ向かっていく。
そしてそのインプレッサに乗っていたプレアデスの表情は険しい。
「………マシュー。プレアデスを追いかけるわよ。」
「え?けど、あのクルマに追い付くのはできませんよ!?」
「きっと私の屋敷の近くに来るわ。だから先回りする。」
「何を使って移動するんですか!?」
「私にはスカイラインがあるわ。貴方も乗りなさい。ルーク!リーシャ!家に帰るわよ!」
「はーいママ!」
「かえるかえる!」
ルークとリーシャは迷うことなく後部座席に乗り込むのだった。




