51:執事になりました。ヘイジです。
執事の朝は実は早かった。
朝5時。起床。
「ふわぁ……。」
朝起きると顔を洗い、身だしなみを整え、着なれないタキシードを着る。
リーラ様が起きるのは6時ほど。それより少し早いくらい。
それまでにスケジュールを完全に把握する。
「遅いですよ。」
(´・ω・`)
仕方ないじゃないか。こんな服は毎日着ちゃいないんだから。
「……その表情筋どうなってるんですか?」
「友人の真似だ。」
「貴方の友人おかしいですね。」
「ユーモアのあるいい奴だ。」
「ユーモアどころじゃないでしょうに。」
「それはそうだな。」
とは言っても基本的にやる事なんてものはない。
スケジュールなんてものはほとんど毎日同じだ。
……単調な、つまらなく代わり映えのない。
「なんかアクセントが欲しいものだ。」
……とは言ってもできることなんてそうそう簡単には思いつかない。
俺はあくまでもしがないラリー屋だ。クルマを操る事しか脳に詰まって無いんだ。
……まて。クルマ?
「あるじゃないか。アクセントが。」
ふと時計を見る。
短針は6の少し手前を。長針は11を指していた。
「そろそろか。」
リーラ様の部屋のドアを軽くノックする。
「入ります。」
ガチャリと音を立て、その部屋に入る。
「ふわぁぁぁ……」
俺がその部屋に入るとリーラ様は起きてベットの上で伸びをしていた。
俺は持ってきたコップに水を注ぐ。
「白湯です。」
「いつもありがとね。」
「当たり前のことですよ。」
「……頼みがあるのだけど。」
「なんでしょう。」
「今日だけ敬語を外せるかしら。」
「……ああ。分かったよ。」
「!」
「それじゃあ支度をさっさと済ませてまずは朝食を食べましょうか。」
「……そうね!」
リーラ様はにぱっと笑い、いかにも年相応な笑顔をヘイジに向けた。
「!」
その笑顔に何故かヘイジは顔が少し赤くなった。
え?この反応って……?!
ヘイジは自分の反応に目を疑った。
まさか、俺は……!?
「早く行きましょう。」
「……ああ。」
そうして朝食を終えると、次に勉強をする。
ちなみに歴史や基礎マナーなどは俺も参加している。
そういう教養は身につけておかないとやっていけないだろうしな。
そしてその後に昼食を挟んで基礎戦闘訓練。
これも俺は参加している。
せいぜい俺ができるのは高校生時代の授業でやってた剣道と基礎体力のためにやってた柔道くらいなものだ。
あくまで護身術。ただそれでは他人を守ることはできない。
その為の矛が必要だ。
「ぜぇ……ぜぇ……」
休憩がまともにないのはきつかった。
「ふぅ。それじゃあそろそろ今回の訓練は終わりね。」
「ようやくかぁ……」
毎日この訓練を行っていた彼女とは違って俺はくたくたになっていた。
そして最後は、自動車技能訓練だった。
やってることは自動車免許のようなものに近かった。
「……リーラ。前追っかけてきた賊を振り切る技術を叩き込む。」
「え?」
「大丈夫。少しずつすればいい。基礎はもうできてる。」
「本当に?」
「ああ。手取り足取り教えよう。」
俺はランエボの助手席にリーラを乗せ、そのクルマの挙動を叩きこむのだった。
何本か走り終えただけでその訓練を終わらせ、夕食にするのだった。
そしてリーラが休みに着くまで付きっきりでいる。
それが俺の仕事だから。




