46:エボリューション!
もちのろんの助次郎。次の日。NRC2当日!
ランエボはたった一台、スタートグリッドに立っていた。
NRC2は公道を使う都合上、レースもWRCの物を採用し、タイムアタック方式で競う。
あれだ。マ〇カのタイムアタックのタイムで速さを決めるのと同じだ。
事故ってもまずいし。
「いくぞ。ランエボ。お前の力、俺に見せてみろ!」
〘もちろんだ!俺の力を貸してやる。〙
「その意気なら十分だな!」
俺にはランエボの声が聞こえる。
他の車は分からないが、この車の声だけは聞こえる。
俺の手足であり、俺の相棒だから。
「水温、油圧、回転数良好。」
この振動と音が俺は好きだ。
心地いい。
アクセルを踏み込み、エンジンを軽く吹かす。
タコメーターの針がテンポよく起き上がる。
「反応も吹け上がりも十分。絶好調だな。」
シグナルが青に変わる。
それを認識した途端、平志はアクセルを踏み込み、ランエボは急加速し、たった一人のレースを始めるのだった。
「お。始まったな。」
「平志先輩、どうかな?」
「名前呼び!つまり片思い……!」
「な訳ないでしょ。」
「だって私が好きなのは貴方なのに……」
後輩はひとりぼそりと呟く。
「(。´・ω・)ん?なんか言ったか?」
「いえ。何も。」
私のバカぁぁぁ!ヘタレぇぇぇぇ!
その心の声は虚しく、胸の内でゆっくりと溶けていくのだった。
「………なんだ?これ。」
ランエボを走らせていると幻覚だろうか。窓越しに何かが見える。
「これは……!?」
窓越しに見えるその世界はたった一人の少女が少しずつ破滅していく世界だった。
その少女はたったひとり。その身にのしかかるのは両親からのできて当然というプレッシャー。
それを支える者はもちろん居ない。
そんな少女は次第に道を踏み外してしまっていた。
最終的にこの少女は裏世界に手を出し、自分よりはるかに優れた少女、自分にない能力を持っている少女を羨み、呪った。
ただ、俺にはとてもではないがその姿は哀しく見えた。
彼女にはただただ愛情を受けていなかっただけなのだ。
それなのに、破滅し、その末に辺境の地で好きでもない男と結婚させられ、その末に、冤罪をかけられて処刑される。
そんな哀しい少女の人生を見た。
「ランエボ。見えるか?この哀しい少女が……!」
〘……ああ。手を貸せるものなら貸したいものだ。〙
そんな俺たちの目の前に実体を持たない光の道が現れた。
「これは…?!」
俺たちは直感でそれが何なのかを察した。
「この道に従えば。」
〘あの世界にいけるのか?〙
「……行こう。ランエボ。どんなことが待っていたとしても。俺は……!」
〘クックック。当たり前だ。俺とお前は一心同体。拒否をするわけがないだろう?〙
「そうと決まれば。」
〘行くぞ!〙
俺はサイドブレーキを引き、谷底へ車体を向ける。
光の道は谷へ続いていたのだ。
俺は迷うことなくアクセルを踏みぬいたのだった。




