41:2台のWRCマシン
アンフィニ祐です。
ハイ。遅れました。
すみません!
2台のエンジン音がけたたましく鳴り響く。
「今回は何週勝負なんだ?」
「それじゃあ2周といこう。1本目は慣らしだ。」
「了解。」
「ほう。今回は2周で決着をつけるというか。」
「そのようですね。」
やっぱりお父様は何かに憑りつかれたみたい。
なにかおかしい。
なんだか怖いな。
そしてシグナルが青になり、2台が勢いよく飛び出す。
「はじまった!」
まずは青いクルマ、プレアデスさんのクルマが前に飛び出す。
「……ほう?スタートダッシュはランエボを超えているのか。」
しかし、ギアを変えるごとにランエボが追い上げてくる。
「やはりロスはあるのだな。ランエボはやはりレースの王ということか。」
「ま。そうなるだろうな。いくら早くシフトチェンジしたとしてもシーケンシャルには勝てない。」
だが、とプレアデスは付け足す。
「負けはしない。」
一つ目のヘアピン。流石にインを押さえられてしまっては追い抜くのは無理だろう。
ここは引くのが正解かな?
アクセル離し、インプレッサは大人しくランエボの後ろにつく。
〘I’ll stay behind you for now. But I won’t be eating your dust forever. I will overtake you!〙
相手はサーキットの王者ではないんだ。
やりようはある!
2台は1周目を華麗にドリフトで駆け抜けていく。
「やはり速くなっている。やはり車の性能だけではなく前に見た時より遥かにあいつの技術も高くなっている!」
「なるほど。平志のランエボのスペックは3年前からほぼ変わっていないと考えていいな。」
だが、ランエボのコーナリングは以前より鋭く、以前より的確で、以前より隙が無く、プレッシャーをかけても全く動じない。
「こっちに来て運転スキルは上がってるのかよ……!」
ジリジリとインプレッサが離されていく。
無理もない。ラグナセカのコーナーにおいて圧倒的に有利なのはギアのロスが非常に少ないシーケンシャルミッションを搭載したランエボなのだ。
小さなロスが少しづつ2台の差を広げる。
「これ、プレアデスは大丈夫なの?マシュー。」
観戦席では貴族ママと中性天然水が2台の議論を交わしていた。
「わかりませんね。ただ、区間タイムだけで言えば以前より数段速いですね。」
「本当に?」
「ええ。まるで次元が違います。本当に同一車種なのか。怪しいところです。」
プレアデス……アンタいったい何をしたの!?
「いんぷれっさはやくなってる!」
「リーシャ違うよ。いんぷれっさのほんとーの能力だよ!」
「じゃーなんで前はおそかったの?」
「うーん……わかった!びょーきだったんだよ!」
「なるほどー!そういうことね!じゃーいまはげんきなのね!」
貴族ママはこの二人の会話に何か引っかかった。
本当の能力?
インプレッサの?
……そういえばプレアデス、初めて村に来た時インプレッサを弄っていたわね。
理由?それは……
(まぁ、動かせはしますけどちょっと燃料が……)
そう考えるとインプレッサは燃料が少なくなっていたって考えられるわね。
燃料が少ないからパワーを減らして燃料が減りにくくした……?
「なるほど。そういうことだったのね!」
「わかったのですか?!」
「なんとなくだけどね。」
それならタイムが以前より短いのにも納得がいくわ。




