38:インプレッサの封印を解放する。
俺たちは村の倉庫にまで帰ってきていた。
「酷い目に会ったわ……」
「たわしちゃん。プレオに乗ってザリアまで行ってくれ。」
「ザリアまで?アンタはどうするの?」
「インプレッサで行く。」
「……ところで。あの車の名前と性能とアンタの車の性能を教えてくれるかしら?」
「あのクルマの名はランサー・エボリューションⅥ。もしあのランエボが俺の知っている状態のままならざっと600馬力ある。ブーコンを調整してパワー曲線が低中回転から加給がかかるような改造をしてあるはずだ。」
「待って!?それじゃあ前のSSの単純に3倍の性能ってこと!?」
「足回りの出来が違う。足回りも600馬力を完璧に扱えるような足に仕上がっているはずだ。所詮板バネ式では300馬力以上を完璧に扱うのは難しい話だ。」
「それで。アンタのインプレッサは?」
「現時点で320馬力ってとこだ。」
「……勝ち目がないじゃない。」
「大丈夫。その為に今からインプレッサをチューニングする。間に合わせて見せるさ。」
「頑張りなさいよ。」
「もちろんだ。」
するとたわしちゃんは去っていく。
そして、インプレッサのボンネットを開き、カチカチとラチェットレンチの音が鳴り響くのだった。
〘I’ll be facing him again. No… I can face him. In that case, let’s make it a rematch!〙
プレアデスはある装置を引っ張り出してきた。
「配線処理だってもまだできてない。こりゃ手こずりそうだな。」
まずはEJ20からターボを取り外す。
「これをプライマリータービンに取り付ける。セカンダリーはもう終わってる。あとはこれの配線をROMに繋いで調整か……」
プレアデスは後に待つ作業のことを考えてため息を吐く。
だが、手は止めない。
作業を淡々とこなしていく。
たわしちゃんが朝起きるとプレアデスはベンチで毛布を掛けて寝ていた。
「夜もやっていたの……?」
ただ、たわしちゃんはプレオの鍵を握りしめ、プレオに乗り込み、エンジンをかける。
「本当。移動も楽になったわね。」
一人そう呟くとゆっくりと王国へと進んで行くのだった。
「ふわぁ……」
プレアデスは起きると、地面に広げたシートの上にある物が乗っていた。
「……後は組み付けるだけだな。昨日のうちになんとか配線処理は終わったしな。」
それを両手で持ち上げ、EJ20に組み付ける。
ラチェットの音が響き、その後にカチ。カチ。とトルクレンチの音が鳴り響くのだった。
「あとはROMだけ。こりゃあかなりの曲者だぜ?」
プレアデスは車に乗り込むと、パソコンを広げて夜まで格闘したのだった。
そして次の日。
「よし。完成だ!まったく。結構疲れたよ。ホント。」
インプレッサのエンジンが低く唸り、燃料計も満タンを指し示していた。
「絶好調だな!GC8!かっ飛ばすぞ!」
〘Let's go! I’ll show you we can beat the Lancer Evo!〙
インプレッサは勢いよく倉庫から飛び出し、ザリアへ向かっていくのだった。




