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2:インプレッサ。異世界に。

「いってて……」


 草原に寝転がっていた俺は腰をさすりながら起き上がった。


「……ん?草原?」


 辺りを見渡すと一面に広がる草原。


「どゆこと?」


 確か・・・

 死んだ後になんか転生の門って所で審査受けたんだったか。


「初めまして。私の名前はアハト。女神アハト。」

「ドイツ語で8だな。」

「うん。それは今どうでもいいよね?」

「せやな。」

「……まともに聞く気ある!?」

「せやな。」

「聞きなさいよ!」

「せやな。」

「アハト。あまり気負いするなよ。俺たちはあくまで仕事の手伝いだぞ。」

「あ。アドラードさん。」

「置いてかれてるのだが。とりあえずおれはぽっくりなのか?」

「ええ。見事なほどぽっくりです。ガッシャーンとぽっくりしてましたよ。」

「情報量凄いな。で、俺はどうなるんだ?」

「貴方は・・・そうですね。かなり徳を積んでたので現世転生コースと異世界転生コースがありますね。天国コースもありますけど。」

「天国コースって安らかにさよならするのか?」

「いえ、のんびりと家族と過ごせる平和な場所ですよ。」

「なるほど。」

「普通の人は天国コースですね。」

「ぽえー。」

「どれにします?」

「じゃ転生コース。」

「了解。異世界転生コースですね。」

「いや、現世転生・・・」

「え。」


 アハトは既に異世界転生のボタンを押してしまっていた。

 ガコン!

 足元の床が抜け落ちて行った。


「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「馬鹿!またやりやがったな。アハトォ!!!!」

「うわぁぁぁぁぁ!やっちゃったあぁぁぁぁぁ!!」

「……いったいこれで何回目だ。仕方ない。彼には死ぬ直前に持っていたものを渡しておくとしよう。」

「それならよかった。」


 アハトはほっとした。


「なにがよかっただぁ?死んでない者を異世界に放りこんだ後に今度はミスって異世界転生だと?これはこってり叱る必要があるようだ。」

「え。」

「GC8は動くのかな?」


 キュココココ…ドォゥゥゥゥゥゥ……

 エンジンを始動させると全ての機器が正常に動作する。


「ナビも動く。えっと?どうやら近くに村があるのか。……ん?ナビが使えるってことは人工衛星が飛んでるのか?それならなんでこいつは一発でつなげられたんだ?」


 少し考えてみた。


「……異世界の謎パワーで納得しておこう。」


 ギアを1速に入れ、アクセルを軽く踏み込み、ゆっくりとインプレッサが加速していくのだった。


 時速50キロ程で村へ向かっている道中、妙に傾いている馬車がいた。


「何かあったのか?」


 車両を止め、馬車のもとへ向かうとそこにあったのは凄惨な現場であった。


「うっ。」


 俺は口を押さえ、助手席の小物入れからなんとかエチケット袋を取り出した。

 その後、袋を縛り地面に埋めるとその凄惨な現場に足を踏み入れた。

 足元に転がるのは大量の血痕。鎧を着た騎士の死体、それらに似つかわしくない賊であろう死体が散乱していた。また、馬車のドアの前に騎士がもたれかかり、こと切れていた。

 さらに馬車の車軸も折れていると来た。


「すみません。」


 騎士をどかし、馬車の戸を開いた。


「生きていますか?」


 そう言って戸を開くと、そこにいたのは貴族であろうか。ひらひらとした服を着ている母と兄妹であろう子ども達とが椅子の上で震えていた。


「大丈夫ですか?」

「賊め!私たちをどうするつもりか!」

「へ?」

「死んじゃうの?」

「怖いよ……」

「俺は別に危害を加えたりはしないですよ。通りかかったときに偶然いたものですから気になって開けてみただけです。」

「ホント?」


 少女が消えいるような声で怯えたように聞いてきた。


「ああ。本当だよ。それにこの馬車の車軸は折れている。俺の車に乗って近くの村まで行きませんか?」

「車だと?」

「ちょっと待っててください。リアシートの荷物どけておきますね。」


 リアシートに散乱していた工具をちゃっちゃと工具箱に片付け、トランクに押し込んだ。


「子どもたちはリアシートに。貴女は助手席に。」

「馬がいないようですが、どうやって動かすんですの?」

「別に馬がいなくても無くても走るんですよ。」

「馬が無くても動くんだって。」

「不思議だね。」

「なるほど、魔導車か。しかしそれならパワーが足りないだろう。せいぜい二人が限界の筈だ。」

「パワーはあり余ってますよ。大丈夫。」


 ぐるるるるる……


「ごめんなさい……」


 少女と少年から同時にお腹が鳴った。


「これは急いで村まで向かった方がいいですかね。」


 エンジンを始動させると、子どもたちがセルモーターの音にまずビビり、その後に鳴り始めたエンジンにもビビった。

 低く唸るように声を上げるEJ20エンジン。それもカリカリにチューニングを施され、600馬力オーバーの出力のEJ20だ。

 それはもう市販車とは次元の違うエンジン音がするのだ。


「ねえ、この音何なの!?」

「「怖いよー!」」

「この車が目覚めただけですよ。すぐ慣れます。」


 そうしてギアを1速に入れるのだった。


〘So I can run with you again...〙

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