24:ハコスカのレストア開始!
ハコスカを仮説整備場にまでもっていき、ロープを外す。
「よし。たわしちゃん。ちょっとハコスカの下に穴を掘ってくれないか?」
「穴?何故?」
「穴を掘ってそこで下の整備をする。」
「なるほどね。その為に……」
「あと、ハコスカの後ろから出られるようにしてくれ。」
「分かったわ。やってみる。」
たわしちゃんが手をかざすとハコスカの足元に大きな穴が開く。
「あとそこ明るくできる?」
「分かったわよ。手元が見えるようにしとくわ。」
「助かる。」
インプレッサから引っ張り出したジャッキで完全にハコスカを上げると、クロスレンチで全てのタイヤを取り外す。
「足回りのホース類の点検だな。」
ホースもみもみ。
……ん?新品みたいに全然劣化してない。
どゆこと?
「じゃあなんでガソリンタンクにあんな大穴が……?」
「あぁ、あの大穴以外の細かいところは元に戻しておいたわよ。あとオイル?っていう潤滑油以外は。」
おお~!
それならずいぶんと楽になる!
ただ、やっぱ駆動系は全オーバーホールがいいだろうなぁ……
ま。ハコスカなんてめったに触れるもんじゃないしいっか!
「さてさて。ここからは無言かな?」
「七人姉妹があれを本当に治せるのかしらね?」
私は高みの見物を決め込むつもりだった。
ただ、彼が工具を手にしてスカイラインを整備し始めた途端、まるで人が変わったように次々にスカイラインの部品を外し始め、長いパイプ(マフラー)を取り外し、次に長い棒、次に銀色の箱、後ろの丸いT字の何か、そして丁寧に機関を降ろした。
まるで一瞬のように丁寧に、無駄なく、そして素早くあっという間にこれらをやってのけた。
そして、ガソリンタンクも取り出し、セバスチャンさんが持ってきたガソリンタンクに交換した。
そういえば、ルーシャルちゃんが言ってたわね。
(プレアデスの興味は全て魔導車に注がれているのよ。)
(魔導車に?)
(ええ。特にあのインプレッサってものには特別。もしかすれば魔導車以外にも、既存の魔導車ではないインプレッサに似た動力を積んでるものならば彼の全身全霊を注ぐかもしれませんね。)
(全身全霊……かぁ……。)
(ええ。彼は普段隙だらけですが、あれと向き合ってるときだけは違う、真摯でいて隙が無く、一切の手抜きがない。持てるすべてを魔導車に注いでいます。そんな人なんです。彼は。)
ルーシャルちゃんの言ってることはほぼすべて正しかった。
スカイラインを触り始めた七人姉妹は目つきが変わった。
まるで別人のよう。
私は言葉を失った。
目の前で繰り広げられる作業は全てが美しく、全てに無駄が無い。
無駄がない無駄がないと同じことを言っているが、本当に無駄が無いのだ。
見惚れてしまうほどに。
「よっしゃ!終わった!」
「え?」
気づけばスカイラインの4輪は全て地に足を降ろしていた。
そして七人姉妹はガソリンをスカイラインに入れていた。
「よし!もう動くぜ?貴族ママ呼んできてくれ。俺、その間に着替えるわ。油で服ギトギトだからさ。」
「分かったわ。行ってくる。」
彼の作業はたった1日にして終わってしまったのだった。




