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21:ハコスカの状態観察

「伝説級?これ、速いの?」

「いや?全然。」

「じゃあなんで伝説級なの?」

「これが作られた当時はすごい速かったそうだ。」

「それじゃあインプレッサの方が速いの?」

「もちろん。基礎設計の差って奴だ。」

「何年空いてるの?七人姉妹。」

「うぐ……それ固定なのか。」

「ええ。」

「単純に見積もって30年ってとこだな。」

「そんなに……」

「貴族ママ、中を見せてくれ。あと、ガソリンの用意も頼む。たわしちゃん。あと、俺のクルマから予備のバッテリーを持ってきてくれ。」

「はい、鍵。ガソリンは今から手配するわ。セバスチャン。」

「はい、当主様。」

「分かりましたガソリンを持って参ります。」

「七人姉妹。バッテリーよ。」

「サンキュー。」


 中に入ってみると、メーターはEを指していた。


「やはりガソリンが入ってないか。」


 ちなみに現代のクルマは電源を入れないとガソリンの容量がわからないが、ハコスカくらい古いクルマになると電源が入っていなくてもガソリンが入っているかがわかるぞ!


「ボンネット、オープン!」


 すると、純正フルノーマルのハコスカのエンジンルームが顔をのぞかせる。


「マジか……フルノーマルだと……!?」


 ま。とりあえずエンジンオイルの交換……交換……交換……


「消耗品がねぇぇぇぇぇぇ!?」


 こんな状況だ。理想を言うならミッションオイル、デフオイル、エンジンオイル、ブレーキオイル、その他諸々のオイルを交換しておきたいところ!

 しかし、ここにはそんな物がない!そんな調子のいい油なんてない!まずいぞ……!

 真面目にレストアをするならエンジンを降ろしてオーバーホールし、消耗品をすべて交換、ガスケットも塗りなおして元通りにする!

 その上クラッチを交換し、デフとトランスミッションもオーバーホールする!

 これが理想!

 しかし、設備が無い!

 最低限必要な物はエンジンジャッキ、ミッションジャッキ、リフト、オイル類、交換用消耗品……!

 これら全てが無い!

 どうするんだよ……!これぇ……!


「最悪エンジンオイルさえあれば……!」

「どうするの?」

「……作るッ!」

「ホントに作れるの?」

「ハコスカ時代のクオリティなら辛うじて作れるはず……!」

「インプレッサに無理ってこと?」

「無理だな。あれはかなり性能の良いオイルだし。」

「どんな感じなの?オイルって。」

「ちょっと待ってろ……?」


 俺はインプレッサからオイルの成分と効果が書いてある冊子を渡した。


「ほい。こんな感じ。」

「・・・。分かった。インプレッサのは私の呪いの世界で作れる。」

「え。」

「だけど、この世界で自給自足できるようにするためには絶対に製造技術は必要。性能が高くなくても作れるように。」

「もちろん。じゃあ、職人を探してくる。鉱石油の職人をな。」


 設備はどうすればいいんだろうな。


「とりあえず村に帰るよ。」

「わたしもついていく。」

「それじゃあ貴族ママ。ここのドアは開けといてくれ。また来るから。」

「……ええ。分かったわ」


 貴族ママがあっけにとられている間にインプレッサはあっという間に村へ向かっていくのだった。

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