17:魔女っ娘……ゲフンゲフン。魔女ヘクセ。
もう、1200年も経ったのね。
私達は、少数精鋭部隊として世界の選りすぐりの実力者達を集められた。
どうやら今は勇者と言われている彼も、私たち……いや、シルビアだけリーダーと呼んでいたわ。
行ってしまえば武将みたいなもの。戦いながら的確に指示を出していたわ。
次に基本的に物理攻撃で全ての障害を払う戦士レビン。
戦士というか基本的には剣士だったけどね。
現れる全ての敵を魔法で討ち倒す魔女へクス。私ね。
そして、その作戦を安全に、安定的に行える為のヒーラーシルビア。
この4人で敵国に対して強行突入を敢行し、敵の王のもとへ突入したわ。
「ベルクート。どうやって突入する?やっぱりレビンが全部ぶっ壊すの?」
「いや、ここは正々堂々正面突破で行こう。」
「すごい量の敵が待ち構えてると思うけど。」
へクスはジト目でベルクートを見つめる。
「レビンと俺が前線に立って近接戦をし、中・長距離はへクス、君に任せる。そしてそれらをシルビアの防壁で守りながら進むんだ。」
「分かったわ。絶対に皆を守って見せるちゃうわよ!」
「意外と単純な作戦だな。ベルクート。」
「ああ。レビン、一応言っておくが……」
「もちろん大丈夫だ。殺しはしない。眠ってもらうだけだ。」
「よし。」
「やっぱりリーダーは徹底した不殺主義ですよね!」
「もちろん。彼らは悪くはないからね。」
リーダーは頑なに不殺主義だったわ。だからこの道中、人間は誰一人死んでない。
最初は甘ちゃんだと言って嘲笑っていたけど、リーダーのその姿勢に感化されたのでしょうね。そんな甘ちゃんリーダーについて行くようになったの。
そして、私たち4人は邪王、世界に魔術をかけた主の元へ向かったわ。
その呪いは、その王の望んだ通りになる呪い。
簡単に言えばそんなもの。望んでしまえば世界がそれに応えるのよ。
「ほう。ついに儂のもとに来たか。」
「……貴様を殺す。」
「ッハ!不殺の英雄とまで呼ばれた貴様らがか!笑止!」
邪王はゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと腰に携える剣を引き抜く。
「舐めるなよ?小童ども。」
「貴様はもう終わりだ。こんなくだらないこと、すぐにやめろ!」
「くだらないだと?この世は儂の見方であることを忘れるなよ?」
「!」
へクスはその発言の真意をすぐさま察した。
「間に合わない……!」
「永遠を孤独に生きるがいい。」
邪王は薄い円盤を懐から取り出す。
そしてその円盤ををまるでフリスビーを投げるかのようにベルクートに投げつけた。
「させない!」
咄嗟だった。魔法を放つより先に体が動いた。
円盤がへクスに直撃し、へクスは消滅した。
いや、円盤に吸い込まれたのだ。
「大魔女を謳われた最強の魔女もこの程度か!」
玉座の間に邪王の笑い声が響くのだった。
「……さま。」
「んあ?」
「貴様ァ!生きて帰れると思うなァ!」
「ベルクート!?」
「シルビア!S13型だ!奴にぶちかませ!」
「了解!」
シルビアはその指示通り、S13型、その効果は全ての特殊能力を相殺する魔法であった。
これはシルビアが編み出した中で13番目であり、それの上位仕様なのだ。効果は、永久に一つの能力を封じること。
「レビン!相手を攪乱させろ!隙をつく!」
「分かった!」
邪王は呪いを失った。
「馬鹿なッ……!?」
「おいおい、よそ見は厳禁だぜ?」
レビンが火炎で牽制しながら接近する。
「ちょこまかと……くどい!」
邪王は手をかざす。
「くたばれッ!」
その直後、レビンは衝撃波で壁にたたきつけられる。
「ぐっ……まだだ。まだ終わらん!」
「十分だ。休んでいてくれ。俺が仕留める。」
「んな……!?」
邪王の目の前には既にベルクートが居た。
邪王が混乱したその瞬間に、ベルクートは首をはねたのだった。




