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13:スバルのエンジンって特殊なんですよ。水平対向って言ってね?……うんぬんかんぬん。

「現世でもう一度人生をやり直すのもありだと思ったが、異世界も悪くない。」



 インプレッサを走らせて俺はそう思った。

 変なものに縛られずに、自由に走れる世界。

 もっとこの世界について知ってみたいものだ。

 インプレッサに負担をかけないように一定のペースをキープし、2週目を終えた。



「そろそろ魔導車って奴が見えてもいいんじゃないかな?」


 ホームストレートを魔導車が再び駆ける。


「125秒か。」


 中性天然水が呟く。


「2週目はスピードが乗るからやはりタイムが縮むわね。」

「ところで、この類のレースだと馬と魔導車がほぼ同じくらいでゴールするんですよね。」

「ええ。どっちが今回は勝つのかしらね。」


 甲高い音が鳴り響く。


「……うそ。」


 最終コーナーを再び抜けて現れるクルマ。


「魔導車が通り過ぎたのはついさっきだぞ!?」


 インプレッサが彼らの目の前を駆けていく。


「……100秒。」

「え?」

あれ(インプレッサ)は100秒でこのコースを周回したのです……!」

「100秒ですって?!」

「これは……勝ったかもしれませんね。あの魔導車、スバル・インプレッサが。」

「インプレッサ?」

「ええ。どうやらあの魔導車はインプレッサと言うそうです。」

「そうなの?」

「ええ。」


 インプレッサは第2コーナーにてあることを行った。


「なに……それ!?」


 コースの各所は中継されている。

 インプレッサは……ドリフトしたのだ。

 スライドしながら旋回……それは前代未聞であったのだったのだから。


「おいおいなんだありゃあ!?」

「あんなの……見たことねえ……!」


 観客たちがざわめく。

 インプレッサはそれを知る由もなく、魔導車へぐんぐん突き進んでいたのだった。



 よーしよしよし。そろそろ見えてくるんじゃないか?魔導車って奴。

 トルクのおかげか加速はすごかったが、どうも馬力がなさそうだし、何せ足回りが貧弱すぎる。

 それならもうそろそろ追いつけそうな所だが。

 きらりと光る車体が見えた。


「見つけたぞ。魔導車。」


 魔導車は第3コーナーを曲がっていた。


「逃げ切れると思うな?」


 ……第3コーナーは流石にドリフトはやめておくか。タイヤが持たんだろうし。

 インプレッサはいともたやすく旋回する。

 そして4WDの無理も無駄もない加速で魔導車に接近していくのだった。



「やはりだめか……」


 ヒューズ・アルバートはルームミラーに見えるその青い車体に思わずため息を吐いた。


「流石インプレッサ。スタートに遅れたとはいえど技術の差で追い抜いてくるか。」


 インプレッサはひょいと隣を通り過ぎていき、容易く旋回していったのだった。



 ホームストレートにて……


「そろそろ馬が来る頃か?」


 中性天然水が思わずつぶやく。


「……本当に馬は来るかしら。」

「いっけー!」

「優勝しちゃってー!」


 子供たちが全力で応援する。

 そして現れたのは馬でもなければ魔導車でもない。


「やはりか。」

「かったああああ!」

「やったぁぁぁ!」


 インプレッサが華麗にホームストレートを駆けてきたのだ。

 そして、チェッカーフラッグを受けたのだった。



 そしてその次に馬が現れる。

 ラストスパートでも言わんばかりに馬が加速する。

 しかしその後ろからは魔導車が猛スピードで追い上げていた。


「俺が先にゴールするッ!」


 猛スピードで追い上げた魔導車は華麗に馬をパスし、チェッカを受けるのだった。




 俺はインプレッサから降りた。


「お兄ちゃーん!」

「にぃに!」


 ルークとリーシャが走って飛びついてきた。


「おうおうよしよし。どうした?」

「兄ちゃん優勝したんでしょ?」

「おれ兄ちゃん呼び?ルークたちからすれば俺はおっさんだろ?」

「そんなことは無いわよ?」


 ピットレーンから貴族ママが出てくる。


「あ。貴族ママ。」

「誰が貴族ママじゃい。」


 平手打ちされた。痛ぁい……


「にしてもすごい旋回性能と加速性能ですね。加速性能はパワーがパワーだからわかりますが……あの旋回性能は一体……?」


 中性天然水が貴族ママの後からにょきっと生えてくるように現れるといきなり疑問をぶつけてきた。

 もちろんそんなこと言われたら答えますとも!


「そりゃあインプレッサは速い。重心が低いしな。ドライサンプ化してるから更になぁ。」


 昔は飛行機メーカー(中島飛行機)だったスバルの伝統だからなぁ。

 ちなみにミリオタ達!スバルは一式戦隼とか二式戦鐘馗とか四式疾風とか作ってた中島飛行機の現代の姿だぞ!

 その影響でエンジンはちょっと特殊な水平対向エンジンっていうピストンが真横向いた特殊なエンジン積んでるんだよな。

 振動押さえられて、重心が低くできる(論争の余地あり)からな。

 なんで論争の余地ありかって?……オイルパンがあるから結局重心は大して変わってないんだよな。

 俺のインプは大丈夫。ドライサンプ化してるから!

 ちなみにV型180°とは違うぞ!水平対向は!

 ちなみにスバル以外に水平対向をまともに使ってる会社はほぼない。ポルシェくらい。

 ポルシェは水平対向6気筒(フラットシックス)に拘る節あるけどな。

 仕方ないよな。丁度いいんだもん。


「どらいさんぷ?」

「Ah……」

「なぁにそれ?」

「そこにあると邪魔なものを移動させて重心を下げるっていう裏技。」

「へー!」


〘We actually did it. We won!〙

 重心が低くできるのに議論の余地ありな理由として、オイルパンいうエンジンオイルを貯める場所があり、それはエンジンの底についているため、オイルパンが邪魔しているため、結局それほど下がらないということだ。

 ただ、ピストンが横を向いてるため、その分の重心は間違いなく下がっているだろう。

 また、ドライサンプというのはそのオイルパンを全く違う位置に移設し、それまでクランクシャフトというピストンの上下回転を回転運動に変換する部品でエンジンオイルも循環させているため、少しだけパワーが下がってしまう。

 その為、ドライサンプ化させるとオイルポンプでエンジンに回すようになっているため、その抵抗もなくなるため、重心も下がり、少しだけパワーも上がる。

 ただし、車1台買えるくらいのコストがかかる。


 また、V型エンジンをそのまま水平まで落としたV型180°と水平対向は少しだけ違い、クランクピン1つにコンロッドが二つ付いているのがV型180°で、クランクピンに1つずつ付いているのが水平対向である。

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