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11:現実のラグナ・セカってアメリカにあるんですよ。

 ル・マン式スタート。これ、正直に言えば信じられないくらい俺に不利なスタート方式なのだ。

 実は昨日、中性天然水と別れてインプレッサを弄っているとき、EJ20のECUを微調整していたのだ。

 そのセッティングは水温が一定になるまで超低回転を維持するというセッティング。車のオイルを循環させ、水温を上げるのが目標のため、エンジンのアイドリングは最初の20秒は2000回転でキープし、そこから約50秒~1分半もの間300回転でキープするようにしてしまった。

 ちなみにこれをカットする回路も一応は積んだ。

 だが、正直異世界でエンジンが壊れるとどうしようもできない。

 エンジンを下ろすこともできなければ部品もない。エンジンは特に細心の注意を払って扱う必要がある。

 つまり。スタートまでに1分以上はかかるということだ。


「負けるかもしれん……」


 ただ、今回のレースは馬を除いて基本3周だ。ちなみに馬は1周だけらしい。



「ハンデにしてもデカすぎるしな。」


 それなら別に勝とうとしなくていいのでは?というのはごもっともかもしれん。

 ……だが、異世界の馬や車にインプレッサが負けるのは目も当てられない。

 俺は負けず嫌いなものでな。



「それでは、スタート10秒前!」

「始まったか。」


 隣の貴族はクラウチングスタートの用意をしていた。


「え。」


 この世界にクラウチングスタートの概念ってあるの……?


「まったく。この世界については本当に知らないことづくしだ。」

「……2!1!スタートォ!」


 お貴族様と騎手は信じられない速度で自分の車両にたどり着き、馬は即座に発進、魔導車とやらも数秒で発進していった。

 少し遅れて俺もGC8に乗ると、キーを回し、GC8に電源を入れた。


「ECUを書き換えて最速でエンジンをかける。」


 すぐさまPCを取り、車につなぐ。


「セルモーター1秒起動し、10秒3000回転でキープ、その後、およそ900回転で油圧と水温が規定の値になるまで保つ。」


 キュココココ………ズォォン!



「何だ!?あの音は!」


 観客がざわめいた。


「まるでドラゴンが目覚めたようだ……!」



 ズォォォォォォ!ゴォォォォォォォ………

 インプレッサのエンジンが静かになっていく。


「この調子で行けば900回転キープは30秒で終わりそうだ。」


 パソコンに映っている水温油圧は着実に適正値ヘと近づいていた。

 そして……


「よし。GC8、行くぞ。」


 乗り込んでものの1分でGC8を発進可能状態に持っていったのだ。

 ガコン。

 ギアは1速。エンジンを軽く吹かし、すぐさまクラッチを繋ぎ、4輪が軽く空転し、小さく煙を上げながらインプレッサはマ〇カーの如くロケットスタートしていったのだった。


「待ってろよ……異世界。」

〘Let's go. Let's show them what we're made of!〙

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